6. fatalcrack ②
「これより——『斬拳走鬼』の実践訓練を始める」
浮竹の言葉に生徒達は皆、困惑する。そこへ蒼純が代表して口を挟む。
「浮竹隊長、"実践"とは何でしょうか? 私達はまだ『斬拳走鬼』がどの様なものかすら学んでいません」
「ああ。それは承知している」
ならどうして、という生徒達の視線が浮竹に集中する。
「……まずは何故、この『南流魂街一区』を訓練地として選んだのかを話そう。——端的に言うと、現状の尸魂界において一番安全な場所が此処だからだ」
浮竹は襟元から一枚の手紙を取り出す。
「蒼純君、『朽木隊長』から書状を預かっている」
「……!?」
「確認してくれ。その間、他の生徒達にも事の経緯を説明する」
蒼純は書状を受け取ると、教師に断りを入れ、生徒達の列を離れる。
皆、ここに来てようやく、己が何か重大な事件に巻き込まれているのではないか?と疑念を持ち始めた。
「この中に、八ヶ月ほど前この地で起きた『虚襲撃事件』を知らない者はいるか」
場が静まり返る。おそらく全員、親族らによって事件の仔細を言い含められていたのだろう。
「居ないようなら詳細は省こう。実はその事件以降、梨子君が幾つかの勢力から狙われるようになった。当然、彼女と接触の多い君達にも危害が及ぶ可能性がある」
梨子が目を見開く。生徒達は青ざめた顔で冷や汗を垂らした。
「"総隊長"はそれを危惧されている。だから今回、俺を霊術院へ派遣したんだ。君達に、『刺客から身を守る術を修得させる』為に」
「——まってください! わたしが霊術院をやめればいいのでは!?」
梨子が叫ぶ。浮竹はそれに対して首を横に振った。
「それは駄目だ。総隊長はこれを試練として捉えられている。君達がこれから護廷十三隊や鬼道衆、隠密機動へと進む以上、瀞霊廷を護る死神として——これは決して逃げていい道ではない」
誰かが息を呑む。
「では、習熟度別に班を作る。指示に従って並んでくれ」
Ⅲ
こうして、三十人の生徒が三つの班に分けられた。
一班は『受け身等の基礎訓練が必要な生徒』が集まり、担任教師から指導を受けている。二班には体術に心得がある生徒が振り分けられ、教師が持参した『斬拳走鬼の基本』と題された教科書を黙読している。
そして、三班には『直ちに実践訓練へと移れる生徒』として海燕、蒼純、梨子の三人が集められた。
「君達は俺が受け持つ。まずは斬拳走鬼の腕を見たい。——蒼純君、海燕君。浅打を使ってもいい。全力で戦ってみてくれ」
「「はい!」」