2スレ112触手姦経由の純愛ユママコ(破)3/6
まだ完成してません! 加筆修正するかもです。BL・純愛になる予定・純愛だけどリョナ凌辱前提・触手姦描写・ようやくセッッッしますhttps://telegra.ph/2スレ112触手姦経由の純愛ユママコ破26-01-01
これの続きです。
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「落ち着いた?」
ある種の恐慌状態と強迫観念から醒めたマコトが最初に覚えたのは罪悪感だった。追ってきた自分に対する悔しさや情けなさに向き合ってる場合ではない程、眼前で己の背中を摩っているひとは痛ましい状態だ。少なくともマコトにはそう見える。
相当暴れたと見え、拘束された首は鬱血が認められ少し血が滲んでいた。今は萎えてしまったが、どうにも自分の性感よりもマコトを止める事を優先したらしい。それほどまで拒まれた。疲れを感じさせながらもマコトに微笑みかけるユーマは、本来ちゃんと気持ちよくさせることができた筈だ。マコトがもっと首尾良く事を行えていれば。
「すまない」
「……」
「キミにはこの奉仕の仕方は合わなかったみたいだな。ボクならできると思ったが……経験に反してボクが未熟だった」
結局、ユーマは絶頂していない。自分がユーマを気持ちよくさせているという事実に舞い上がっていたが、こうも本気で拒まてしまうと落ち込む。彼は自分に対して興奮しているとマコトは思っていた。
(だが、こうなってしまえば、それも錯覚だったかもしれないな)
勝敗の問題ではない。そもそもその土俵にすら立っていなかった。このような形の状況把握と反省は、マコトに暗い影を落としていた。
「あなたは勘違いしている」
静かにユーマは告げた。
「喉の奥に違和感はある?」
きょとんとするマコトに「喉以外にも口とか、顎とかも含めて違和感はない?」とユーマは付け足す。
「そんなに……たかが人間の性器によるものだ。死ぬ程じゃないさ」
「そんなにってことは、多少はあるんだね?」
「ちょっとは痛い……かな?」
活動に支障が出るとか、何か治療が必要という程ではない。そもそも前提条件として、マコトは死んでも蘇る事が出来るのだ。多少の無茶は問題にならない。
(そんな風に、考えているんだよね)
喉に手を当て、痛みの輪郭を探ろうとしているマコトを見ながらユーマはそう判断した。どうしてここまで頑なに自分を傷付けようとしてしまうのかまでは断定できないが、憶測はできる。彼の過去が要因であるのは疑いようがない。正直舐めていた。この半年で彼に触手を選ばせないことには成功した。慈しみを持って、マコトに触れてきた筈だった。きっと助けも前よりは呼べるようになったと。
(まだ足りないんだ)
このままマコトに任せて性行為をした場合、ユーマ自身がマコトを辱める道具にされるであろう事が先程痛い程理解できた。
そんなことは許してはいけない。
(マコトさんの為に。そして、ボクの為にも)
その為にも、冷静にならなければ。ひと呼吸置いて、ユーマはマコトに質問してみることにした。
「マコトさんはボクを拘束した時、首を心配していたでしょ。あれはどうして?」
「そんなの、キミは人間で、ボクと違ってリカバリーが効かないからに決まっているだろ」
少し震えているように聞こえた言葉は、ユーマの雰囲気に当てられているのか。それとも何か隠している事があるのか。
眉を寄せているマコトをじっと見て、ユーマは怒りをどうにか胸の内に仕舞い込んだ。
「そう。あなたはそんな風に思っているんだね。ボクはちょっと違うんだ」
感情を呑み込んだ口調はどうにも固い。少し突き放した言い方になってしまったかなと、ユーマは人知れず内省した。それでもせめて、これだけは口にしなければいけない。
「ボクがどうして喉の調子を聞いたり、行為を止めようとしたかはわかる? ——あなたが心配だったからなんだ」
「は?」
ポカンとして表情でマコトは固まった。なぜかといえば、彼はユーマの言葉を耳にするまで刑罰を言い渡される被告人の心境だったからだ。
(なんで心配なんて話題が出るんだ? 首が痛いとか、口淫のやり方が気に食わなかったとか、そんな方向に話が転がるんじゃないのか?)
