Angry Girl

Angry Girl


神永 side in

「ばあああああああああっかじゃないの!!!!!!」

朝イチでバーサーカーを連れてうちに来た美作が恐ろしくでかい声でこちらを思いっきり罵倒してきた。

やらかしたこと自体は相当良くないため甘んじて受けるべきなのだが…

「うるっせぇ!!朝っぱらから近所迷惑だろうが!!!」

「それどころじゃないでしょ!!私が懇切丁寧に説明したその日のうちに!独断で行動して!!挙句の果てに令呪を一角使ってくるだなんて!!ほんともうバカじゃないの!いっぺん死んだ方がいいんじゃない!!!」

「グッ…」

ほんともうぐうの音も出ないレベルであっちに正義がある、考えなくとも100こちらが悪いのだ。

「…はぁ、とりあえずあんたのやらかしはどうしようもないから一旦置いときましょ」

そう言ってお茶を口にして喉を潤した美作は頭を抱えつつ一息ついた。

尚後ろの方でバーサーカーとライダーは美作の剣幕に縮こまっている、大型犬と小型犬がくっついて震えている状態そっくりだ。

「その件に関しては本当に悪かった、だが相手の情報もある程度は手に入ったぞ」

そう言って筆と紙を使い似顔絵を書く、そこにそっくりまでとは行かなくとも特徴を捉えたアサシンの似顔絵を描く。

「ひとまず特徴としては女性、蛇使い、そして高い確率で日本の忍者ってところだな」

「ふぅん、忍者と判断した理由は?」

「使ってる武器だ、1度斬りかかられた時に見えた武器の形状がクナイだったんだ」

そう言って記憶に残っている武器の形状も描く、所謂クナイの形状だ。

「…くノ一で、蛇」

何かに気づいたのか考え込む美作。

「なにか心当たりがあるのか?」

「少しね、そうなると調べ物しないといけないわ」

そう言って立ち上がった美作は

「手伝ってちょうだい、家の書庫を開けるわ」

「…げっ!?マジで言ってんのか、あの伏魔殿を!?」

その言葉を聞いたバーサーカーは

「お?オレらの出番か?」

「敵がいるのでしたら我々が倒しますが」

頭バーサーカーか!?バーサーカーだったわ…それとも源氏ってこんなヤツばっかなの???

「いらないわ、ただ力仕事だったりはあるから2人にも手伝ってもらうわよ」

そう言って荷物をまとめた美作は

「先に帰って準備しとくわ、アナタも礼装用意しといてね」

そう言ってバーサーカーを連れて家に帰っていった。

「あの、主殿?なぜそこまで怖い顔を…」

「小さい頃のトラウマがな…」

そう言って幼い頃を思い出す───

そう、5歳くらいの頃、アイツの家に行った時に2人で家を探検したのだ。その時に書庫のある別館を探検したのだ、そしてあの伏魔殿に足を踏み入れてしまった…

「魔導書に仕込まれた罠やら低級の悪霊やらに追いかけ回され挙句の果てには死にかけて…」

ああ、思い出したくもない地獄の3時間…

「…そんな恐ろしいところからよく幼い身で生きて帰ってこれましたね」

「運が良かった、それしか言えない…」

本当に運が良かったのだ、たまたま手に取った本に憑いていた低級霊が協力的で最終的にその身を犠牲に俺たちを救ってくれた…幼い頃の冒険譚でもあるのだ。

「まぁ今ならある程度は大丈夫だろ、それに家主のアイツの協力もあるんだなんとかなる」

「はぁ…ならいいのですが…」

信用なさげにライダーは相槌を打つ、さてとりあえずは礼装になる式神をいくつかカバンに詰めて行けばなんとかなるだろ、そんなことを思いつつ軽く準備をして美作の家に向かう。

───

「いらっしゃいませ隼人様」

玄関の前に着いた時、老執事が出迎えてくれた

「ん、ああ村田さんお久しぶりです。」

「ええ、もう2年ぶりでしょうか」

「あ〜アイツの家に行かなくなってそんだけ時間経ったのか…」

「あの、主殿この方は?」

「この人は村田さん、まぁ所謂執事だな。主にアイツ…穂乃果の世話係で俺も小さい頃よくお世話になった」

「なるほど…」

「其方はライダーさまですね、お嬢様からお話は聞いております」

「とりあえずアイツはもう書庫のある別館に?」

「ええ、ご案内致します」

そう言って村田さんは俺たちを案内してくれた、記憶に残っているままの別館に。中からは特に音は聞こえないので戦闘にはなっていないのだろう。

「入るぞ、美作」

「失礼します」

そう言って別館の中に2人で入っていく(村田さんは危険なので外で待っているそうだ。魔術の知識はあっても戦闘ができる訳では無いそうで)

しっかし昔の記憶と変わらないな…そうそうここに傷が付いてるんだ

「あら、人の家について早々家探かしら?そこまで落ちぶれてしまったなんて可哀想」

「…懐かしんでただけだよ、それに家探しするほど落ちぶれてもねぇ」

開口一番毒舌をぶっぱなしてくる

「とりあえず書庫から本持ってくるの手伝って、特に戦国時代あたりの書籍」

「あいあい、ライダーは運ぶの手伝ってくれ」

「畏まりました!」

「そういやバーサーカーは?」

「彼はもう本の整理に向かってるわ」

仕事が早いことで…さ!さっさと終わらせるか!

神永side out

Report Page