BALANCE OF LIFE
1
虎屋翼は目を覚ました ユーハバッハの目の前で微かな抵抗共に意識を手放したはずだが
「あの人...そこの方達共々見逃して一護さん達の元へ向かいましたわね!」
ベリベリと髪や服に絡みついた乾いた血を乱暴に払いユーハバッハの霊圧を探る
仇の居る位置は下 一護たち相手に思ったより手古摺ったのだろうか
体は既に満身創痍 汞一文字は問題なし それでもって
「菓子はこれ一つと...そもそも一回ぶつけてそれで決めるしかないでしょうし そこまで深刻ではありませんわね」
少し欠けが目立つ飴玉が一つではあるが手元にはある これが最後に残されたユーハバッハへの銀の弾丸だ
ユーハバッハの顔も何処ぞの神仏と同じで三度までは翼を許したが...四度目となれば流石に殺されてしまうだろう
上等である まだ『復讐』を成す方法があるのならそれに従う ただそれだけ
翼は体に残った血に対して随分と血の気を多くして下へと飛び降りた
「視えていたぞ 『虎屋翼』...お前がここに死にに来ることも」
「タスク!」
落下の衝撃を殺し切れずに華奢な足を少し傷つけながら翼は現れた
戦闘は十二分に佳境であり常人の割って入れる代物では無い
『第六感』...いや友たる『霊王』に翼は問う 復讐を成す方法を
返答を聞き翼は斬魄刀を抜き放つ
刀身が溶けて常温の上で時に流れ時に留まる自由の身となる 役者は揃った
翼は一護も恋次も無視してただユーハバッハの元へと駆ける
「今も視えているぞ お前は最後まで...『復讐』に囚われて死ぬ 霊王の力があればその未来を超えられるかも知れぬがな」
ユーハバッハに『マインド・スイート』による自死の命令 それが翼の勝ち筋だ
であれば当然飴玉はユーハバッハへと向かって放たれる
ユーハバッハは未来に自身に掛けられるであろう能力を対処しそのまま混乱した場で全てを葬ろうとしていた 黒崎一護の卍解は危険だ であれば翼がかき乱した場で一気に仕留めておきたい 罠は既に仕掛けている
未来で見た通り飴玉はユーハバッハへと放たれ..."ラケット"へと変形した汞一文字によって黒崎一護へと打ち出された
「『下がりなさい』!」
黒崎一護は自らの足が操られその場を離れる 罠の圏内から外れる
仕掛けていた罠に掛かったのは翼のみでありユーハバッハの見た未来とは大きく乖離していた
「タスク!!ッ月牙天衝!!」
上で戦っていた時に見た地から飛び出る攻撃が翼に複数刺さっている だが動揺したのは一護と恋次だけではなくユーハバッハもそうであった
その隙に一護は一撃を放ちユーハバッハも少し弾き飛ばされた
「万が一 いや億が一も無く...お前は復讐に身を捨てていた 何故だ__」
翼は最後に吐き捨てるように答えた
「『友達だから』 では不服ですの?」
翼は提示されたその手でユーハバッハを殺す方法の上に一護の命が天秤にかかり...一護の命を選んだ
「それに一護なら勝てると そう確信しているからですわ...地獄で会えば今度こそ私の手で殺しますわユーハバッハ」
虎屋翼にはもう動く余力は無い ただただ後は死を待つのみである