>>60様より

>>60様より


ドジでダメな私なんかじゃ、きっと完全犯罪なんてできない。殺人者として捕まるのがオチだろう。

でもそれ以上に、ドジでダメな私なんかを大切にしてくれたあの人をあんな目に遭わせたアイツを、絶対に許さない。たとえ何年刑に服すことになっても、刺し違えてでも、アイツを──。


(ドトウ)

頭の中で声がした。


(そんなことをしても、僕は喜ばないよね?)

まただ。復讐を決意してから、いつの間にか聞こえるようになったあの人の声。

「ちがうぅぅ!!やり遂げたら、きっと天国のあの人も満足するはずですぅ!」

口調を荒げて頭の中の声に反論する。傍目から見たらおかしな人になっているだろう。


(違わない。忌むべき行いだ。昔の自分に戻りたいよね?

血でドロドロな自分になりたくないよね?君を止めようとしたテイエムオペラオーへの恩返しにもなる。君は強い。諦められるよね?」

「ちがいますぅぅ!!ちがうのにぃぃぃ!!」

なぜだろう。今日はやたらと頭の中の声がハッキリと聞こえる。違う。これは私の罪悪感が生み出した幻だ。


「いやだからほんとに違わないんだってドトウ」

「あ、あれぇ?そんな…トレーナーさん、だって、あのときトラックに轢かれて……わたし、病院でたしかに……」

「それは隣の病室のお年寄りだよ」

「えぇぇぇぇ〜〜っ!?」

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