32日目
鳥飼天竜人午前5時25分頃起床。
朝食にワッフルとヨーグルトを与える。完食。
父上が私達の居場所を嗅ぎ回っているとの情報あり。
痕跡を残さぬよう慎重に移動したつもりではいたが、もしも見つかってしまった場合はまた迅速に避難しなければならない。
幸い、D.Dは暴れたりすることも無く落ち着いている。話し合えば引越しを円滑に進める事が出来るだろう。
住居を転々とする事は環境の変化でD.Dに負担をかけてしまう恐れがあるので、なるべく避けたいところだが仕方がない。
幾つか移動先の目星を付けておく事にする。
昼食にバーガーと野菜スティックを与える。完食。
D.Dは時折窓から外を覗いている。
本当は散歩だってさせてやりたいが、今見つかるとまずいので外に出してやる事が出来ない。
安全を最優先にすると全ての窓を閉め切った方が良いぐらいなのだが、日光を適度に浴びさせ無ければ衰弱してしまうだろう。
外に行きたいかと問うと、苛立ったように私の胸ぐらを掴む。しかしそれ以上の事はせず、背中を向けてしまった。
何か要求があるのだろうか。
出来る限り叶えてやりたいが、私はあまりにも無力な存在だ。
気分転換のために夕食は少し豪華にしてやろうとBBQを計画。D.Dを中庭へと連れ出し、BBQセットをお披露目する。
しかし、D.Dは不快そうに顔を顰めるばかりだった。自分で肉や野菜を焼こうともせず、離れた場所でワインを飲んでいる。
仕方が無いので、焼いた食材を皿に載せ、D.Dの元へと運ぶ。渋々といった様子で食す。
肉は好きなはずなのだが、やはり自分で焼くのは面倒臭さが勝つのだろうか。
理由を聞いてみたいが、かなりピリついたオーラを放っているので今刺激を与えることはよろしく無いだろう。
クールダウンさせる為に自室へ戻すと、倒れるようにベッドへ潜り込んでしまった。
やはり連日の疲れが溜まっているのだろう。
しばらくはゆっくりと過ごさせる事にする。