59や64からきたげんかく
リボンちゃんがかわいそうな目にあうのでお気をつけください。
勢いと深夜テンションでずざざーっと書いたものです
どうしてこんなことに。
そう呟くのは何度目だろうか。焦ってはいけない、けれど焦らずにはいられない。手に持ったクリスタルをぎゅっとつかみ直して、なんとか心を保たせようとする。
後ろから追ってくる3つの黒い影が全く離れていかないのは、むしろ近づいてくるのはわかっていた。背中を悪寒がかけあがり、つい後ろを振り向けばそこに見えたのは先ほどと変わらない、光のない、恐ろしい目だ。
追いつかれないよう急いでスピードを上げる。急な回避で大きく揺れたクリスタルから振り落とされなかったのはなんと幸運なことだろうか。けれど幸運は続かなかった。
クリスタルが大きく揺れる。上からの重い一撃を受けてクリスタルにひびが入った。何とか持ち直そうとした、その隙が大きな命取りとなった。
シャラン
美しい音を立ててクリスタルが砕け散る。宙に投げ出される感覚に、ぎゅっと目をつぶり、せめてこのひとかけらだけは落とさないようにと、固く手を握った。
今日は何のこともない良い一日だった。
噴水の近くでお友達と他愛ないお話をしていた。
友達に笑顔で手を振って、そして黒い雲が全てを覆った。
一体、私達が何をしたというのだろうか。
どうして、こんなことに?
目を開ける。どうやら少し眠ってしまったようだった。落ちてきたここはどうやら静かなところらしく、草のこすれる音とクリスタルの涼しげな音しか聞こえない。宙からは砕けたクリスタルが光の線を描いて落ちてきている。これを一人で集めなければいけないと思うと、気が滅入りそうだった。
手をついて立ち上がる。今この星は夜なのか、少し足元が見づらい。辺りを見渡しても明かりはどこにも見えなかった。少しばかりきょろきょろとすると、目に留まる何かがあった。
「……柵?」
何の変哲もない壊れた木の柵。乱暴に折られたのか、地面からはささくれだった断面がのぞいていた。気が付かずに踏んだら怪我をしてしまうところだった。
「誰も直さないのかな?」
それとも、人のいないこの場所にある柵をわざわざ直す必要などないのだろうか。近くの様子をうかがっても、暗いせいであまり詳しくはわからない。とりあえず、ここは危ないからどこか違うところへ。そう思って後ろを向いた時だった。
背中に悪寒が駆け上がる。
ともすれば、先ほどよりも恐ろしいもの。あの黒い影を思い出す。思えばこの空は最後に見たリップルスターにそっくりだ。
気が付いた時にはもう遅かった。頭のすぐ後ろに、それは来ている。
確実に、私のことをあの目でじっと見つめている。
逃げ出したいけれど、逃げる場所がない。
辺りに光を宿した場所なんてない。
もうすぐ触れられてしまう。
今すぐにでも!
「だれかっ!」
その声は誰にも届くことはなかった。