B小町、紅白出場決定!〜本番編〜

B小町、紅白出場決定!〜本番編〜


2人が承諾した旨をN○Kに伝えると大変喜ばれたが、此方からも例え子役と言えど今回の件は無法過ぎるので以後は控えていただきたい旨はきちんと伝えた。借りを作った、と認識して貰いたいものだ。

さて、アイ達の様子を見に行こうか。

✳︎✳︎

「みんな、リハの様子も悪くないって社長も言ってたし、9時からが私達の出番…全力出し切って伝説になろう!!」

ニノちゃんがみんなに号令をかける。

以前はこんなやる気というか熱意は薄かったから凄く不思議。同時に私の願いが叶ったんだ…と感慨深くなる。

「アイちゃん、1人しみじみしちゃってどうしたの?」

「アイちゃんはしんみりした顔より笑顔が似合うんだから、スマイルスマイル♪」

私の様子に気づいたカナンちゃん、芽衣ちゃんが話しかけてくれた。

この2人は後期参入でメンバー間が苦しい時も仲良くしてくれてありがたかった。

…陰でなんとか他の4人と私を仲直り、少しでも改善しようとしてくれていてお礼しか言えない。

「ありがとう、大丈夫!少し感慨深くてねー…ここまで来たかー」

「本当そうだよね,アイ、センターは貴方だけど私達も負けないからね…この思いなんで忘れてたのかなぁ、私…ルビーちゃんとアクアくんにダンスは誰よりも上手い、て言われて思い出すなんて」

「私は歌上手い、てルビーちゃんに。あの子達に得意分野見つめ直すきっかけになったかな」

話をしている私達のもとに続々とみんな集まって来る。あの子達が私達を繋ぎ止めてくれた。その結果が今になる。

「そういえば芽衣ちゃん、彼氏さんとは上手くいってるの?」

「………別れたよ。浮気されてた!うわーん!!」

「アイ…今日はダメだよ…そういう、センシティブなのは…」

「わわわ⁈ごめん!」

泣く芽衣ちゃん、呆れ気味のきゅんぱん、苦笑するカナンちゃん、めいめい。お腹抱えて笑うニノちゃん、ありぴゃん。

…私が願っていた、みんなと笑い合える空間があった。

コンコン

「はーい」

「カミキです。入っても良いですか?」

「ヒカルくんだ。時間が時間だし、お弁当かな?」

「あんた…食レポの仕事多いから体型維持は気をつけなさいよね」

「はーい、入ってヒカル」

みんながワイワイ話出すから代わりに私が彼を呼ぶ。

めいめいが予想したようにロケ弁を抱えたヒカルが入ってきた。

「お待たせ。ちょっとクオリティ高いらしいロケ弁だよ」

お腹空いていたからみんな喜んで手に取っていく。

そんな様子見ながら嬉しそうに見るヒカル。最近忙しくてコミュニケーション足りてない気がするからかまいに行こう。

肩をチョンチョンと突く。

ん?と振り向くヒカル。本当に背が伸びたね…昔は私が高かったのに。

「嬉しそうじゃん。」

「そりゃ嬉しいさ…だって本心からみんな笑ってる。ずっと近くで見て来たからね僕も」

「途中参戦なのに?」

「そういうこと言っちゃう?意地悪だねーアイ」



「ね…ヒカルくんとアイちゃん出来てるよね…?」

「気づくの遅いよ芽衣…だってヒカルくんと話をしている時のアイちゃん凄く柔らかい笑顔なのわかりやすいし」

「ヒカルくん良いなぁと思ってるけどアレだと私達なんか眼中にないだろうしなぁ」


隅っこの方で私とヒカル見てコソコソ話をしているカナンと芽衣ちゃん、ニノちゃん。ふふーん、ヒカルはあげないよ。


「そうだ、時間はかなり後になりますが事務所で慰労会ありますから戻ったらたのしみにしてくださいね」

「「「「「「おおー…」」」」」」

「私のスケジュールどうだったっけ?」

「アイは明日の20時から23時が仕事だね。

渡辺さん、高峯さんが明日の16時から18時、カナンさん、芽衣さん、ニノさんが19時から21時…あ、メイメイさん…ごめん、苗字が咄嗟に出なかった。

は明後日が仕事です。僕らの休暇は1/4〜6でーす…三が日はキツイね!」

三が日は家族で過ごす、は夢のまた夢なスケジュールだ。未成年の時はまだ良かったなぁ…

「あと本番時は事務所から可愛い応援団が来るから楽しみにしていてね?」

「もしかして、アクアくんとルビーちゃん来てくれるの?」

「やった!始まる前にカワイイを補給しなきゃ!!」

「ははは…そういうこと。No Kでの番宣とか色々忙しいけど明日の夜まではみんなフリーだから頑張って乗り切ろう!」

「「「「「「「「オー!!!!!!!!」」」」」」

あの子達も来るならより一層頑張らなきゃ!!

