2スレ112触手姦経由の純愛ユママコ(破)2/6

2スレ112触手姦経由の純愛ユママコ(破)2/6

まだ完成してません! 加筆修正するかもです。BL・純愛になる予定・純愛だけどリョナ凌辱前提・触手姦描写・その内セッッッするけどこの段階だとフェラメインです


https://telegra.ph/2スレ112触手姦経由の純愛ユママコ破16-01-01

これの続きです。

ーーーー

「セックスをしたいんだ」

 最も、出会って早々に本題を出されるとは予想していなかったが。

 ユーマは顔を手で覆った。彼の脳裏を、部屋を通されてからすぐシャワー室に押し込まれたことや、シャワーを浴びて早々にマコトに無言で寝室まで引きずられたことが早回しのように流れていく。そもそも珍しく玄関まで出迎えに来ていたし、その時点で心なしかマコトは上気したような顔だった気さえしてきた。すぐにシャワー室送りにされたため、よく見た訳ではなく確証はないが……。

 その点、今はよく表情が見える。逆光に慣れたユーマの目が捉えているのは、不機嫌そうな……正確には不安であると思しいマコトの顔。そんな彼に腹の上を陣取られ、ユーマはひとりで使うには些か大きいベッドに転がされていた。

 押し倒されたのである。

 平時より暖かめな体温。薄い部屋着に羽織った、半端にボタンを留めたやや大振りな柔いカーディガン。その上を流れる少し先の湿った髪。石鹸のいい匂いは自分から漂うものではなく。

(シャワー浴びてる……)

 準備が完了している。

 あと腹に生物由来感のない固いものが当たっている。なんだこれ、怖い。

 若干饅頭怖い的な恐怖に支配されつつも、ユーマはまだグッと耐えた。

「マコトさん。ボク達の約束って、ボクがあなたの自慰の代わりになることだよね。別にセックスはしなくていいんじゃ……」

「セフレという言葉は、セックスフレンドの略称で肉体関係に重きを置いた間柄だと記憶しているが」

「……」

 その通りですとしか言えない言葉が返ってきた。俗よりの言葉なので辞書には載っていないかもしれないが、インターネットで調べれば概ねそのような検索結果が出力されるだろう。

 黙したユーマの上に、自分と同じ質量の身体が投げ出される。思わず呻いたユーマを笑いながら、彼の頭を抱く少年は愛おしげにラベンダーの髪を梳った。遊んでいるのだ。

 重いとはいえ重心が変わったのだから、ユーマはマコトから抜け出すこともできるようになった訳だが。どうにも、彼を受け止める為に腰に回してしまった腕を離す事は躊躇われた。

 別にどこもかしこも柔らかいベッドの上なのだから、マコトをどう転がしても問題はない。怪我もしない。押し倒し返すこともできる。

(……そこまで思惑の内だろうからなぁ)

 あとは、暖かい生き物をまだ抱きしめていたいのが少し。これも不純だろうか。腕に力を込めると、部屋着のやや薄い布が撓んだのを感じた。

「ねえ」

 髪を梳る指先に覚えがあるのは、よくこうしてユーマが触れているからだ。真似であると断言できないのは、ふたりが同じ人物を起点に分かれているから。最も、ナンバー1の時にこんな風に誰かに触れられる余地があったのかと言えば、疑問が残る。

 頭頂部の特徴的な癖毛を指で挟んで遊びながら「よく聞いてくれ」と囁きかけるマコトの顔は、ユーマからは見えない。それでも十分その仕草に蠱惑されているという確信を腰に込められた力からマコトは感じていた。自分の胎がそれに悦びを得ている事を無視しながら、マコトの言葉は続く。

「ボク達、セフレになって半年以上経過しているんだが。キミはいつになったら愛撫から先に進んでくれるの」

 顔に薄い胸を押しつけられるように抱かれると、必然的にユーマはマコトの鼓動を強く認識せざるを得なくなる。呼吸できないほどではない拘束は、沈黙を許さない。

「ボクとしてはあなたの経歴を思うと、安易に抱けないよ。半年でも早いくらいじゃない?」

 言い分を飲み込んで、マコトは「ふぅん」と漏らした。

「ボクに対して興奮できない、みたいな事は言わないんだね」

「……あなたは、既に知ってるでしょ」

 隠せるなら隠しておきたかったが、ユーマの勃起の有無を知らなければ、マコトは一週間前のような悪戯はしないだろう。

「自分と同じ顔に勃起するのは結構な性的倒錯具合だよね。いつも頑張って我慢するなんて偉いな〜〜ユーマくんは」

 嘲るような声に反して、髪に触れている手付きは柔らかいのだから、皮肉にも挑発にもならない。そもそも嘲りを滲ませた声にしてはわざとらしい。ちょっと上擦っている。

(演技が下手なのか上手なのかよくわからないひとだな……)

