Assassin elucidation
神永side in
───酷い目にあった。
ライダーが一冊本を開けたことから始まりそこから連鎖的に低級霊のトラップが発動、その影響で大型の霊まで出てきててんやわんやの大騒ぎになってしまった。
「…こ、これで全部か?」
「ええそうね、あとは調べるだけ」
「俺も手伝った方がいいな、この量だと」
山のように積まれた書籍を見ながら美作に質問をする
「そうね、こっちの山は私が調べるからそっちの山をお願い、キーワードは蛇、呪い、くノ一よ」
「あいよ、とりあえずキーワード見つけたらその本は退けとくわ」
そう言って2人で黙々と資料の山を崩していく。尚戦国やそれ以前の書籍の文字は2人とも普通に読める、古都の魔術師故にその程度は一般教養なのだ。
───
「…これもなし、こっちは終わったぞ」
「こっちもちょうど終わったわ」
そう言って2人でいくつかの本を開きながら顔を突き合わせ話し合いをする
「蛇の呪に関しちゃ色々あったな、夜劫の家との関わりとかそこら辺についても書いてあったぞ」
夜劫…日本に古くから続く形式の魔術を扱う家系だ。神體と呼ばれる神の一部から権能を引き出し扱う。このような家は日本の各地に存在しているが今必要な情報では無い。
「でもそれじゃないのよね…あと見つけたのは伊吹大明神、所謂八岐大蛇に関する伝承ぐらいだったわ」
「八岐大蛇か、それ関連だと───須佐之男や日本武尊辺りが有名だな」
「そうね、あと可能性があるのは…甲賀三郎ね」
「…甲賀三郎、山中異界からの帰還者か」
「ええ、でも甲賀三郎自身は男性だから今回のアサシン本人ではないわ、となると可能性が高いのはその子孫ね」
甲賀三郎、山中異界より帰還せし超人。そしてその後神として祀られた偉大なる武人でもある
そして彼の子孫は───忍者である。
「甲賀───甲賀忍者関連か」
「ええ、そして甲賀で最も有名なくノ一ならば絞られるわ」
そう言って1冊の図録を取り出した、そこには様々な戦国武将及びその時代における偉人が載った図録だ。
彼女はその1ページを開き指を指す
「甲賀五十三家、その筆頭である望月家のくノ一」
───名を、望月千代女
「アサシンの真名はおそらくは彼女よ」
確かな自信を持った目で、断定する。
「だが蛇の呪いが甲賀三郎由来だとしてもそれが子々孫々受け継がれるか?」
「可能性は高いわ、何せ伊吹大明神即ち八岐大蛇はあの須佐之男を持ってしても直接の戦闘すら避ける怪物よ」
そして図録の一説に指を指す。
「そして彼女自身はくノ一であると同時に巫女でもあった、そして巫女は神に仕えるだけでなく神の怒りを鎮める役目もある。」
つまり、彼女が巫女であったのは自身の身体を蝕む呪いを鎮めるため…確かに道理は通っている。
「なるほどな…となると宝具もある程度は予想がつく」
「ええ、恐らくは伊吹大明神の呪い、あるいはそれを用いたものね」
「伊吹の神か…たしか酒呑童子とも関わりがあったな」
「そうねそうなるとバーサーカーが私たちの陣営の切り札になるわ」
そう言ってバーサーカーを呼びつける。
「ねぇバーサーカー。伊吹の神の呪いを相手取って勝てる自信はある?」
「ちっとやそっとの呪いなら負ける気はしねぇ」
「そう、なら任せるわ」
そう言ってバーサーカーはライダーと共に将棋をしに戻った。あいつらどっから持ってきたんだ…あ、ライダーが王手掛けた
「…しかしすっかり日が沈んじまったな」
そう言って窓の外を見る、既に日は落ち空には月が煌々と輝いている。
「そうね、こっから帰してもいいんだけど…」
「5割くらいの確率でアサシンに襲われるな」
そう言って美作に反論する、アサシンの手の内を確認しすぎたのだ最も狙われるのは俺たち2人だろう。
広いとことはいえ常に闇討ち奇襲の可能性がある帰り道なんて歩きたくもない。
とすれば…
「アサシン相手に打って出る手があるわ」
「アサシンの居場所が分からねぇ」
「…学校かしら?」
というかなぜ学校にああもサーヴァントが集まっていたんだ?あそこは霊地か何かなのか…?
「可能性はある、けどなんであんなにサーヴァントが学校にいたんだ?ランサーにアサシンそしてお前とバーサーカー」
「あそこが霊脈にのった霊地だからよ、陣として使うのにはうってつけ…待って、アサシンがあそこで陣取ってるのはマズイ!!」
なにかに気づいたのか焦った美作が急いで用意をしている
「アサシンが大量の魔力を得たとしたら手に負えなくなる!」
確かにあの蛇が際限なく湧き出てくるだけで厄介極まりない。そうなると学校の霊地を渡す訳にはいかない
「学校に向かうわ!準備急いで!」
そう言って慌ただしく学校に向かうこととなった。
神永side out