混乱の最中、マコトの頬が撫でられる。思わず「あ……」と漏らしてしまった声に、ユーマが少しだけ笑った。
頬を撫でる手は緩やかだ。ペニスの頬擦りしていたから、ちょっとカピカピしているし、同じように髪も張り付いている。
(そんな風に触るには汚いだろ……)
本当は、制止すべき触れ合いを味わいながら、目を閉じた。頬を撫でる手に力が抜けてしまうから、背を摩っていた手によってユーマの元へより引き寄せられても、マコトは抵抗できなかった。
それどころか、暴れて皺の寄った世界探偵機構の制服をぎゅっと握ってしまう。
嫌いだと思いたいひとに縋る仕草を意識せずに取る意義を、ふたりだけがわからない。
わからないながらも、ユーマは愛おしげに、目を瞑るマコトの額にキスを贈った。
「マコトさんは、自分を大切にするのが苦手だよね。ボクも得意な部類ではないかもしれないけど……あなたは見ていられないレベルだ」
頬から手を離し、ユーマがさっきまで頑張り通しだった唇を親指で撫でる。弾力はあるが、何処かカサついた唇だ。「拒むくらい嫌だったんじゃないのか?」と震える声で訊ねる可愛いひとの耳元にユーマは「気持ちよかったよ」と吹き込んだ。
「でも、あなたをあなた自身で消費して欲しくなかった」
「……」
「拘束を解いてくれないかな」
ユーマは爪の先で首輪を弾いた。不安気に開いた茄子紺の瞳が、銀色の首輪に反射していた。
「……そう言って逃げる気じゃないのか」
「逃げないから——覚悟は決めたよ」
マコトが自分を大切にしないことは、もう痛いくらいユーマは理解した。だからこそ、彼がこの関係性に気付くリスクと天秤にかけて、この選択肢を選ぶ。
「あなたを、抱かせてくれないかな」
動揺を隠し切れないマコトに「そんなの、今だってできるよねとか言わないでよね」とユーマは付け足した。
「ボクが、能動的に動きたいんだ。あなたがあなたを大事にするのが苦手なら、ボクがする」
マコトを見つめるユーマは、わかりやすく怒っているとか、睨んでいる訳ではなかった。
ただじっと、マコトの方を静かに見つめている。顔をベタベタ触る指だって優しげで、マコトは簡単に振り払える筈だった。
「ボクにとってあなたはとても大切だって、教えてあげる」
いつか見た決意が示されている。それに脊髄から伝うような痺れを感じるのは、まだ入れっぱなしの性具の所為と言う事にマコトはしたかった。早々に電源を切られた玩具を胎でぎゅっと絞める。
(なんだ、これ)
そもそも大事ってなんの話なのかとか、教えるって何をなのか。優秀な筈の頭脳は何も答えない。縋りつくように彼が握っている制服が答えの筈なのだが、マコトの中でそれは結びついていない。
ただ未知の理由で早鐘を打つ心臓が、次の動作を望んでいる。
知らず、マコトの目線がシーツの下へ落ちる。ベッドの下の床。投げ捨てられた衣服の群れの中。
「スイッチ、切ってくれるよね」
それはある種の床入り問答だった。意味がわからない程、マコトは鈍くない。逡巡が部屋を過り、沈黙が満ちる。それを破ったのはマコトだった。
譫言のように「うん」と口にすると、マコトはのろのろと名残惜し気にユーマの腕から抜け出した。
どうして自分はユーマの言う事を聞いてるのかわからないまま、マコトは床に手を伸ばす。
ベッドから身を乗り出せるなら、極めて安易な仕事だ。布の間から、ボタンを探り当て、指の先が触れる。
浮き足立ってしまう頭で操作方法を思い出す。普通に押すと磁力が切れる。長押しすると、首輪自体が外れる。
