Backfriend.
#宇沢レイサ #伊原木ヨシミ授業が終わって、みんなで集まって、カズサの友達……宇沢レイサがやってきて、一騒ぎして、持ち寄ったスイーツを食べて、さようなら。よくある日常の、よくある1コマ。
大丈夫、怪しくない。いつも通りだからまだバレてない。大丈夫、私ならできる。言われた通りにやれる。できる、できる、できる……。
「ヨシミ、帰らないの?」
自分に言い聞かせていると後ろからカズサに声をかけられる。心臓と肩が小さく跳ねた。
ドクドク脈打つのを深呼吸で宥めながら振り返って「ちょっと用があるから」とだけ返す。怪しまれるだろうか、なんて心配は杞憂だったみたいで、ふーんという生返事の後に軽くお喋りをして皆んなはいつも通りの帰り道に着く。
2人きり取り残された部室でモジモジし始めたレイサが帰りたそうに視線だけ動かしてこっちを伺ってくる。
「……そ、それじゃあ私も」
「ああっっ!!!」
「わっ……!」
「ごめん声大きかった」
落ち着け私。言いつけを守らなくちゃ。『とってこい』って言われたんだから、この子を連れ帰って、ご主人様を喜ばせなくっちゃ。できる子だって褒めてもらって、たくさんご褒美もらって、それで……いっぱい叩かれて……。
『それから』のことを考えてお腹の奥が熱くなる。だめよ、集中しなさい、私。
「すぅ、ふぅ……。ねえ、あんた暇?」
「はい?」
「ちょっと連れて行きたいところがあってさ」
「えっ、あの……ええっと……」
━━━
「ほ、本当にこんなところにあるんですか……!?」
「うっさいわね……。こういう所にあるから名店なの!」
茂った木々を潜り抜け、森を進む。
キャスパリーグを一泡吹かせるために隠れた名店のスイーツを買わないか、なんで誘ってみたけどまさか本当に騙せるとは……。
虫除けのスッとする匂いがしっとりと滲んできた汗に混じる。その後も二人で二言、三言会話をしながらしばらく進んで……目的地に着いた。
「これが……お店?」
「…………行くわよ」
「あっ、待ってください……!」
どう見ても廃屋な外見に宇沢レイサは疑問を呈する。まあ、本当にただの廃屋だからごもっともな意見なんだけど……。
床の扉を持ち上げると地下室への埃っぽい階段が現れる。
「ええっ!まだ先があるんですか?!」
「なによ、キャスパリーグに一泡吹かせるんでしょ、もうちょっと頑張りなさいよ。……それともトリニティ自警団ともあろう方が、まさか暗いところが怖いなんて言い出すんじゃないでしょうね」
「そ、そんなわけありません!い、いい、行きましょう!!」
……ほんと、チョロくて助かる。
何度か下見した地下室は割と清潔だ。少し湿っぽいが埃やカビの匂いはしない。……ここなら助けは来ない。
「ごめん。レイサ」
「えっ、なにもしてませんよ……?あの?ヨシミ、さん?大丈夫ですか?」
こっちを向いてる。油断してる。銃も構えていない。今だ、今しかない!そう思った私は素早く鞄からあの鞭を取り出してレイサの頬を思い切り引っ叩く。
「かふっ……?!♡おっ……♡んっ、あぇっ??♡♡」
……そう、ビックリするわよね。痛いのに気持ちよくって、痛いのが気持ちよくって。訳のわからないところでイかされるんだもの。
不安と興奮の入り混じった眼差しが向けられる。涙目で頬を抑えるレイサの姿がどうしようもなく私の加虐心を煽ってくる。
「ごめんね……。でもっ、でもっ、私っ!とってこいって言われたからっ!」
唐突な快感を受け入れられていないレイサの腿を、首筋を、手の甲を、お腹を叩く。
「ひゅっっ……♡」
レイサの腰が跳ねて床に落ちる。べちゃりと水っぽい音がした。
何度も打ちつけた。何度も、何度も。何度も何度も何度も何度も繰り返し打ちつけた。レイサの白い肌にいくつも赤い跡ができる。
困惑混じりの甘い喘ぎ声が、押し付けられる快感に苛まれるような苦しい喘ぎになって、その苦しみすら通り越して獣の唸り声のような野太く下品な喘ぎになる。
