>49 現パロ バレンタイン
時期を過ぎましたが、バレンタインルウタを見てみたいです。
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バレンタイン前日
学校帰りの商店街にて
「ナミちゃんってばミニチョコそんなに買って配り切れるの?」
「休み時間を潰してでも配りきるわよ。そうすればホワイトデーに何倍ものお返しが……あはは!」
「ナミちゃんほどの子なら送ってない相手からもホワイトデーにチョコやネックレスを貰えそうだけどなァ」
「それよりあんたは買わなくていいの?」
「えっ…私は別に……」
「送りたい相手がいるんじゃないの?例えば……」
「あー!」
例えを出そうとしたナミの言葉をウタの突発的な大声が遮る
「べ、別にあいつにあげようとはしてないからね!送れば喜んでくれそうだけど……私は…」
「ん?"あいつ"?私はファンの人たちって言おうとしたんだけどなー。歌姫さんは誰のことを意識していたのかな?」
「それは違うよ!私はルフィの事で頭がいっぱいになんてなってないもん!」
「ルフィの名前出してないわよ私」
「……いじわる」
「ごめんね。お詫びにお手製チョコの材料費を特別に全部出してあげるから」
「自分でチョコ作る気なんて無いんだねど……作った方がいいの?ファンにはこの前買ったミニチョコでルフィには大きい板チョコを送る予定だったんだけど」
「うーん。ウタの思う通り、あいつはそれでも喜ぶだろうけど心に残る贈り物はいつだってお手製のものでしょ?だったらチョコも自分で作ったらどうかしら」
「板チョコを溶かして形を変えたチョコにするとか?」
「なんだ!そんな考えがあるなら最初から手作りにする気があったんじゃない」
「……あったけど…もし不格好な出来になったら……」
「ウタが送ったものならルフィは喜んで受け取る。それはあんたが一番わかってるでしょ?」
「……うんそうだよ!ありがとうナミちゃん!帰ってチョコ作りしてみる」
「ちょっと!材料買わなくていいの?」
「いい!全部家にあるから!」
「────やっぱり最初からやる気あったんじゃない」
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バレンタインデー当日
「……無い」
「渡せるタイミングが無い!!」
そう。一緒に居られた登校時間には恥ずかしさで渡すことが出来ず、リベンジとして休み時間に送ろうとしたがルフィは女子に囲まれチョコを渡されていたため近づくことすら出来なかったのだ
時間は流れ放課後になるとウタはファンへのチョコを配り終えていた
しかし本命のチョコもルフィへの気持ちも鞄の中にしまったままだった
「……はぁ。もう渡さなくてもいいや。渡したところでどうせルフィにとっては数あるチョコの中の一つに過ぎないだろうし」
昨日は固まっていたはずのウタの決意は流れた時と卑屈な思考によって、鞄の中にある綺麗にラッピングされたお手製チョコよりも早く溶けてしまった
──────だが溶けたからといってそのまま排水溝に流れることなど無い
「おーいウタ!一緒に帰ろう」
「……ルフィ。そんなに叫ばなくても聞こえてるよ」
──────これが最後のチャンス
「ルフィ…今日はどれくらいチョコ貰えた?」
「おう!色んなやつに渡されてな、こんなに貰えたぞ!」
ルフィが開いて見せた鞄の中身はチョコでいっぱいになっていた
それも市販のものだけではなく、ウタのようにラッピングをした物もいくつかあったのだ
「……おめでとう…それだけ持ってるあんたにとっては山の中の一粒だろうけど……これ、あげる」
ウタは絆創膏だらけの手を動かして鞄の中から綺麗にラッピングされた手作りチョコを取り出し、渡したかった相手の手に持たせた
「──いいのか?おれが貰っても」
「うん。あんた用に作ったチョコだから……いい出来とは言いきれないけど…でもこれが私の気持ち」
「……ありがとう!部屋に飾って大事にするよ!」
「いや食べなさいよ!」
ルフィは溶けたウタの気持ちを余すことなく全て飲み込んだ
「───そうだ。ウタお前この後暇か?」
「え?まァ今日は配信の予定が夜にあるけどそれまでなら暇だよ」
「だったら今からおれの家に来いよ!」
「……えっ?え?」
「その前にコンビニに寄らせてくれ。チョコが買いてェ」
「え?そんなにあってもまだ足りないの?」
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「……ルフィのやつ。家に呼んどいて私を部屋に一人にするなんてどういうつもりなの」
「ルフィの枕……いい匂いがする」
「ウタ!終わったからもう出てきていいぞ」
先程から理解不能な動きを続けるルフィに呆れていたウタが部屋の扉を開けると皿を持ったルフィが立っていた
「ルフィ。そのチョコは何?」
「これはお返しのチョコ。ウタへのお礼の気持ちだ!」
「……今作ったの?そういうのはホワイトデーにやるものなのに」
「それまで待てねェ。おれは今お前にお返しがしたいんだ」
「…ははっ!そうなんだ!うんうん、なら…いただきます」
「勿体ないけどおれもウタのチョコ食べるぞ。あーーむっ」
「「おいしーー!」」
「ルフィ。これからは毎年この日にお互いに手作りチョコを作ってそれを交換しない?」
「いいなそれ!おれたちだけの特別になるな」
約束通りそれからは毎年ウタとルフィはバレンタインの日にチョコを手作りして交換したのだった
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「─────ってことがあったからバレンタインにはパパとママがチョコを交換するんだ」
「……」
「お話が長くて眠っちゃったか」
「ウタ!ベル!パパが帰ったぞ!」
「しー!ベルは今おねんね中なの」
「わりぃわりぃ…それとチョコ買ってきたぞ。今から二人で作ろう」
「そうだね。ベル、ママたちちょっと離れるけどすぐ戻るからね」
「……アウア……ウーウ……」
「……ねェルフィ。ベルも成長したら誰かにチョコをあげるようになるかな?」
「…あげて欲しくないな。おれたちに渡すならいいけど、知らない奴に渡すのは嫌だ」
「ぷふっ!シャンクスみたいな事言うようになったね!」