✴︎

彼女達の控え室にお邪魔して差し入れしてから数時間後。

ついに大晦日のビッグイベントが始まった。僕はアクアとルビーを事務所に迎えに行った。事務所からはひとまず今日限定でルビーを子役として「サイリウムベイビーズ」というユニット登録という形で名前を伏せて出演となった。

アクアも今回は子役の「アクア」ではなく

「サイリウムベイビーズ」としての出演だ。

「さて、サイリウムベイビーズのお二人さん。今日の目標は?」

「「B小町を応援すること」」

「大変よろしい!君達は児童労働の問題で出番終わると退出という形になるけど、客席には席を用意してもらっているからね。一緒に観よう。眠たくなったらB小町の控え室に連れて行くから」

「はーい」「わかった」

さて、既に紅白歌合戦は始まり今年流行ったアニメや作品とのコラボ枠が終わるとB小町だ。この子達ならきっと綺麗にやり切るしB小町も凄く魅せるものになるだろう。

そんなこと考えていたら会場に到着し、

苺プロのカミキとサイリウムベイビーズです、と話を通して案内してもらい、荷物を置いてスタイリストさんから衣装プランの話を聞いて、こちらの要望も合わせたプランの折衷案を話していると

僕に話があるようで職員さんがドアから僕を手招きしていた。

「アクア、ルビー。何やら話があるみたいだから少し席を外すよ…では、よろしくお願いします」

…正直この時ほいほいついて行ったのは間違いだった。本当にそう思う。

✳︎✳︎

『はい!ポルノグラ○ィティの皆さんありがとうございました!!続きまして、B小町のみなさんです!!』

ついに来た。ドームライブをある意味超える、日本一の大イベント。おそらく私達B小町がする最後の大舞台だろう。

みんなその思いがあるから蟠りを捨て、再び一つになることを選んでくれた。

今までのパフォーマンスを超えるパフォーマンスをするために。

「みんな、行こう!」

笑顔を作りステージの真ん中に向かう。

みんなも笑顔で頷きを返してついて来てくれる。

「みなさん!私達は!!」

「「「「「「「B小町です!!」」」」」

「ドームライブを終えてから、まさかこんな大きな舞台に立てるなんて思っていませんでした!」

「私達一人一人の全力を見てください!」

「センターは不動のアイちゃんですけど、私達も決して負けてませんので!!」

「私達の歌と!」「ダンス!」「衣装も!」

「「「「「「注目してください!」」」」」」

みんな一人一人、言いたいこと、伝えたいことを言い終えて顔を見合わせる。

ニシシ、という擬音が似合う笑顔だ。

ーーーセンターは私だけど、決して負けない、か…なんだろう。口に出してくれると凄く嬉しい。

うん、やっぱり今日は凄く良いのが出来そうだ!!

『意気込みはバッチリですね!今回B小町さんは三曲のメドレーです!!』

『サイン はB 、STAR☆T☆RAIN、HEART's♡KISS になります。お聞きください』

⭐︎

「ルビー、わかってるな?俺たちが参加するのは二曲目だ。タイミングは任せる」

「お兄ちゃんこそ、私に合わせるんだからズレないでよね?まあ1番気になるのは…」

((パパ/父さん)だよね/な))

「ねえ?何で僕もしないといけないの?話聞いてないよ?」

そう、父さんは急に苺プロ所属の俳優「カミキヒカル」としての仕事が降って湧いて出て来た。

内容は「サイリウムベイビーズと一緒にオタ芸をする」というもの。斎藤社長が僕たちのはミヤコさんに相談もして話を通していたが、父さんだけは勝手にOKしていたらしい。当人曰く

「前にアクア達と仲良く、オタ芸していたの見て、いけるな、と…まあ今回ウチはかなり恩を売った形だから事務所の躍進に繋がると思うぜ!」と凄く良いサムズアップを見た。

「と、ヒカルはセンスも動きも良い。さっき曲に合わせて練習したけど充分だから多少遅れても大丈夫。問題は動きを間違わないで」

「そうそう!お家で3人でマ、アイのライブDVD観ながらやってた動きが身体に染み付いてるから動きさえ合わしてくれたら良いから」

「わ、わかった!…何でこんなことに…」

項垂れる父の頭を優しく撫でるルビーと僕。

…お疲れ様です。

「サイリウムベイビーズさん、ヒカルさん!!出番です!」

!来たか!!

「ルビー、ヒカル、行くぞ!!」

「「ああ/ええ!!」」

ヒカルは切り替えてキリッとした表情でサングラスを付けて全ての指にはサイリウムを挟む。僕とルビーも同様だ。

アイ…母さん、みんな、僕たちの応援を観ててくれ!!

✳︎✳︎

1曲目はサインはB、この曲は普通に歌う。

普通と言っても意気込みなどは今までと段違いのダンスのキレだ。観客席の様子も気づいてくれているのか驚いた表情をしている。

(良い感じ…!)

