B小町、紅白歌合戦に出場!〜本番前〜

B小町、紅白歌合戦に出場!〜本番前〜



12/31

AM10:00 リハーサルのため現場入り。

「社長、良い感じゃ無いですか?」

「まあ、悪くは無ぇな。後は本番上手く行く事祈ろうぜ」

舞台袖からB小町のリハを見ている僕と社長。

今までのアイを引き立てるためだけのパーフォマンスから、センターのアイも輝かせて、自分達自身の輝きも魅せるためのパフォーマンスへの変更は、僅か紅白決定から数ヶ月の間でみんなの努力と振付師の彼(youtuber転職予定)の協力の賜物で実現したと言える。

「本番はきっと日本全国でB小町が話題を攫いますよ」

「ああ、そうじゃねぇとお前や事務所のスタッフ全員の苦労に見合わねぇよ」

その後は彼女達の番のリハーサルと全体の立ち位置、進行の打ち合わせ等を見学した後、社長は挨拶に向かい、僕は彼女達の控え室に向かってから事務所に一旦帰社しようと考えていた時だった。

「すいません、苺プロのカミキヒカルさんですよね?」

「?はい。カミキです。マネージャーしています」

「私、N○Kの藤崎と言います。御社の事務所に所属している子役のアクアくん達に今回の紅白歌合戦のパフォーマンスに参加していただきたくて」

思いもよらない局からのオファーだった。

アクア「達」?まさか、ルビーも?

しかし参加して欲しい、とは…しかしいきなり過ぎるな。一度ミヤコさん、社長に一報入れないと。

「一度弊社に持ち帰っても良いでしょうか?あとどのようなパフォーマンスを?」

後なんでルビーの存在を?

「オタ芸です」

「はい?」

「オタ芸です」

オタ芸…オタ芸⁈

え?うちの子達出来たっけ…いや出来たわ。赤ん坊でやってバズってたわ。通称、サイリウムベイビー。

けれど最近アクアはそんなことしていなかった筈だし…まず黙ってたよね。なんで?

「実はサイリウムベイビー大好きでして、今でもあの動画見るんです!アクアくんとサイリウムベイビーの2人のうち、男の子そっくりですし、隣にいた女性は御社の副社長さんじゃないですか!!

さらにさらに!聞きましたらアクアくんは御社の社長夫妻のご子息で、たまに弊局で出られてますし、娘さんはたまに息子さんやアイさんからの聞きますから是非とも!」

アイさんからあのキレは失われていないと聞きました!

と凄く鼻息荒くして熱弁する藤崎さん。

…弱ったな。熱意が凄い。断りたいが、話だけ通さないと面倒そうだ。僕の不手際でアクアとルビー、事務所に所属しているタレント達が干される未来は避けたい。

あと確認しなきゃ。

「娘…ルビーは芸能活動していないのでそこは保護者の社長夫妻に確認したく思います。あの、ルビーとアクアは誰の歌で、その…オタ芸をするのでしょうか?」

流石に関係ない曲でしてくれ、は無法過ぎるし、もしそうなら断りやすい。

こんな土壇場オファー、普通は無いし。

「無論、B小町です!!サイリウム振るだけでは物足りないので!」

あー…あの子達了承するかもしれない。

アイやB小町大好きだし。

☆☆

苺プロダクション事務所

「みんな、後はB小町の中継を見守るだけ!かなり大変だったけど…みんなの協力があったからこそよ。本当にありがとう」

デスマーチを乗り越えた戦友達…事務所に集まった所属タレント、スタッフ達にお礼の演説を終えると割れんばかりの拍手が事務所を満たした。事務所では慰労会(B小町除く、事務所にいる人オンリー)が開かれていた。(B小町が戻って来たら慰労会第二弾予定)

