6 billion nights

6 billion nights




(閲覧注意)………クソっどうなってやがる

↑のスレの>>14の「60億の夜」というフレーズが最高だったので>>1の内容をSSにしてみた
※BL注意、朝チュンネタ

ローがルフィを抱いた側で、かつ矢印強め


追記1:一年経ったら編集不可になるらしいので取り急ぎまとめページを作っておきました
このページともう一つ投稿したSSをリンクに繋げてますhttps://telegra.ph/6billionnight-conseption-09-08


2023/12/08 追記2:
まだ編集できたのでちょっと修正したのと、スレ内で投稿したSSをピクシブにまとめて投稿しておきました
6billion nights/conception


↓本文はこちら




 トラ男、と舌足らずに何度も何度も自身を呼ぶルフィの声を聴いて、ローは半ば信じられない気持ちになり、しかし同時に底知れぬ歓喜が心から湧き出ていた。
 お互い服の一切を纏っていないので、肌の熱と感触が直に伝わってくる。唇を重ね、愛撫を施す。ローはルフィの短く黒い髪を撫で、未だ喉仏の目立たぬ首に唇を寄せると、ルフィは「くすぐってェ」と笑いながらローの首に腕を回した。その仕草にローの鼓動が跳ね、再びルフィの唇を塞いだ。舌と唾液が絡む深い口付けに、ルフィは息も絶え絶えになりながらも、拒絶する事は無かった。

「離したくねェ……」

 唇を離してすぐポツリと呟かれたその言葉は、ローの偽らざる本音だった。この温もりを手放したくない、溶けて一つになってしまいたいという烈しい欲求が溢れ出た。

「うん、……おれも」

 荒い呼吸を繰り返しながら、ルフィはいつもより掠れた、静かな優しい声音でローに応えた。それを切っ掛けに、ローは更に深くルフィの肌に溺れるように貪った。


 眠りから目覚めたローは、そんな自身にとって呆れるほどに都合のいい夢を見た事に罪悪感を抱えながら、ゆっくりと瞬きを繰り返す。最低だ、と胸の内で独りごちた。あの男とあんな事が出来る筈がない、それなのに夢は包み隠さず自身の欲望を暴いて突きつけてきた。色々な意味で、最低だと形容する外なかった。

 ローの船、ポーラータング号の自室の天井をぼんやりと眺めているうち、自己嫌悪に陥っていたローは違和感を覚えた。いつものベッドの上なのに、何かが普段とは違う。平素には感じない気怠さと匂い。そう気付くや否や、自身以外の寝息と体温の気配が鮮明に感じられて、隣を見遣ると夢の中で交わった男が子供のように無防備な寝顔を晒していた。

「……ッ⁈」

 ローはガバリと身を起こす。そしてブランケットに包まれていた身体は全裸であるとその時初めて気が付いた。ローはまずその事に愕然とした後、隣で眠るルフィに掛けられていたブランケットをそっと捲った。自身と同じく全裸である事に、ローは眩暈を起こしかけた。ルフィにブランケットを静かに掛け戻すと、ローは頭を抱えた。
 昨晩の夢が夢ではない事をどう受け止めれば良いのか分からず、現状を把握するために必死に記憶を辿る。


 昨日はハートの海賊団がたまたま寄港した島に、麦わら一味のサウザンドサニー号も停泊しているのを目撃して、お互いに予期せぬ再会を果たした。物資の補給を目的としていたので、無視して航路を進めるわけにもいかなかった。自分達はいつ敵になってもおかしくないといくら釘を刺しても、ハートの海賊団も麦わらの一味も、お互いに悪い感情を持っていない。むしろ助け合った事も多く、人柄を良く知るほどには協力し、何より同じ釜の飯を何度も食べてしまった仲である。互いの船の船員一同再会を喜び合い、昼間は物資の補給をあらかた終えて、夜はお約束の宴となった。

 正直な所、ローにとってもこの再会は嬉しくはあった。自身の本懐を遂げてくれた、同じDの名を持ち誰よりも自由を尊ぶ船長──モンキー・D・ルフィの事は、決して嫌いにはなりきれなかった。意地ばかり張るローの懐に臆せず飛び込んできては、無限の信頼を寄せてくる。そんなルフィと会えることは、口には出せないがとても喜ばしい事だった。ルフィはローに会えた喜びを素直に真正面から、とびきりの笑顔で伝えてくるものだから、浮かびかけた喜悦の色を隠すようにローは幾度も酒の入った盃を呷った。


 そこまではローも覚えていたが、それからの記憶が曖昧模糊としている。しっかり思い出せ、と焦るうちに隣のルフィがもぞもぞと身じろぎした。

「う~ん……。……トラ男?」

 おはよう、と寝ぼけ眼でローを捉えたルフィが言う。ローは返事をするのに時間が掛かった。

(──本当におれはこいつと寝たのか……?)

 ローが焦っているのに気づかず、ルフィは上体を起こそうとしたが、ガクンとまたベッドの上に落ちた。

「どうした?」

 思わずローは心配になり声をかけるが、手を伸ばすのは躊躇われた。しかし次の瞬間のルフィの発言に、硬直せざるを得なかった。

「……ケツが痛ェ……腰も……」

 うつ伏せになったルフィに、ローは青褪めた。
 あれが夢ではなかったと、その一言でローは察した。言い逃れの出来る状況ではないことを、受け入れる他無かった。


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