8番目

8番目

ここの凪が何故サボるのかを考えた結果です(前スレ参考)

皆が寝静まった夜中、凪はこっそり身を起こした。


「…………」


静かに、静かに。絶対に誰かを起こさないように。ゆっくり扉を閉め、数十歩歩いたところで、呟いた。


「……練習しなきゃ」




凪は、御影に強引にサッカーを始めされられてから、毎日深夜に個人練習をしている。御影との練習で最後いつもバテているのはそのせいでもあるのだが、練習や試合の反省点を踏まえて改善するのは、眠る前にやっておきたいのだ。朝は勉強していたし。


「(勉強が無くなるから、まだ楽っしょ)」


コートに着く。電気がほぼ付いていない、暗闇だ。何故暗闇か? 理由はもちろん、バレないため。『天才』らしくないことも1つの理由だし、昨日失敗していたことが、次の日さらりとできるようになっていたら格好良いからという、2つ目の理由もある。


「(それに、視覚に頼りすぎない練習もできるし)」


ボールを置きながら、一石三鳥じゃん、と思った。凪は御影のようにすごい視野は持っていない。得意なものも、せいぜい初心者にありがちな変な発想で、人の裏をかけるだけだ。すぐにそんなの通用しなくなる。

それに、凪が思う、今まで作り上げてきた『天才』は、感覚で全てをしているイメージが強いのだ。


ストレッチをして、少し走って、それからシュートやドリブル練習をする。……それを続けていると、ある違和感が襲ってきた。


「……あれ、練習すげーやりやすい?」


首を傾げて、そりゃそうだと気付いた。公園のサッカーと整備された場所のサッカーでは、やりやすさが段違いなのは当たり前だ。


「(これなら、レオにバレずにいけるかも)」


御影のゲームメイクで凪の力を引き出してくれれば、という前提条件があるが。思わぬ収穫に、凪は少し機嫌を良くして練習をし続けた。




「──おーい、起きろ、凪」

「うー、……ヴッ!?」

「ん? どうした?」

「いやなんでも……」


──調子に乗りすぎて、翌日に重めの筋肉痛と疲労感に襲われることになるとは思わなかったが!

Report Page