(CP妄想につき閲覧注意)朝チュンなテス藤
性的描写に比べて圧倒的に書くスピードがはやくて草
最後まで甘さたっぷりでお届けします
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日の光が襖の隙間から差し込み、朝が訪れたことを告げている。室内を満たすのは静寂のみ。あれほど乱れていた空気は嘘のように消え去り、今はただ穏やかに凪いでいた。
「……やりすぎたか」
ぐったりと横たわる大河を見て、テスカトリポカは苦笑する。
随分と無理をさせてしまった自覚はある。途中から完全に理性を失っていたこともわかっている。ただ、反省はしているが後悔はない。
(可愛かった)
恥じらう仕草も、素直に甘える姿も、快楽に堕ちて乱れる様も、全てが愛おしくて。だから、止まれなかった。加減なんてできなかった。欲望のままに貪って、その全てを受け入れてくれた彼女が堪らなくて、何度も何度も求めてしまった。
「んぅ……」
不意に、大河が小さく身じろぎをした。ゆっくりと瞼が開かれて、何度か瞬きを繰り返したあと、ぼうっとした様子でこちらを見つめてくる。
「起きたか?おはよう、タイガ」
微睡む彼女の横に寝転んで、キスを落とす。前髪の隙間から覗く額に、ほんのり色づいた頬に、そして薄く開いた桜色の唇に。見えるところ全部に優しく口づけを落としていけば、徐々に意識が覚醒してきたらしい。
「ん、ぁー……てすか、とりぽかさん……?」
「ああ」
「……おはよ」
へにゃりと相好を崩した彼女は、幸せそうに微笑んだ。そしてすりっと胸に擦り寄ってくるものだから、思わず抱きしめてしまう。
「んぎゅ……くるし……」
「じゃあやめるか」
「やぁ……はなしちゃ、やだぁ……」
腕を緩めて解放しようとすると、いやいやと首を振られる。潤んだ瞳で見上げられ、猫なで声で続きをねだられてしまえば、断れるはずもなかった。
「仕方のない奴だな……ほら、離れたくないならお前からも腕伸ばせ」
「ん……こう?」
「ああ。いい子だ」
背中に回された細い両腕。ぎゅっと力が込められたのを確認してから、再び強く抱き寄せる。密着したことで互いの体温が混ざり合い、鼓動が重なる。その心地良さに二人は揃って吐息を漏らすと、どちらともなく鼻先同士をくっつけた。
近すぎて焦点が合わない距離で、じっと見つめ合う。まだ大河の瞳はどこか蕩けていて、夢現といった状態だった。
数秒ほど見つめ合って、ぱちぱちと数度まばたきをして。そして今しがた自分がした行動に気がついたのか、ぼんっと音が聞こえてきそうな勢いで顔が真っ赤に染まった。
「あ、ゃ、ごめんなさい……!わたし、あの、えと……」
折角抱き合っていたというのに、大河は腕を解いて飛び起きようとする。もぞもぞと身を捩って逃げ出そうとする彼女を、しかしテスカトリポカは許さなかった。
「きゃっ!?」
「逃げるな」
腰を抱いて引き寄せ、強引に腕の中へと閉じ込める。そのまま体重をかけて押し倒せば、大河はあっと言う間に寝床の上へと縫い付けられた。
「ゃ、あ……」
「嫌か。こうして、オレの腕に抱かれるのは」
「ぁ……ぅ……やじゃない、けどぉ……」
恥ずかしいの、と蚊の鳴くような声で言う大河。その姿はとてもではないが己が主に足ると認めた戦士には見えず、年相応───いや、それよりも幼く見えた。
それがどうしようもないくらいに愛しくて、可愛くて、つい頬が緩んでしまう。
「な、なによぉ……どうせやることやったくせにとか、おもってるんでしょ……!」
笑みの意味を勘違いしたのだろう。拗ねたように唇を尖らせながら、じとりとした目つきで睨まれる。可愛さが倍増しているだけなので逆効果なのだが、本人はそれに気が付いていないようだ。
「オレがそんなことを思う奴に見えるか?だとしたら心外だな」
「だってぇ……」
「むしろ、更に惹かれていったが?いつまでも初心なままで可愛らしいと思ってな」
「~〜〜ッ!!」
ストレートに好意をぶつければ、言葉にならない悲鳴を上げて顔を覆ってしまう。じわじわと耳まで赤く染まる姿に笑みを深めつつ、そっと頭を撫でてやる。すると、指の間から覗かせた目と視線が合った。
「……ばか」
ぽつりと零れた罵倒の言葉。けれどそれはとても弱々しくて、照れ隠しだということがすぐにわかった。
(ああもう、可愛いな)
相も変わらず指の隙間から上目に見上げてくる大河の表情に、テスカトリポカはくらりと目眩を覚える。こうもいじらしくされると、もっといじめたくなってくるではないか。
「タイガ」
「ひぅ……ぁ……」
耳元に唇を寄せて囁けば、ぴくりと身体が小さく跳ね上がる。の情事でここが弱いことは把握済みだ。ついでに言えば、少し意地悪な言葉で責められるのも好きということも。
案の定、大河の身体からはすっかり力が抜けていた。抵抗する素振りを見せないどころか、ぴたりとくっついて甘えてくる始末である。
従順なその態度に、テスカトリポカの中で何かのスイッチが入った。
「タイガ」
もう一度名前を呼ぶ。今度はさっきよりもずっと熱を込めて、甘く蕩けるように。
「ん、ふ……ぁ……」
たったそれだけのことなのに、大河はふるりと肩を震わせている。瞳の奥に宿った微かな期待の色を見逃すはずもなく、テスカトリポカは喉奥で低く笑うと、ゆっくりとその手で彼女の肢体をまさぐり始めた。
「ぁ……てすか、とりぽかさん……あさからだめ、よぉ……んっ、こえ、くみのみんなにきかれちゃう……」
声を抑えようと口元を覆いながら訴える大河だが、口調に拒絶の意思はない。むしろ自ら胸を押し付けて快楽を得ようとする彼女に、テスカトリポカはますます口端を吊り上げた。
「聞かせておけ。きっと気を利かせて、誰も入ってこないはずだ」
「ゃっ、ん、そーじゃな、くて……!わたしが、はずかしいの……!こんなっ、はしたないこえ、きかれて……はずかしぃ、から……んぅっ」
それでも強情に駄目と言葉を繰り返す大河の口を、テスカトリポカは自分のそれで塞いだ。そして反論を許さないとばかりに深く深く貪り始める。
奥に引っ込んでいた舌を絡め取り、唾液を混ぜ合わせて、歯列をなぞって。息継ぎすら許さない激しいキスに、大河はたちまち翻弄されてしまう。
そうして数分後、ようやく解放された頃には息絶えだえの状態になっていた。
「ぷ、は……は、ぁ……くるひ、……」
「わるい、もう無理だ。止めてやれない」
「ゃ、ちょ、まっ……!」
抗議の声も虚しく、敷布団に組み伏せられる。再び始まるであろう濃密な時間を前に、大河は諦めたように瞼を閉じた。