8のシチュのやつ
自室で寝て起きたら景虎と手錠で繋がれていた。しかも両手。どうにもこうにも力では千切れなかった。
意味がわからない、とのことで暢気にすやすやと隣で寝返りを打った相手の肩に手を伸ばして起きろ、と揺り動かせば「……にゃ?」と鳴いた一拍後には飛びかかってきたのでかわそうとしたが手錠が邪魔になって逆に押し倒された。犯人は俺じゃない。
「あ、いつものアレですか?」
「慣れるな慣れるな」
ならどこかにお題ありますよね、とパッと思考を切り替えて晴信の上に乗った景虎がガチャガチャ手錠の鎖を鳴らしながら壁に張られたものを読み上げる。
そこまで大きくはないが形の良い景虎の胸が布越しに晴信の顔にぐいぐいと押し当てられる。本人にそういった意図はないにしても生理的に反応してしまうので本当にやめてほしい。
「なるほど、今回は目合いしなくてよさそうですよ!」
「は?」
「この拘束の鍵、服のどこかに隠してあるようなので見つけて解錠すればこの部屋の鍵も開くようです」
両手にあるので鍵はふたつ。そう大きくない鍵のはずだが。
「わたしより晴信のほうにありそうじゃないですか?」
「っまさぐるな馬鹿!!」
布面積が少ない景虎の服よりも晴信の服に隠されている可能性は高い。しかし。
「表にはないですね」
コート、上着、シャツとスラックスの衣嚢に突っ込まれた景虎の手にはそれらしきものは見当たらず。一方的に触れられて敏感にさせられていく晴信は「もうこれ全部剥くしかありませんねえ」と他人事のようにしている景虎を逆にベッドに押し倒した。
「にゃ?」
「選手交代だ。先におまえを剥く」
体勢を変えて壁に張られたものをあらためて晴信は読み上げて景虎の胸のジッパーを口で引き下ろした。
部屋の開放条件は鍵を見つけるか、もしくは……いつものアレを規定回数こなすかのどちらかが記載されていた。
どちらでもいいのならこちらでもいいだろう、と晴信は抗議の声を上げた景虎の口を塞ぐことからはじめた。