BAD BEDTIME STORY

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「お前が土壇場で参加した滅却師の子か?」

「そうじゃな 儂はシーカー・ダルヴァと申す者じゃ 陛下の親衛隊の一人であるリジェ・パロ殿の目に留まることが出来るなど光栄ですのう」

「そう言って貰えるのは嬉しいけど ハッシュヴァルトに君の監視を頼まれて来たけどどうかな...」

親衛隊が集う事の多いエリアでダルヴァとリジェは相対した この時期に飛び入り参加というのは大体何かしら考えて来ていそうなものだが

死神のゴタゴタの際にこちらを他に知られぬ様に探り当て陛下の御為に働きたいと言い出し その為に自ら生み出した者すら捨ててきたと言う

裏切り者なら随分と気合の入った者 単に信奉者ならそれはそれで気合が入っている

場合によっては『万物貫通』の出番とも考えていたが来てからは本当に何もアクションが無い 強い葛藤であるとか露悪的な感情その他探ろうとも見当たらないと来た

「お前は死神と共闘することもあったそうだが...実際に侵攻が始まった際に心を動かさずに敵として戦えるのか」と問えば

「勿論じゃ 出来る事なら陛下の御姿を見ていたいところではあるのじゃが...」

といった具合で他の滅却師より上へと向かう向上心も無く 死神への激しい敵愾心も無い

リジェがその後話が弾んだのは『陛下』に関してお互い語り合えたからであって聖十字騎士団という括りの繋がりからでは無かった


「陛下の御を見ていたいという申し出だが...僕が許可しよう 許可と行っても自分で行って自己責任で行動するという前提だが

もし判断が遅れて陛下の邪魔になるのなら 一撃で撃ち殺す

仮に何処に居ようとリジェであれば殺せる ダルヴァは多少硬くはあれど頭蓋に穴が開けば十分死に得るのまでは他と変わらないそういった前提での決定である

「お気遣い痛み入る ただ感謝を述べるしか出来ないのが歯痒いのう...必要があれば儂に調達や調合が出来る物は工面するように努力させていただく故」

「お礼は良いよ 少なくとも邪魔にはならないだろうというただの僕の判断だ」

一次侵攻が始まろうとしている だがダルヴァはずっとウキウキとしていた

その姿は何処か『英雄譚』を綴った本を寝枕に持ってきて夜更かしを始めてしまった子供の様な緊張感の無さと無邪気さ...そして現実味の無さがあった




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