A beautiful flower has a core

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requesting anonymity

「凄くいっぱい集めたんだねえサチャリッサ」

ホグワーツ城に隣接する森の中で植物採集に夢中になり過ぎて密猟者達に捕まってしまったところを同級生の女生徒に危うく助けられたサチャリッサ・タグウッドは、ショックから立ち直るべく自分を奮い立たせていた。

「いっぱい集まったから嬉しくなっちゃって、私、こんなに森の奥まで来てるって気づかなかった……………」

サチャリッサがやっと抱きつくのをやめた事によって自由に身動きできるようになった女生徒は尚も話を聴いて慰めながらも、サチャリッサが採集した植物が大量に入った、ダンブルドア少年の体をまるまる覆い隠すほどの大きな袋に魔法をかけている。

「キャパシウス・エクストリムス………インパービアス、プロテゴ・ホリビリス―」

検知不可能拡大呪文を魔法省の許可なく私物に使用するのは違法行為なのだが、この女生徒には正常な倫理観と道徳心はあっても遵法精神は全く無いのだった。

「―よっし検知不可能拡大呪文に防水防火保護呪文にサッちゃんが呼べば走ってついてきてくれるようにしたし、中身こぼれないようにしたし、汚れもつかないようにしたし、サッちゃんとギャレスのイニシャルも入れたし完璧!」

満足げにそう言った女生徒に、サチャリッサ・タグウッドは思わず訊ねる。

「すごくありがたいんだけど、なんでギャレスのイニシャルまで入れたの?」

「だってこれってサッちゃんとギャレスが2人で管理してる魔法薬研究用の共有財産だろう?図書館の暖炉の裏にある隠し部屋を2人だけの秘密の研究部屋にしてさ」

サチャリッサは自分とギャレスの2人だけの秘密だと思っていたものが漏れている事に驚愕したが、すぐに「知られて困る事でもないか」と思い直し受け入れる。

「…………‥…なんでそれ知ってるのよ」

「あの部屋の事ギャレスに教えたの僕だし、サッちゃんもギャレスもあの部屋に入ってったっきり長時間出てこない事時々あるし、そしたらまあそういう事だろう?」

そんな話をしている内に調子がかなり戻ってきたように見えるサチャリッサを連れて森からホグワーツ城へと戻ると、3人を出迎えたギャレスはその姿を見るなり駆け寄ってきてサチャリッサを抱きしめた。

「…………心配かけてごめんなさい」

「無事で良かった。本当に。でも僕の方こそごめんね。ついていくべきだった。君が魔法生物学の授業でマックルド・マラクローに噛まれたのはまだ3日前なのに」

緑色の斑点を持つ灰色のロブスター「マックルド・マラクロー」は身を食すと高熱にうなされ、噛まれれば最長1週間不運になるという取り扱い注意の魔法生物である。

「それ本当?!!なのに森に入ったの?ダメだよサチャリッサ!!」

女生徒が思わずサチャリッサを咎める。

「ギャレスが『フェリックス』飲ませてくれたから大丈夫だと思ったのよ………」

「マックルド・マラクローの不運とフェリックス・フェリシスの幸運を両方受けたの?………密猟者が居るところまで入り込んじゃったのが不運で、たまたま僕とアルバスがその密猟者を襲撃したのが幸運って事?………併発すると『不幸中の幸い』にたくさん見舞われるって事なのかな……だとしても屋内でじっとしてるべきだけど」

そのやりとりを見ていたダンブルドア少年が、サチャリッサとギャレスに質問する。

「あの、すいません。タグウッド先輩とギャレス先輩は恋仲なんですか?そうだという前提で噂話に花を咲かせている女子達を時々目にするのですが」

2人はその質問を異口同音に否定した。

「違うわ。ギャレスはカッコいいし優しいし趣味も興味も合うけど、今はそれだけよ。誰と一緒に居るより自然体で居られるし、一緒に研究するメリットも多いし、私のこと尊重してくれるからよく一緒にいるってだけ」

「サチャリッサは優秀だし良く気がつくし、趣味も合うし服のセンスも素敵だし、とても魅力的なひとだと思うけど、ただ魔法薬研究仲間で友達ってだけだよ」

じゃあなんで噂を否定しないんです?と訊ねたダンブルドア少年に、2人はまた声を揃えて同じ事を言うのだった。

「だってサチャリッサと恋人同士だって噂されるの悪い気分じゃないし」

「そんなの、ギャレスと恋人同士だって噂されるのが嫌じゃないからよ」

その答えを受けて11歳のダンブルドア少年が内心「それは恋愛関係にあるのでは?」と理解に苦しんでいる中サチャリッサは、そんな2人をにこにこしながら見ていた女生徒にひとつお願いをした。

「ねえ、私強くなりたい。自分の身を自分で守れて、ギャレスの足を引っ張らないくらいには。助けられてばかりの自分で在り続けたくないの。私に決闘の技術を教えてくれないかしら」

「その水準は、サチャリッサ既に満たしてると思うよ?別に苦手じゃないだろう?」

女生徒はそう返したが、サチャリッサは現状を良しとはしていなかった。

「怖い思いをしたままで居たくないんだよね、サチャリッサ。その経験に負けたくないんだよね。僕はきみのそういうところ尊敬するよ」

ギャレスはそう言いながら共通の友人であるその女生徒を見つめる。

「そんなに望むなら……強くなろうかサチャリッサ。ブーちゃんに相談してみるよ」

この女生徒が本人の許可も得ず勝手に「ブーちゃん」と呼んでいるグリフィンドールの7年生ルーカン・ブラトルビーは、秘密の招待制決闘クラブ「杖十字会」の主催者であり、この女生徒はその「杖十字会」のチャンピオンだった。

サチャリッサが望んでいるのは強力な呪詛や特定の技術を習う事ではなく、戦いの経験を積む事だと女生徒は理解していた。

そしてダンブルドア少年は、トラウマを負ってもおかしくはない恐怖だっただろうにもうそれを克服するべく己自身と戦い始めているらしいサチャリッサ・タグウッドの芯の強さに感銘を受けていた。

「でも、マックルド・マラクローの『不運』の影響がなくなってからね。それまではギャレスと2人でゆったりしてて。薬の実験とかもしないほうがいいよ。お昼寝とかしてて。マックルド・マラクローの咬傷は本当に何引き起こすかわからないから」

サチャリッサはその意見を受け入れ、ギャレスに付き添われて2人でホグワーツ城内の件の図書館の暖炉の裏の隠し部屋へ、2人だけの研究部屋へと向かっていった。

「気が合うんだろうなとは思ってたけど、あんな深めに仲良しだとは知らなかった」

2人の背中を見つめながらダンブルドア少年にしみじみそういった女生徒は、サチャリッサが集めた植物が入った袋をその場に置きっぱなしにして忘れて行ってしまっている事に気づいて、ダンブルドア少年と一緒に2人の後を追うのだった。


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