3分間のひととき
(64と94、124の寮生活・素顔メタナイト・カップラーメンネタをお借りしました。学年は全員1年生で部活動は
カービィ→無所属
デデデ→陸上部
メタナイト→剣道部
バンダナ→放送委員会
でお送りします)
「…ただいま」
「お、おかえり。」
午後4時、黄昏色に染まるプププ学園。学園敷地内にある寮の86号室にてメタナイトはドアを開ける。先にデデデが帰ってきていたが、他は誰もいなかった。
「カービィとバンダナはまだ帰ってきていないのか」
「カービィは先生に呼ばれて、バンダナは委員会の集まり。俺は今日部活をやる予定だったんだが先生の出張で無くなった」
「そうか」
彼がそう返した途端ぐぅぅ、と腹の虫の音が鳴る。しばらくの沈黙の末、デデデは笑った。
「ハハ、運動系の部活ってエネルギー多く使うもんな。なんか作るよ」
「(…すまない)」
「えーと、確かこの辺に………あれ?」
がさごそと戸棚の中を探すデデデだったが、戸棚の扉を締めた後にこう言う。
「なんもない。悪いな!代わりと言っちゃあなんだが、これなんてどうだ?」
デデデは机に雑にあるものを投げる。メタナイトが出されたものは何かと覗き込むと…
「かっぷらぁめん…?」
机に置かれたのは塩味のカップラーメン、それを不思議そうな顔で彼は見つめる。
「あれ。お前カップラーメン食ったことないのか?」
「あぁ、生まれてから一度も食べたことが無い」
「マジで言ってる?湯注ぐだけで出来るしめっちゃ手軽だぞ」
「そうなのか?」
「まぁ見てなって、今から湯沸かすからさ」
そう言うとやかんに水を注ぎコンロに火をつける。しばらく待っていると水が沸騰し、カップラーメンに湯を注ぎ込んだ。
「これで3分待つんだよ」
「…本当に3分でラーメンとやらが出来るのか?」
「まぁまぁ、騙されたと思って食ってみろよ」
疑いの眼を向けるメタナイトだったが、そんな彼なんてお構い無しとタイマーをかける。
────3分後。
「………本当だ、ラーメンが出来ている」
「だからそう言っただろって。食ってみな」
「いただきます」
箸を渡すと彼は仮面を上にずり上げ、麺を1口啜った。
「…ふむ」
「どう?人生初カップラーメン」
「悪くは無い。不思議な感覚だ、湯を注ぐだけでこのようなものが出来るなんて」
「俺も詳しくは知らないけどカラクリがあるんだってさ。あ、今度冷凍食品も食べてみるか?」
「れいとうしょくひん…?」
「レンジで温めるだけで美味しい飯が完成すんだよ。どうだ?」
「…興味が湧いた、今度頼む」
「よしきた」
そこから無言でラーメンを食べ進めていくメタナイト、そんな彼を見たデデデは呟く。
「お前さ、変わったな。以前は人前で仮面外して飯食うってこと無かったのによ」
「んぶっ!げほ、ごほっ」
「おいむせんなって、そんなに意外だったか?」
「…な、何故そう思うんだ」
「お前この学園革命起こしてやるー、とか言ってた時期あっただろ?まぁ最終的にカービィに全部台無しにされたが」
「あぁ…そんなことあったな」
「んでお前が何を思ったかは知らんが、この寮に入ったじゃん。そしたらいつの間にか俺やバンダナ、カービィと仲良くなってたじゃねぇか」
「寮に入った理由か。あの頃はカービィを倒したい、その一心だった。しかし手合わせをしていくうちに、私の中で彼に対する何かが生まれていた」
「それで気がついたら友達になってた、と」
「簡潔に言えばまぁ、そういうことだ」
「お前もアイツに絆されたってことか。まぁそう言う俺もそうなんだがな」
「…たしかに、カービィが転入してくる前のきみは本当に傍若無人だったな」
「うるせー、そういうお前は最近仮面どころか服とか全部とっぱらってスイーツ食ってるじゃねぇか」
「あれは、その…」
メタナイトはため息をつく。そして仮面を机に置き、こう言った。
「…きみ達なら、本当の私を見せても良いと思っていてな。私が素顔を晒すなんて、きみ達ぐらいしかしてないのだぞ?」
「…そうかよ」
「ふふ」
「たっだいまー!…あー!?1人だけカップラーメン食べてるなんてズルいよメタナイト!」
「デデデさんただいまです。今日も一日お疲れ様でした」
カービィによく似た笑顔を向けたメタナイト。その直後カービィとバンダナが帰ってきて、また賑やかな寮へと戻って行ったのだった。