4人目の仲間
「初めまして!あなたがシャドーカービィさんですね?」
ここはプププランド上空に存在する鏡の国。今日も今日とて鏡を磨くシャドーに対して、誰かが話しかけた。シャドーが振り向くとそこには白いバンダナとやや黒めのオレンジ色の体を持つワドルディがいた。
「そうだけど」
「お初にお目にかかります、私影のバンダナワドルディです!あ、名前はまだありません!」
「バンダナワドルディ…あぁ、大王の近くにいつもいるあの子ね。初めまして!」
「はいっ!あのバンダナワドルディの影でございます!」
「いやー、遂にあの子もこちらの仲間入りかぁ。興味本位で鏡を覗いちゃったのかな?」
くすくすと笑うシャドーを見て微笑む影バンダナワドルディ。するとシャドーはあることを思いついた。
「そうだ!せっかくだしきみをダーク様とおじちゃんに紹介しに行こう!きっと喜んで受け入れてくれると思うよ!」
「もしかしてあなた以外に影の存在が?」
「そーだよ!2人ともちょっとだけ素直じゃないけれども…でも根はいい子だから、安心してね」
そう言うとシャドーと影バンダナワドルディは2人の元へと走っていくのだった。
★★★
「…で、そのガキがあのバンダナワドルディの影ってことか」
「もうダーク様。ガキって言わないであげてくださいよ」
「これでいつもの面子が揃った感じか。俺もちょうど部下が欲しいと思っていたところだ」
「もちろんです!なんてったって私はバンダナワドルディの影、精一杯大王様にお仕えしますね!」
「ほう…意気込みは良いな」
ラディッシュルインズにいる2人の元へ到着した影バンダナワドルディ。2人からの評価はまぁまぁ良さげだった。
「そうだ!これからこの子の歓迎パーティを開かない?ぼくケーキ持ってくるよ!」
「ほんとお前は思ったことすぐ口に出すよな…まぁ、今回は俺も乗ってやるよ」
「ケーキだったらメタナイトから貰ってくるか?アイツのことだし何かしら仕入れてるだろ」
「勝手に持ってくのはダメです!ちゃんと自分のお金で買わないと!」
「…チッ」
「そうと決まれば解散!1時間後にまたここに待ち合わせをしよ!」
「うーい」
そういうと3人は散り散りになって各々何かを持ってこようと取り掛かる。その様子を見た影バンダナワドルディは何かを持っていた。
「いやぁ、嬉しいですね。生まれたての私を歓迎してくれるなんて」
「んー?もちろんだよ!だってきみは今日からぼく達の大切な仲」
次の瞬間バキッ!と耳障りな音とガラス片が飛び散る音が響く。2人が振り返ると、そこにはシャドーをヤリで割ったと思われる影バンダナワドルディの姿が。不意打ちとはいえ上半身を弾き飛ばされてしまったシャドーはそのまま倒れ込む。
「シャドー!?」
「…バカですね、私はバンダナワドルディの影。何かしら拗れたものが反映された性格と言うことを考慮していなかったのですか?」
「はははッ!おもしれぇ、不意打ちとはいえアイツを一発で割るとはなァ!これは期待が出来そうだ」
「シャドー…嘘だろ…おい……」
「あー?んなことで狼狽えてるんじゃねェよダーク。第1アイツが割れるなんて良くあることだろ」
「そう、かもしれねぇが…」
「めんどくせぇ、とりあえずアイツを一旦割るぞ。暴れられたら困る」
「2人がかりでも構いませんよ、これはハンデです。お覚悟」
「下克上のつもりか?…最近刺激的なことがなくて退屈していたところだ、可愛がってやるよ」
そういうとブラックとダークは武器を構えた。
★★★
「なるほど…そんなことが。すみません、ぼくも油断してしまって…」
数分後、修復を終えたシャドーがダークに話しかける。
「気にすんな、お前は悪くねぇよ。かなり早く決着は着いたんだが1部を割られてな…俺は右半身、ブラックは両腕」
「うわ…痛くないんですか、それ」
「…全然、と言うと嘘になるな。それとアイツはブラックが割って今は修復中だ」
シャドーが地面に目をやるとブラックが砕いたとされている影バンダナワドルディの欠片が集められていた。欠片は時折カタカタと動く。
「恐ろしい子、油断したタイミングを突いて割るだなんて。生まれたてで本当に助かった」
「元がザコだから正直言って舐めてた。そのせいで両腕割られたんだがな」
「…ねぇダーク様、おじちゃん。やっぱり彼の為に歓迎パーティをやらない?」
「は?お前正気か?さっき割られたことを忘れたのか」
「確かにそうだけど…!でもこの子だってせっかく生を受けた訳だし、やり方が悪かっただけだよ!」
「……はぁ…ったく、好きにしやがれ。まぁまた暴れたら砕くだけなんだがな」
「…うん、そうだね」
そういうと3人は割れた影バンダナワドルディの欠片を見つめた。