 そんなことをユーマが考えていると「余計なお世話だけどね」と冷たく断じられた。

「……あなたは、性的な方向でも散々傷付けられてきたじゃないか」

「……」

「正直、ボクが触れるのもあなたにとって本当は良くない事だと思ってる。怖い目に積極的に遭うのは避けた方がいいんじゃない?」

 紛れもないユーマの本心だった。違う方法が取られて然るべき選択を誤り続けている。それでも手を離し難い矛盾。

 苦痛の滲むユーマの返答に対し、マコトは訝しむように息を漏らした。

「キミは、ボクに怖い事するの?」

 黙すしかなかった。ユーマはなんとか「嘘だろ」という言葉を飲み込む。殺し文句とか、挑発ではない。演技でもない。

 いきなり頓珍漢な事を言われて素に戻ったかのような響きを孕んでいたのだ。

「……するか——いや、したくないよ」

「それ、しないって事じゃないか」

 続け様に「変なの」なんて溢すマコトからは、警戒心のけの字も感じられない。本気でユーマが自分を害さないと思っている。

(け、警戒心が死んでる……なんで?)

 実はこれは巧妙な演技で、自分は揶揄われていたりするのか? そう一瞬本気で悩んだユーマの頭を撫でながらマコトは「でも、ボクはするかもしれないね」と呟いた。

 カシャン、と金属質な音と共に、滑らかで冷たい感触がユーマの首を覆った。

「え」

 飛び退くようにユーマからマコトが離れた途端、ぐんっと首が後方に引っ張られた。それは既知の感覚であり……紫のふわふわした相棒がよくユーマを引き摺っていた時の感覚に似ていた。

 ヘッドボードにぶつかるのを複数ある枕やクッションに阻まれ、奇妙な牽引は終了する。

「な、なんだっ? なにこれ?」

 混乱するユーマの股座に挟まるように、マコトがひょっこりやってきた。

「……首の痛みや、引きつけはある?」

「無いけど……」

 慣れてるから……とは言わなかった。その返答に、マコトは少し安心したように「そう」と口にした。

 流れるように、ユーマのベルトを外しにかかる。

「ちょ、ちょっとっ?!」

 思わず起き上がろうとしたユーマは、不自然な引力でもって首を引き戻される。ぐえ、だか、ぎぇ、といった感じの呻きに対して、マコトは一言

「何」と訊ねた。

「やめてっ……あと、説明が欲しいんだけど?!」

 ズボンを脱がしにかかるマコトの行動と、少なくとも人間の筋力では解消できそうにない不可思議な引力の原理の説明を求めユーマは叫んだ。

 引力の要因が付けられた首輪だとして、これはなんなのか。

 外そうと首輪をガチャガチャするユーマに、マコトはこともなげに「それはアマテラス社が開発中の商品。犯罪者の拘束用に開発されたものだよ」と答えた。

「スイッチひとつで磁力を発生させて、対になる枷と引き合うようになっているんだ」

 いつの間にかマコトが手にしていたリモコンは簡素で、アマテラス社のマークの刻印とボタンがひとつ付いている。それを引き抜いたズボンと共にベッドの下に投げ捨てた。その様子をユーマが絶望の眼差しで見送る。

「今、キミの首のもっと下。ベッドの床板の裏に、対になる枷が設置してある。抜け出すのは、難しいだろうな」

 タイツのウエストバンドに指を突っ込みながら、マコトは淡々と解説した。

「ここまでするっ?!?!」

「そうでもしないと、キミ、ボクを抱かないだろ」

「こんなのレイプだ……」

 マコトによる剥ぎ取りは続くも、ユーマからは抵抗の手立てがない。手を伸ばしてもろくに届かないし、蹴りを入れるのは危ない。起き上がろうとするユーマを尻目にマコトは「本気で抵抗するなら蹴りでも入れてみたらどうだ」とアドバイスを送る。