「お兄ちゃん、パパとママ頑張ってたよね…」

「ああ…家でも事務所でも…見守っていたから分かる。頑張っている姿はいつも見ていたが、それ以上だった。きっと凄いのになるぞ!」

お兄ちゃんはそう言いながらオレンジジュースを一気飲みして、うまい!!と親父くさかった。

私もならってリンゴジュースを一杯飲む。

美味しい。

「ルビーちゃん、アクアくん、お菓子もあるからね」

「君達がB小町の絆を復活させた立役者なんだからいっぱい食べていっぱい飲みなよ」

事務の絹旗さん(衣装作り担当)、振付師さん(名称不明、筋肉)からお菓子が沢山入った皿とジュースのペットボトルを3つくらい持って来てくれた。

嬉しいけどそんなに要らないです。

「ありがとうございます、けど食べ過ぎるとご飯食べられなくなっちゃうので…」

「そう?アクアくんはバンバンジュース飲んでるよ」

「え?」

絹旗さんが指す方を見ると

「コーラが美味い!」

テンション迷子で、スタッフさんやタレントさんに囲まれてコーラを美味しそうに飲む兄がいた。

「アクアくん、メインイベントはこれからだよ?」

「何してんのお兄ちゃん…」

振付師さんが嗜めるレベルでテンションがおかしい。いつもだと私の役目な気がするんだけどな。

そんなこんな、しながらみんなのマスコットをしていたらミヤコさんの携帯に着信があった。

「あら?ヒカルくんからね。もしもし、何かトラブル?…は?…へ?…ごめんなさい…冗談?それとも…マジな話?

…そう…冗談であって欲しかったわね…壱護はなんて?私とこの子達に任せる?

またあの男は…判断に困って私に投げたわね…わかったわ。少し待ちなさい。ルビー、アクア」

「何?」「どうしたの?」

「2人とも…B小町の生中継、出たくない?」

「「出たい」」

「即答だ…」「即答ね…」

ミヤコさんがパパからの電話に出てコロコロと表情を変えて呆れた表情をしたかと思うと私達に凄く魅力的な提案をして来た。

「だって!!年末のN○Kだよ⁉︎行けるなら行きたいよ!」

「同じく。僕も生で見られるならみたいかな」

「なるほど、そうよね…その代わり、条件があるのよ…それを聞いて判断して」

「滅茶苦茶真剣な表情じゃん…ミ…ママ。」

「ミ、お母さん、何か大変なこと?」

「サイリウムベイビー…いえ、2人がB小町の曲に合わせてオタ芸してみんなを応援して貰いたい、てオーダーね…どうする?」

「「」」 

「副社長無茶苦茶ですよ、このオファー。礼を失しています」

「強制力ないとはいえ…芸能活動していないルビーちゃんを引っ張ってこよう、てのは…ちょっと」

「壱護もヒカルも迷っていたけど、形は一度持ち帰って、の形取らないといけないし

話題性を得るきっかけにはなるわ…私個人は、正直どうかと思うけど」

ミヤコさんとスタッフさん達が怒った感じで話をしている。私は正直それどころじゃなくて。

それにしても…イミガワカラナイ。というか、あれから6年以上経って?そして私達の素性がある意味バレてる?

「……父さんは?」

「2人の判断を尊重したい、て。私は…嫌なら断って良いと思うわ。無茶苦茶なオファーだもの。むしろ抗議して良い内容だし」

「けどアイ達を応援出来るんだよね?生で」

「まあ…そうね…」

「…僕は出ても良いと思う。」

「アクア⁉︎」「アクアくん!」「アクアきゅん⁉︎」

「アイ達を生で見れて僕たちの気持ちを…エールで伝えられるならやりたい」

お兄ちゃんはやる気か…なら。

「お兄ちゃんやるなら私もやる!アイ達の晴れ姿見たいし!!」

「決まりね…ヒカルくん。2人了承したわ。先方に受ける旨を言って。あと抗議は私から入れます。よろしくね」

怒ってもミヤコさんは綺麗でした…怖いけど。



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