押し込んで数秒、カシャンと金属音が鳴る。
間を置かずに背後からのし掛かられるように抱き締められたマコトは、小さく悲鳴をあげた。
荒い息が耳元に掛かって「ありがとう」と吹き込まれた時、マコトは「ボク、抱かれるんだ」と実感した。
ずっとマコトが待ち望んでいた抱擁は、思ったより力が強くて苦しかった。
それでも満ち足りた心地がしたから、マコトは後ろから回された腕に手を添えたのだ。
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変わらず降り続ける雨。その街は昼間でも絶えず暗く、時刻を忘れさせる。街には雨を割くように、一際高い建造物がある。
その一室では、真昼には不埒な情事が繰り広げられている。
もし何者かがその部屋を訪れたのなら、寝室から漏れ出る淫靡な声を聴くことだろう。雨音で掻き消せないその声は、聴くものに部屋の奥へ進ませる力がある筈だ。
合間合間に挟まれる囁きは同じ声質で、ひょっとしたらひとりの人物からなる巧妙な芝居のように感じるかもしれない。しかし注意して耳を傾けてみて欲しい。ふんだんに甘えを含んだ嬌声と、それにポツポツと応える囁きは別の人物によるものだとわかる。
囁きがクリアに聞こえる一方、片方の声が——嬌声がくぐもるからだ。押し殺し、殺しきれない声が求めてやまない相手に甘えている。自分はこんなにも堪らなく身悶えていると雄弁に語るのである。
その声をどう殺しているか確かめたなら、恐らく拍子抜けするだろう。単純に、声の主が枕に顔を突っ伏して声を抑えているだけだ。
しかしそれは些末な事実である。声の殺し方よりもずっと惹かれるものがある筈だ。
——その声の主である。
「ぅ……っっ、ぉ、ゆ……ぐ」
質がいいだろう枕に噛みついて、涎をじっとり染み込ませて、彼は責苦に耐え忍んでいた。
小柄な体躯は年若いというよりは稚い印象を与える。少年と称するのが相応しい容姿だ。
肌が染まるほど感じている小さな体躯は、白い薄手の布団に緩く包まれている。彼が寒くないようにという配慮による処置であったが、それがどうにもベールめいていて、この性交が初夜であると気付く者もいるかもしれない。
最も、初々しいとはとても言えない。ベールの内側は既にローションや腸液で汚され、結合部を秘すように覆われた布の下では、熱と、肉を打ちつける音がわだかまっている。時折隙間から伺える細い四肢は汗ばんでいて、力なんてまるで入っていなかった。
辛うじてとられた四つん這いの崩れたような姿勢は、彼が既にこの姿勢を維持できる程体力が残されていない事を示している。腰だけ高く上げ続けられているのも、彼の状態を鑑みれば十分な奮闘と言えた。力尽きて突っ伏すことを許してもいいだろうに、少年はその行為を阻まれている。腹の下に敷かれたクッションによって倒れる事が許されていないのだ。負担の軽減になるだろうと置かれたそれは、さながら檻のようでもあった。逃げられない性感に戦慄く四肢が、時折シーツや枕を力無く引っ掻く。
痙攣とと共に揺れる長い金髪は下がった頭の方……肩の辺りで滞留していて、柔そうな耳や頬をさりさりと撫でている。撫でられている耳や頬がぽうっと薄桃色に見えるのは、少年の中に流れる血に由来するところだろう。体躯よりずっと色付いた赤面は、彼がホムンクルスである事を否応がでも突きつけていた。
そんな小さな身体に覆い被さるのも、また小さな人影である。ややゆっくりと、しかし逃がさないような抽挿は的確に少年の泣き所を抉っていた。