手答えを感じる。そして2曲目のSTAR☆T☆RAIN。この曲の最中…ターンした瞬間に私達の衣装は「色が変わる」。衣装に仕込んでいた留め具を外すと展開された部分でそれぞれのパーソナルカラーが別のものになる。

そのタイミングが重要だ。このタイミングを合わせるまでかなりの練習が必要だったけど…今なら問題なく行える。

(タイミングは…今!)

一斉にターンをして色が変わる。

観客席からドヨメキと歓声が上がる。

成功だ!!!

私達全員アイコンタクトして意思確認。

(うまくいった!)(ターンはまだ二回ある。)(次もうまくやらなきゃ)

そんな矢先だった。観客席の真ん中にスポットライトが当たる。小さな2人、大きな1人…見覚えのあるシルエットだ。

(アイちゃん、アクアくんとルビーちゃんだ!)(後ろにいるので…ヒカルくん?)

歌唱パート交代の際に小さく話し合う。

…私達のサイリウム掲げてる。まさか⁉︎

(((((((オタ芸だーーー!!!!)))))

3人息のあった動きでキレ良く繰り出して行く。

私が少し迷っていた時に小さい頃のアクアとルビーがやってくれた応援…あの頃を思い出す。そしてあの頃と違うのはヒカルも…私の夫も子ども達と共にエールを送ってくれていること。

(アクアくん達の応援で弾みがついた!)

(私達の全力、もっと見せなきゃ!!)

みんなの笑顔がさらに輝く。

私の口角もどんどん上がって行くし、目元も緩んでしまう。

ーーー私の家族、きゃわ〜〜♡♡♡!!

やっぱりこの気持ちは間違い無い。私は家族全員を愛してる!!

**

(アイ、みんな…良い笑顔だ。僕達のエール受け取ってくれたかい?)

(父さん、三曲目に突入だ!まだ行ける?)

(無論だよ。お父さんのパワー、見せてあげるさ)

(よーし!私達もギアあげるよ!!)

僕達の動きに呼応するようにアイ達の動きもテクニカルに変わる。

僕達3人、舞台の7人で一つのパフォーマンスとなっている。

(これをしたかったのか?N○ Kは…)

確かに見栄えと話題性はある。巻き込まれた僕はたまったものじゃ無いが。


そして遂に彼女達のパフォーマンスは終了し、僕たちも一礼し観客席を後にした。

「お疲れ様、ルビー、アクア。生きた心地しなかったよ!」

「お疲れ様、上手かったんじゃない?」

「中々だったと思う!」

控え室に戻る通路で互いを讃え合う僕ら。

舞台では僕達を司会の方が紹介してくれている様だ。

…もしかしたら風見先生、僕に気づいてくれたかもな。幼い時に別れた恩師を思い描いて戻っていると前からB小町のみんなが見えた。

「お疲れs

「ヒカルくんだ!」「アクアくん!ルビーちゃん!!私達どうだった⁈」「2人とも可愛かったよー!」「ヒカルくんのその格好似合ってるよ?自前?」「可愛い成分補給…パフォーマンスする前に会いたかったなぁ」「ルビーちゃん!私達格好良かったでしょ!」

みんな走って来て一気に囲まれてしまった。動けない。アクアとルビーに至ってはみんなに変わるがわる抱きしめられたり頭撫でられたり…とされるがままだ。

「み、みんな!邪魔なるから控え室に行って次の出番に備えよう!ね?ね?」

はーい、と言いながら去っていく6人。残されたのは疲れ果てたアクアと元気に手を振るルビー。

そして

「楽しかったかい?」

「うん!凄く楽しかった!!…またみんなとしたいなぁ…こういうの」

「時間はあるさ。それまでにもっと楽しめば良い。それはそうとお疲れ様…惚れ直しちゃったよ」

しんみりとしたアイに労いの言葉とコッソリ、今の気持ちを彼女に伝える。

目をパチクリさせた後、満面の笑みを浮かべるアイ。

「凄く良いパフォーマンス、私も見てたよ!アクアとルビー、ヒカルの本当に格好良かった!!またやってね?」

「「プライベートなら可」」

「えー」 

アクアと声を揃えて条件付きでお断りする。

流石に毎回アレを仕事でやりたく無い。プライベートでやる度に仕事が頭をよぎるのは嫌すぎる。

「じゃあ、次の出番があるから!じゃあね!!」

「行ってらっしゃい」

「頑張れ」「頑張って!」

3人で手を振り僕たちも控え室に戻り、休憩となった。

余談だけど赤組が勝ちました。


おまけ

「B小町の演出良かったなぁ…全員のカラーがコロコロ変わるやつ」

「ターンすると変わるのどうなってるのかな?」

「みんなの笑顔綺麗だったし、今までより良かったかも」

「あとサイリウムベイビーズ、もしかして昔バズったあのサイリウムベイビーズか⁈」

「芸能界に居たんだなぁサイリウムベイビーズ」

「あのサイリウムベイビーズと一緒にいた男、アイのマネージャーじゃね?」

「芸能人だったの⁈」「滅茶苦茶イケメン…目が良くなる気がする」

B小町はもちろん、サイリウムベイビーズ+α話題になりまくりました。


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