Between the devil and the deep blue sea.

 Between the devil and the deep blue sea.

しかしゲッコーモリア(学生の姿)は回り込まれてしまった!

※学パロ?

※転生兄🐊と弟🐫



たとえ誰かが死んでも毎日朝はやって来る。

体幹的には止まっているように感じても、時間の流れというものは薄情で。

決して待ってくれはしないので、正直な腹の虫がぐうぐう鳴いている。


▲▽


モリアの下の学年に入学してきたクロコダイルは顔に傷もなければ葉巻もふかしていなかった。

仮にも未成年で、当時よろしく猫を被って模範的な優等生気取っているから陰でどうこうしているかもしれないが、そんなことはまあどうでもよかった。

シンプルに興味がない。

自分の同世代にいたナチュラルボーン狂犬のクソキャメルはどうしているのか、とそれとなく探りを入れても怪訝そうに目を細めるばかりで、どうやら兄貴はいないらしい。


いてもはた迷惑なあるく火薬庫のようなやつだったから、その方がクロコダイルもせいせいする、のだろうか。

でもまあ当時の取り乱しっぷりはそれはそれは見るに堪えないものがあったから、それも含めてクロコダイルに大海賊時代の記憶がないだけラッキーだろう。


そしてモリアは、ポケットの中のクッキーを常備するのをやめることにした。




のだが。




「弟。はさみ持たせておけばおとなしいから放っておけ。…でも目は離すな、絶対に部屋から出すな」


学童保育も児童館も休みだからとクロコダイルが連れてきた子どもは、見覚えのある悪魔のような横長の瞳孔でモリアを見上げた。

兄弟おそろいの琥珀色の目とつややかな黒髪。まだ成長期も迎えていない華奢な体躯は、ここからどう荒れた環境でひねくれて育てばよく知るあの姿になるのか見当もつかない。


が、お利口さんで物腰穏やかでも気性が荒いのは健在らしい。

生徒会室は託児所じゃねェぞ鰐野郎、と早速からんだドフラミンゴの脛を蹴り上げている。


「いいかキャメル、フラミンゴ野郎は相手するな。無視しろ」

「むかついたら蹴っていい?」

「無視しろ」

「鬱陶しかったら蹴っていい?」

「無視しろ」

「蹴っちゃダメ?」

「無 視 し ろ」


頑なに徹底抗戦の姿勢を崩さない弟を静かに成り行きを見守っていたくまに預けると、クロコダイルは足早に教室をあとにした。

あれでいて根が真面目で根気強いから、生徒会以外にも色々タスクを積まれているのだ。



置いて行かれる形になったキャメルは相変わらず切り替えが早く、大人しく隅の机に腰掛けて小さな手がなかなかに精緻な切り絵を作り上げる様を眺めながら、ため息をつく。


「こうしてみるとただのガキだな」

「モリアは随分縮んだね」


ペローナちゃんとアブサロムくん元気?



お前はしっかり覚えてるのかよ。

きろりと真横に動いた瞳孔は相変わらず不気味な光を宿していて、そういえば悪魔と契約すると死んでも逃げられないっていうよな、とここにはいないクロコダイルの前途を思ってモリアは手を合わせた。


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