Aizen's Kitchen 「梨子編」

Aizen's Kitchen 「梨子編」

稲生紅衣メメ虎屋ダルヴァの主

「ここは...?」

梨子は白く何処か無機質な質感の部屋の中で目覚めた 部屋と言っても風化したのか元からそうなのかあちこちに穴が開き破損し外が見えている

知識の上では恐らく砂漠なのだろう だがどうにも生気がない...というよりあまりにも霊子が薄い

「良い質問だ ここは『ウェコムンド』ただ虚(ホロウ)の為の園ではなく ここは生まれながらに死に絶えている誰のものでもない世界だ」

薄い板から声が聞こえる

「藍染...?なんで__」

「君の知る『藍染惣右介』ではない そもこれほどまであちこちに干渉出来る個体はそういないからね まあ私の事はいい...その『スマートフォン』を手に取ってくれ」

動こうとすると思っていたより体が軋む どうやら長時間寝ていたらしい

板を手に取ると台所なのだろうか大人になってなんだか変な服を着た藍染が板に移っていた

「なにこれー!板の中にいるー!?」

「その反応は些か定型が過ぎるな さて君には話さなければならないことがある

君は『BG9』によって連れ去れられここに連れてこられたが他にも連れてこられた人物いる 君を含め連れてこられた人物の能力は凄まじい このまま彼らの能力を利用されては困る

まず一つ ここには『黒崎一護』と『マグダレーナ・ウォラギネラ』という人物が君より厳重に閉じ込められている それの救出をお願いしたい

それと二つ目だが...本来混じり合うはずのない世界が混じり合うと『存在しない記憶』が発生し一時的に記憶や人格の齟齬を発生させる この情報を広めておかないと協力するどころではなくなる可能性があるからね 周知をお願いしたい」

なるほどと一度頷いた梨子だったが気になることが一つ

「でもなんで私は無事だったの?」

「それは自分が答えるでござるよ」

背後から声が聞こえて振り返る そこにいたのは3mの巨体の筋肉モリモリマッチョマンのニンジャだった


「自分は藍染殿から任を受けて救出を手伝った者の一人『メメ・マールヴォロ』でござる 種族は破面(アランカル)...時系列的にわかりづらいでござろう 所謂死神と虚の混ぜものでござるよ」

「お...大きい!」

正直話のインパクトより見た目のインパクトが強かったがどうやら助け出してくれた一人らしい 他にはいるのかと周りを見るがとんと見当たらない

「あとは教育に悪い人物が一人来ているが...彼には徘徊して敵の注意を引いてもらっている 囮としては使えるのが彼の唯一の利用価値だ」

付け加えるように藍染はもう一人に言及する どうやらウマは合わないが少なくともこの状況でほっつき歩かせても大丈夫な人材なのだろう

「そこにはいくつかの『紛い物の斬魄刀』があるはずだ 君はその中から一つ選びたまえ...私や彼の意見を聞く必要はない 君が必要だと思う物を持っていきなさい」

言われるがまま少し進むと保管庫のような場所がありそこには確かに『斬魄刀』がいくつかあった

言外に「君なら最適な一つを選べるだろう」という意味を感じたが『教員』のように斬魄刀と話せるでも無し 自身の斬魄刀を探し出すわけでも無し

ただ『なんとなく』で一振りを選んだ


メメに肩車されて『黒崎一護』と『マグダレーナ・ウォラギネラ』を探す道中に滅却師の集団と遭遇した

「どうやら『マグダレーナ・ウォラギネラ』の居る世界線の人物たちと出くわしたようだね 気を付けたまえ...『存在しない記憶』は時に仇敵すら作りかねない」

リーダー格の金髪青年及び彼らが急に敵対しては救出どころではない

「アタシはどっちも知らないね どこの誰だい?」

「ボクも知らない人です」

「同じく!」

「どうするハッシュヴァルト...おーい?」

ちょい悪女傑に少年二人更に女傑が喋ったがどうにもリーダー格の様子がおかしい

ツゥーと涙を流しながらハッシュヴァルトはメメと握手をした メメもノリが良いのかマスクの下からでも伝わるほどのやさしい笑顔でそれに答えた

「これが『存在しない記憶』かぁ...」

「自分の世界のハッシュヴァルト殿は洗脳されてバズビー殿と無人島でユーチューバーしてたので...自分としては地続きな記憶でござるがなぁ」

無論ゲルベルガ達は阿鼻叫喚だったが一応説明を聞いて一時的な記憶の齟齬だと把握してからは行動を共にすることに賛同した

「私たち全員で協力し皆を救い出そう..."アイドル"として バズビーが居ないのが極めて無念ではあるが...!」

「アタシ録画しとくから後で素面に戻った時に見せてやろうぜ」

「ちょっと面白そうだけど見せた後が怖いねェ...」

ゲルベルガの提案に苦言を呈しつつカメラを渡すランキャットだった






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