「感じてる時に出る癖があるって、あなた自身は気づいてる?」
少年の耳元でそう囁くのは、彼と年恰好も相違ない……いや、髪型以外は同一と言っていい少年だ。
特徴的な癖毛が頭頂部にあるラベンダー色の短い髪。重たげな前髪から覗く茄子紺の瞳は愛おしげに細められている。視線が注がれている相手は言うまでもない。好きで好きで堪らない者に捧ぐものだ。
愛おしくて堪らないから、大事に大事に責め立てているのである。
「元気な時は、結構暴れるよね。快感を逃がそうとしているのかな。頭振ってたりとか、手足がバタついてる事が多いよ」
シーツに擦りそうなペニスを捕まえて、ラベンダー色の髪の少年は、自分の推理を嬉々と語る。
「こんな風に、捕まっちゃう事の方が多いけどね」
絶対に相手を傷付けないようにと切り揃えられ、やすりがけされた爪。デリケートな箇所だからと、その爪すら触れないように指の腹で優しく亀頭を撫ぜる。捕まってくれてありがとうと感謝を込めて、チュコチュコと。スキンの中に閉じ込められたカウパー液が、直接触れて欲しいと泣き喚いた。
「……、ゆ、ぅっっあぅ!」
自身のおちんちんが泣いてしまうのだ。持ち主が啼くのも仕方ない。一際甲高い声と共に、ぎゅうっと長髪の少年が縮こまる。丹念に彼を愛撫している方の少年——ユーマが「そうそう、こんな感じ」と笑った。
「もっと追い詰められて、限界が近いなって時はさ、逆に縮こまっちゃうんだよね。アルマジロみたいで可愛いけど……もうひと段階あるのも知ってた? また見られたら教えてあげるね」
熱に浮かされた声音で「マコトさんは可愛いところいっぱいあるんだよ」とユーマが吹き込む。途端、少年——マコトの限界が訪れる。甘やかな悲鳴と共に、スキン越しに柔らかく熱が放出された。身体はとても素直で、こうしてユーマが大好きで仕方ないと示してくる。早く気づいてしまえとマコトを揺さぶっているのだ。
「声で気持ちよくなっちゃたのかな……? それとも」
ぱんっと、肉がぶつかり合う音と共に、湿ってぬかるんだ音がユーマの意地悪を知らせた。マコトのより奥深くへ、ずっと欲しがっていた物が与えられる。いきなり奥地へ踏み込んできた陰茎を、それでもマコトの身体は「行かないで、ずっとここにいて」と括約筋を動員させて引き留める。
「こっちで我慢できなくなっちゃった?」
「……ゅっっっっ゛、〜〜〜〜〜〜っっっぅぅぅうぅう!!!!!」
そんな自身の肉体の機微など知らない彼にしてみれば、いきなり加えられたより深くへの挿入は殴打と変わらない。しかし痛みではなく、じんと痺れるような快楽が背骨を伝う。登ってきた快楽が自身の頭を蕩かしているようで、少年は堪らず顔をあげた。
色付いた顔は散々加えられた快楽にボロボロと落涙している。絶望から成るものではない。彼自身は認め難いことではあるが「好いた者に暴かれている」という事実が涙腺を緩ませているのだ。蕩け切った茄子紺の瞳は夢見るようで、一方で半端に残った理性が残留している。
(どこからだ)
この行為に勝ち負けがあるなら、マコトは既に惨敗してると言えた。では、どこからマコトは負けていたのか。
その起点を探ろうにも、うまく頭が回らない。
「ゆ、うぁ゛……っ、ひ、ぁま゛」
言語として解するには些か厳しい叫びをあげて、マコトはユーマに宥められた。どう宥めたかと言えば、打ちつけた強さを翻すようにゆっくり浅く抜き差しを繰り返したのである。
この動きをマコトは知っている。自ら咥え込んだ性具でそんな風に遊ばれたからだ。
(どのタイミングで?)