「んお゛お゛……っっ♡♡♡ほぉ゛っっっ???♡♡♡……?……っっ???♡♡♡」
レイサはだらしなく口を開け、よだれを垂れ流しにする。快楽で全身を痙攣させてイヤらしい体液の匂いがあたりに立ち込める。
「はぁっ……はぁっ……。あはっ、私も、こんな、幸せそうな顔してたんだ。はぁっ……。あははっ……」
ご主人様もこんな気分なのかしら。こんな気分で私をいじめているのかしら。私はこの子みたいにご主人様に媚びを売れているのかしら。この子みたいに楽しませてられているのかしら。
……ううん。きっと私はそうじゃない。ご主人様がこの子に執着する気持ちがわかった。私にはこんなに可哀想に縮こまることはできない。劣情を煽るような蕩けた表情は作れない。奥底に眠る衝動を突き動かすような悲鳴は出せない。虐めたくなる泣き顔を、痛めつけたくなる態度を、鳴かせたくなる嬌声を、私は持っていない。
鞭を振るう。
「見せて……」
私はきっとこの子に及ばない。
鞭を振るう。
「教えて……」
二番手で構わない。でも、それでもこの子に少しでも近づけるように、ご主人様を悦ばせられるようにならなきゃいけない。
鞭を振るう。
「泣いて……」
もっと、もっとあなたを見て、私も同じようにできなくちゃいけない。
鞭を振るう。
「壊れて……!」
だから何度だって叩きつけた。
鞭を振るう。
鞭を振るう。
鞭を振るう。
鞭を振るう。
鞭を振るう。
鞭を振るう。
鞭を振るう。
━━━━
レイサの喉が枯れて、私の腕が持ち上がらなくなった頃、ご主人様がやってきた。
ご主人様は私の鞭を取ってレイサの耳元で風切り音を鳴らす。耳元を掠めた鞭は身体のどこも叩いていないはずなのに、レイサは音だけで絶頂させられる。掠れた喘ぎ声とべちゃりとびしょ濡れのスカートが落ちる音が鳴る。
「へぇ、上出来じゃない。私の教えが良かったのかしらねぇ?」
満足そうに頷くご主人様は、鞭先で私の顎を上げさせる。熱が下腹部で渦巻く。ジリジリと焦がれる感覚に息が荒くなるのを抑えられない。
そんな浅ましい私のことを見て、ご主人様は目を細める。
「いい子にはご褒美をあげないとね。何がいいかしら。とびきり良いケーキでも、頭を撫でてあげるのでも愛情たっぷりのハグでも。ああ、あなたが望むならいっそのこと自由にしてあげてもいいわよ」
ご褒美。その響きに以降の言葉は全て右から左に流れる。やった、やったぁ。ご褒美がもらえる……!
私はスカートをたくし上げ、下着をずらしはしたなく濡れそぼった割れ目をご主人様に見せつける。
「こっ、ここに……お情けをください……!」
スイーツなんてどうでもいい、自由なんてどうでもいい。ただ気持ちいいのが欲しいの。お願いします。ここにください。足を開いて腰を突き出し、餌をねだるペットのように、弱いところを必死にアピールする。
情けない私の姿を見て、ご主人様はヘラッと笑った後、真っ直ぐに私のクリを打ち付けた。
「っっっゔっぎゅゔっっ!!?♡♡♡」
歯を食いしばりながらぐるりと白目を剥いて、四肢をピンっと硬直させる。頭が真っ白になる。神経が焼き切れるような快感に脳内は掻き回され立っているのかどうかすらわからない。呼吸ができない。視界は白黒に明滅する。
「……あら?欲しがりさんねぇ、今回だけよ?」
風を切る音。
腫れあがって包皮から顔を出し、剥き出しになったクリを、弾けてしまうのではないかと錯覚するほどの勢いで叩き潰される。
「ぴっ……っ??♡♡♡♡♡」
ご褒美のおかわりに、ぶしゃりと勢いよく潮を撒き散らして私は倒れ込む。1度目のご褒美に身体を硬直させ、腰を突き出したまま……おねだりのポーズのままイキ続けていたことに私が気づくのはまだ先のこと。
微かに残っていた自我は強烈な快感の前に今度こそ吹き飛んだ。全身から意識が解き放たれたようで、刺すような絶頂の波の中、家畜としての役目を果たせた喜びと、捨てられなかった安堵に、私の心はより深いところへ堕ちてゆくのだった。