5日目のぐだ子

5日目のぐだ子


 そこは見渡す限り、肉色の海だった。

 甘ったるい淫気の充満したそこは、淫魔の巣。天井も壁もなく、上下左右すらあやふやになるほどにひしめき、蠢いている触手の海。

 その真ん中に、藤丸立香は囚われている。

 手足は触手に飲み込まれ、肉の壁に取り込まれるように固定されて動かせない。そうして宙に吊られ、触手たちに獲物として差し出されているのだった。

 「ぅ……っ、ふ、ぅぐ……」

 うじゅるうじゅる、といくつもの触手が肌を這う。吐き気を催す甘ったるい匂いの粘液が擦り付けられて、そこから匂いが染み込んでいくようだった。

 触手はずいぶんと時間をかけて全身を這い回っていたが、どうやら立香の豊満な乳房を獲物と定めたようだ。やおら背後から伸びた触手が2本、両の乳房に絡み付くとぎゅうと絞り上げる。

「やっ、あああっ!」

 突然の蛮行に悲鳴が上がるが、触手は意に介さない。

 更に2本の触手が両胸の前へとゆらりと伸びる。その先端がぱくり、と開くと、その中にはびっしりと繊毛のような触手が生え、うぞうぞと蠢いていた。ぼた、ぼたぼた、と粘液が滴り落ち、淫気がいっそう濃く香った。

 ひっ、と立香が息を呑む。

「やだ、やだやだやだっああああああっ!!?」

 がっぷりと乳首が触手に呑み込まれる。じゅう、と強く吸引されて、ぞりぞりぞりぞりと繊毛が磨き上げるように絡み付き、回転ブラシのように粘液を擦り付けた。

「ひぁあ゛ああっ!?や゛ああああああッ!!」

 乳首を限界まで引き伸ばされながら一分の隙間もないほどに磨き上げられ、その上更に胸への責めは止まらない。触手たちが次々に乳房へと粘液を吹きかけ、まるで肉塊に塩を揉み込むようにして何重にも塗り込んだ。触手に絡み付かれ、無遠慮に揉みしだかれて形の変わった乳房に、少女はぼろぼろと涙をこぼす。

 ――触手がようやく彼女の胸を解放した時、立香の胸は二回り以上肥大化し、まるで牛のようになっていた。

 触手の支えを失った途端、重力に負けてだぷんと垂れ下がる質量に少女は呻く。乳房そのものも異様に巨大になっていたが、乳首も肥大化・長大化して牛そのものである。

「あぅっ♡…やあ゛ーッ!?」

 乳首を細い触手が掠めただけで甘ったるい声が漏れた。触手はそれを知ってか知らずか、乳首をぎゅうと搾りあげた。

 びゅっ♡と乳首から白い乳が噴き出す。立香の血の気を失った唇から「ぁ、あ……あ、…」と絶望の声が漏れた。

 改造の具合に満足いったのか、次の触手が彼女に襲いかかる。

 その触手は先ほど乳首を責めていた触手と同様に、がっぷりと乳首に噛みつく。違うのはぱくりと四つに割れた先端部の下に、半透明の膨らんだ部位があることだった。

「あ゛ッ!?や゛あ゛ーーーッ♡」

 肥大した牛乳首を搾られて、立香が絶叫する。触手はごきゅごきゅと音を立てて母乳を飲み込んでいく。

 乳を搾られて強制的に絶頂させられる少女の苦悶に構わず、触手は満足いくまで彼女の乳を貪るように搾りあげ、飲み干していく。

 絶頂に次ぐ絶頂。神経が焼き切れそうな快楽。バチバチと目の前に火花が散る。

 (あ、これ、むりだ、)

 浮遊感。全部の感覚が遠くなる。バツン、と目の前が暗くなり、――





 ――そこで、夢から落ちた。


「へ……ゆ、め………?」

 いつも通りの白い自室。いつも通りの朝。時刻はアラームが鳴る10分前だ。

 静かで冷たい朝の空気に晒されて、熱が引いていく。

(なんて、夢を)

 信じられない。なんてものを見てるんだ。羞恥の余りに枕に顔を埋める。

 ああもう、マシュが来る前に、こんな夢は忘れてしまわなければ!



 ――自分の胸の感度が信じられないくらい上がってしまっていることも、胸だけでイけるようになってしまっていることも、藤丸立香はまだ知らない。

Report Page