それは、ユーマに応じる事をマコトが承諾した後の事だ。まずユーマは逃さないようにマコトを抱き抱えたまま、ローションやらスキンを眼前に並べた。今からこれを使っていくよ。どういった理由で使うよと、既知の説明をマコトは腹を撫で回されながら受けた。
「全部知ってるんだが……?」
「じゃあ尚更ちゃんと思い出さないとね」
有無を言わないユーマに引っかかりを感じつつも、マコトは説明を受け続けた。腹に圧がかかり、どうしても挿入されっぱなしの性具が気になってマコトが身じろぎすると、それを阻むようにユーマが力を込める。
「なんで今力を込めたんだ?」
「なんでだと思う?」
ユーマは笑顔だったが、目は笑っていなかった。質問を質問でぶつ切りされて、マコトは困惑気味に抱擁を受け入れ続けた。
説明を囁かれ続ける耳元や、ゆっくりと圧迫してくる掌に、マコトは次第にくすぐったさより性感が勝り息が弾んでいく。それを認めたユーマによって少し乾きはじめたマコトの下着とズボンが脱がされた。
(せっくす、するんだって思った)
胎は十分解けている。少し前には性具も動いていた。すぐ挿入できる事実に、マコトの心拍は跳ね上がった。
それにはまず、マコトに嵌め込まれた性具を取り出す必要がある。
のぼせ上がりながら、性具に手をかけようとしたマコトを制し、ユーマが「ボクにやらせて」とおねだりした。本当は自分で見せつけるように抜こうと思っていたが、それもマコトは拒まなかった。
(だって、いやじゃなかったから)
いいよと答えた次の瞬間には、ユーマは性具を使ってマコトを探りはじめた。
ゆっくりゆっくり焦らしながら抜いていき、よくよく性具を観察しながらユーマは「これって構造的に会陰も震えるよね」とか「この根本のぶつぶつはどんな風に感じてるの」とか「本当に音が小さいね、企業努力なのかな」などと質問責めした。マコトがちゃんと答えられていたのは最初の方だけで、件の性具のdBが35dbだった事を口にして以降はずっともどかしくて仕方なかった。
そんな中、やっと抜けると思っていた所で待っていたのが浅い抜き差しだった。
「な、んで?! っぬかな……?」
「あなたがどこで気持ちよくなっちゃうか、このまま教えてもらおうかと思って」
性具の緩く反った構造を活かしながら前立腺を捜索するユーマにそう答えられ、バタつきながらマコトは「じぶんのペニスいれてたしかめたら?!」と怒鳴った。
この時はまだ「挿入まで漕ぎ着ければ、自分にも勝機があるのではないか?」という思惑による下心もあった。口淫以降、ユーマは何も愛撫を施されていない。一度勃起したが、萎えてそれっきりだ。
ボクも気持ちよくしたいのにという焦りを物ともせず、当のユーマは「うーーん」と唸る。
「せっかくバイブがあるんだから、これを使って確かめた方が効率もいいんじゃない?」
正論と共に抑え込まれついでに性具のエラの張った亀頭に前立腺をぐりぐりと押し込まれ、開発済みのマコトはいいように可愛がられるしかなくなる。
「ん゛、いぁ゛」
前立腺はマコト自身も自分で解す為に触った箇所ではある。既知の性感であるが、改めて他者の意図を持って責め立てられると、どうにも胎が切なくなってしまう。
「ここ好きなんだね」
涙でぼやけた視界で、愛おしげに微笑んでいるユーマをマコトが見た時には既に、主導権はユーマが握っていたと言えた。
(それからも、そのまえも、ずっと気持ちいい。でもまだ、ボクだって挿れられたら勝てると思ってた)
挿入時はユーマも性感を感じざるを得ない。そこまで来たら逆転の目があるからとマコトは耐えようとした。そもそも「耐える」などという表現が出る時点で、勝敗は決していたのだが。
その耐えた内容を見ていこう。
まずユーマがやったことと言えば、マコトのアナルを解すことだった。マコトが枕に顔を突っ込んで何か口にする余裕すら無くなるまで、既に柔らかだったアナルを再度、執拗に解し尽くしたのである。
