7. The Red Cheeked Girl

7. The Red Cheeked Girl



生徒に指導を行う死神二人の無線機から突如、救援要請が届く。

『敵の目標は"院生"だ! この戦力差では守り切れん!!』

生徒らの表情が恐怖で引き攣った。

『 …繰り返すッ! 現在地、南方郛外区第一区・南門前! 敵戦力と交戦中! 至急、応援を求む!!』

「——全員、小屋から出るなよ!」

ここも襲撃される恐れがあると死神の二人が生徒達へ呼び掛け、見張りの為に小屋の外へ出ようとする。

「お待ちを、防衛ならば私も出ましょう」

「朽木様! しかし…!」

「父の命です。構いません」

その言葉に死神の二人は顔を見合せ頷くと「着いて来て下さい」と蒼純を伴い外へ出て行く。

襖が開き、浮竹が顔を出した。気付いた村長がそれを押し止めようと立ち塞がる。

「駄目ですよ! 今出て行っちゃ…!」

「村長…俺は行かなといけないだ…。退いてくれ」

浮竹の強い眼差しに臆した村長が道を開ける。

重い足取りでふらつきながらも玄関へ向かおうとするその体を、少年の両手が支えた。海燕である。

「……やめた方がいいです。そんな状態じゃ戦えないでしょう?」

「大丈夫だ。この状態でも鬼道があれば戦える」

「…どうしてそこまで…」

「——"護りたいもの"があるからだよ」

海燕はその言葉に息を詰まらせた。


————護りたいから…だから——。


いつかの…友の声が呼び起こされる。

浮竹は海燕の手をそっと離させ、玄関の戸を開いた。我に返った海燕が慌ててその背を追いかける。

その様子を、梨子は終始無言で眺めていた。怯えているのでは無い。ただ無感情に状況を見つめる童女の瞳にただ一人、都だけが気が付いていた。

——小屋の周囲を、死神達が囲い込む。敵を決して通さぬ為に。…雨は未だ降り止まず、その勢いを増していく。



瀞霊廷・八番隊隊舎


「参ったね…今回ばかりは」

「何言うてん。参っとんのはいつものことやろ。そんなんより早く仕事したってや」

「辛辣だなぁ。…いやね? どうにもきな臭いんだよ」

女物の服を隊長羽織の上に羽織った男が資料を捲る。それを黒髪の少女が横から覗き込んだ。

「五大貴族のお嬢さん狙ぉとる輩を"一網打尽にする計画"ねぇ…。これの何がおかしいん?」

「敵さんの言動がどうにもね…」

「まぁ、こないに証拠ばら蒔いてアホやなぁとは思うけど」

男は苦笑しながら窓の外を見る。"証拠を自らばら蒔いた阿呆な貴族"…そうであれば良いのだが、今までの経験が男を真実から遠ざけない。

(——綱彌代家は…何を考えてるんだろうねぇ)

男は降り続ける雨が次第に激しくなるのを眺め、今頃は嵐の最前線に立っているだろう友の無事を祈った。

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