「もう十分柔らかいだろ」とか「さっさとしなよ」という悲鳴めいた文句を“絶対に怪我はさせない”という信条の元開拓し続け、その期間にマコトは二度目の射精を迎えた。「次勃起したら、スキン着ける復習もしようね」という明らかにマコトの口淫を根に持っている宣言が達成されるのにそう長い時間は要しなかった。マコトに枕やクッションが与えられ、ふんわりと毛布で包まれたのもこの長い前戯の段階だ。「負担が小さいらしいから」と所謂後背位の姿勢を取らされ、マコトはそれ以降枕に縋り続けている。
幾度もローションが注ぎ足されたり、いつの間にか2人分の残りの衣服が散らばっていたり。マコトがリードする余地は、はなからなかった。
ただ、それらに対してマコトが不快感を感じることも、逃げ出すとか抵抗するという選択を思い付く事はなかった。
(ボク、やっぱりおちんちんも、前戯も、きっとセックスもすきなんだ……ヘンタイ、なんだって。触れられる度に教え込まれているみたいだった)
腰を抱え込まれ、バイブで浅い場所を抜き差しされる——アナルで最も締め付けが強いのは括約筋なのだから、そこをより解くのは合理的だ。
だから、それ以外の愛撫は抑えきれないユーマの欲求からなるものだった。
毛布を捲って仙骨の辺りに吸い付いたり、気持ちよさを隠し切れず勃起した、マコトの竿を指の先でなぞったり。意外と気持ちいいのか、臍をアナルへの抜き差しのタイミングと合わせて同じ動作をすると、腰がカクついてしまうのを見たり。性具があるのだから挿れる必要も無いだろうに、拡がった肛門の縁を辿った後に指を浅く挿れたりした。
直腸の中は熱くて、ちょっと撫でるだけで締め付けてきて「この中に踏み込む」と思うとユーマは生唾を飲み込んでしまう。
寧ろそんな愛撫の方が穏やかにマコトが喘ぐのだから、ユーマの理性も溶けていく。
一方でそんな痴態のひとつひとつにユーマも興奮しているのを、マコトも知っていた。
(だって、息当たるし)
腰を抱え込んでいるのだ。息遣いが肌に当たってバレバレだった。荒い呼気を受ける度に、アナルを解く以外の愛撫を受ける度に、好きが蓄積する。蓄積した好意が飽和する。
それを「性行為全般への好感」であるとマコトは認識しているつもりなのだ。
このような前戯にマコトは耐えた訳だが……とても耐えれたという状況ではなかったのは言うまでもない。
挿入までに一度しか絶頂しなかっただけでも彼は奮闘していたが、甘イキまでは防げなかった。
蓄積する甘イキにマコトの時間感覚が曖昧になった頃、ユーマは漸く「挿れていいかな」と伺いを立てた。息も絶え絶えなマコトが枕から顔をあげてのろのろと肯首するのを見届けて、ユーマはやっと自身を挿入した。
正直な所、ユーマ自身も限界に近いというより、限界を突破しているような状況だった。ベッドインから(マコトは認識していなさそうだが)甘え通しで、かと思えば無茶してまでこちらを愉しませようとしてきたひと。この段階でユーマの息子はイライラしっぱなしだった。もしマコトが無茶しなければ、ユーマは普通に絶頂を受け入れていたし、ディープ・スロートもしっかり気持ちよかった。ただ、彼に傷付いて欲しくなかったから止めた訳だが。
そんな好いたひとが自分の一挙一動に悶えるのである。執拗な愛撫はユーマの意趣返しも兼ねていたが、マコトが追い詰められている裏で、ユーマ自身も着実に目の前の痴態に追い立てられていた。ユーマがなんとか挿入まで耐えられたのも、皮肉にも普段から自分に我慢を強いてきた彼の経験が活きていると言えた。「意趣返し」に集中する事で己の興奮から意図的に目を逸らしていたとも言う。
だからこそ、マコトにとっても「漸く」だった挿入は、ユーマにとっても「漸く」だったのだ。
急くようにスキンの封を切って、取り付ける。粘着質な音と共にペニスを充てがうと、括約筋の歓迎を受けた。
「……いーよ」
小さくも興奮と不安、歓喜がいっぱいに詰め込まれた声だった。
グッと腰を押し込むと、待望の胎の中が大好きとばかりに締め付ける。
やはり熱くて、この感触はスキン越しでなければすぐ限界が来るだろうことをより克明に突き付けられた。
特に締め付けが強い入り口から亀頭を逃すように、柔らかな直腸の深くへ挿入を果たす。それでもしゃぶり付かれる感覚は止まないものだから、ユーマは奥歯を噛み締めて耐える。息が詰まって、ちょっとカッコ悪かったかもしれないなんて苦笑したくなった。
マコトとしてはその挿入より、勢い余って覆い被さってきたユーマの暖かさの方が心地よかった。実感の湧かない頭で「……? はいってる?」と溢す。
涙をいっぱいに目に溜めつつも、不思議そうにマコトに尋ねられたのには、ユーマもちょっと傷付いた。
当たり前だが性具は抜いている。性具以下ということだろうか。
「言い方……あなたも同じくらいでしょ。別に特別小さくも大きくもないと思うけど?」
挿入の締め付けに食いしばって耐えて、奥まで踏み入ってこれである。柔らかく熱い場所でこんなにも締め付けてくる癖に、ぽやぽや不思議そうにするマコトはやっぱり魔性なのかしらと思わざる得ない状況。少なくとも前戯中の性具の扱いは浅い場所を弄るだけだった。それよりは深く穿てている筈なのだが。いや、しかし「全て収めれば性具の方が深くまで踏み込めるのか」とユーマは一瞬錯覚しそうになったが、毒々しいピンクの竿は同じぐらいか自分の方が少し大きい程度である。長さも太さも。アナル用なので細かい差異はあるが。
流石に全自動で駆動したり、挿入しやすい用にと先端を細くする芸当はユーマにはできない……というより人類にもホムンクルスにも無理だ。機能を重視するなら生身の人間に勝ち目はない。アンドロイドにでもならない限り無理だろう。
諦めて真剣にさっきまで慣らすのに使っていたバイブを再利用するか……とユーマが白旗をあげようとした所で、マコトはもごもごと枕の中から応えた。
「いや、以前は切りひらかれる……感じであらされたから……ふしぎなんだ……はいってるのに痛くない……」
熱くて、硬いものが胎の中に居座っている事はマコトにも理解できていた。ただ、“平常なら”生殖器に該当するものが挿入されて痛みも出血も伴わないなんて事は彼には無かったのだ。
だから、不思議だった。なんだか別のものが差し込まれたような気がしたのだ。
ユーマは頭が冷えた。興が乗っていたとはいえ、ユーマはマコトを手荒に扱っていない。その上で、彼はより丁重に扱わなければならない相手だ。
そもそも自分は彼に傷付いて欲しくなかったから時間をかけた。それを忘れてはいけないと決意を新たにする。
一方、マコトは顎に手を当て考え込みはじめる。急に湧いてきた疑問に頭の回転がほんの少し回復したのだ。
思えば今までマコトが性交渉の類をした相手は、触手も含めて彼を慮る者がいなかった。ユーマがイレギュラーなのだ。
掘削というのが順当な挿入とピストン運動がマコトにとってのセックスである。「然程痛くないから? 事前にならしたにしても、今までだって人間相手には普通に対処されたと思うが……差違はなんだ?」などとそこまで考えたところで、ユーマがより深く押し入りはじめた。
「うわ」
思わず声が出たマコトは、顎にやっていた手をそのまま口に押し当てる。
「別に声出してもいいのに。さっきまで声出してたでしょ」
「……なんかやだ」
いよいよはじまったのに最初から「もう辛抱堪らないんです」とアピールするのはなんとなくマコトの癪に触った。
「そうなんだ……?」
声を聞くのが好きなユーマは少ししょんぼりしたが、恐らくすぐ再開されると思い直す事にした。強がりや意地っ張りは慣れつつある。
そのままゆっくり住複を開始するユーマをマコトは睨みつけるが、当の本人は涼しい顔をしている(様にマコトには見えた)。緩やかな往復の合間に、泣きどころを探しているのだ。大凡の場所は既に把握している。
腹部に向かってぐいっと押しやると、米つぶ大の膨らみに触れた気がした。ぎゅうっと竿が締め付けられる。
「ん……」
再度性感の萌芽を感じたのだろう。マコトが枕に突っ伏してしまった。そうやって備えようとしたのだ。
「ここだね」
「……」
マコトは黙したままだった。既に紛い物の亀頭で予習した性感の予感が、想起される見知った歓びが、口にするより雄弁に身体の震えに出てしまう。
ピクンっと返事したマコトの肉体を最も深い場所で感じ取りながら、ユーマは口内に溜まった唾液を飲み干した。
そうして、冒頭に戻る。
ーーーー
続き