「それだけは嫌だっ!」

「……やっぱり怖いこと、かけらもする気がないじゃないか」

 殺し文句で喜べるのは余裕がある時だけだ。ユーマの息子は既に風前の灯火である。障壁がパンツしかないのだ。しかも。

「へえ……ちょっと反応してるね」

「ぐぅ……」

 ユーマはマコトに覆い被されて頭を抱き込まれた時には既に反応していた。好いた者から漂う石鹸の匂いや、薄い布越しに伝わる乳首の感触は、息子には毒であった為だ。勃起とまでいかずとも、ムラつきはする。

「こうしてちゃんと見ると、キミってボクに興奮してたんだなってよくわかる——あんな抱擁だけで元気になるものなの?」

「なんとでも言えばいい……」

 ペニスつっつかれながら、ユーマは唸った。その様子をくつくつと笑いながら、マコトは逃げ道を作る。

「……レイプって言うのは否定できないからさ。キミは全部、ボクの所為にしてしまえばいいんだ」

 ユーマがどうにか頭を目一杯動かして見たマコトは、眉を八の字にしていた。

 しょうがないなと言った表情には、少しだけ切なさが滲んでいる。

 すうっと局部の匂いが嗅がれたのにユーマの反応が遅れたのは、そんなマコトの表情に少なからず動揺してしまったからだろうか。

「ボク“で”気持ちよくなってよ。ユーマ」

 そんな自分を物みたいに言うのは辞めてよと伝える前に、ユーマの下着が取り払われた。


ーーーー


「待って、マコトさん」

 ペニスにパクつこうとするマコトに静止を掛けられたのは、ユーマがある程度状況に諦観を覚えたからだ。

「せめてスキンつけようよ……」

 サイドテーブルの引き出しの中にあった筈だが、いかんせんユーマの手は届かない。ベッドから出ることの出来ない腕だけが中空を掠っている。その必死ながら何処か間抜けな様子をマコトは鼻で笑った。

 スキンを使用するなら、前段階で勃起させる必要がある。それまでの工程で自分の説得を試みようとしているのだろう。だからあそこまで必死なのだ……というのがマコトの推測である。そうはいかない。より頑なになったマコトはツンと澄まし顔になった。

「別にいいよ。人間由来のタンパク質なら、多分栄養になるし」

 それは問題ではない。

 AVなどで必ずと言っていいほど描写されるフェラチオであるが、どちらかといえばアブノーマル寄りの性行為である。明確なハードプレイではないにしても、よりコアなプレイに発展させる事ができる。

 仮にもうマコトを止められないにしても、せめてできる限り彼が守られて欲しい。無茶しないでくれ……というのが切実なユーマの心情だ。

 せめてスキンつけて。

「汚いよ!」

「シャワー浴びてきただろ。キミ、ペニスは洗わないの? いつの間にか亀頭に恥垢を溜め込むタイプにでもなったのか?」

「洗うよ……流石に」

 エチケットなのでユーマも洗ってはいるが、それだけで全てが帳消しになるわけではない。そもそもスキンの着用が求められるのは、避妊と性病防止の為である。彼らは避妊に関して考えなくても良いが、性病に関しては留意すべきである。

「性病とか……」

「ボク以外と直近でセックスしたの?」

「してないけど、必ずしも性交渉がトリガーになる訳ではない感染症だろ……」

「別に説明しなくても知ってるようるさいなぁ」

 一般常識を今更自分と大凡同じ記憶や知能を持つ相手から啓蒙されて、マコトは鼻白らんだ。

(それに、ボクはキミと違って死んでしまえば帳消しにできるしな)

 勿論ユーマはその限りではないので、何か罹っていたら医療機関に叩き込むが。

 情けない声を無視して、マコトは先端を口に含む。大凡と尿であろう塩味以外、別段目立った味はしない。

「あああああ……」

「いふまれやっふぇるお」

「咥えたまま喋らないで……」

 天を仰ぎ始めたユーマに呆れながら、マコトは口淫を開始した。

(……何か突っ込まれる時は、対象問わずとにかく前後運動を強いられたけど、本来もう少し創意工夫がいるようなプレイの筈だ。多分)

 人智を超えるような怪力が加えられたり、そもそも凌辱を目的とした暴力ではない口淫。マコトにとってそれははじめての事だった。

 喉を砕いたり破ったり、歯や顎の骨が折れない。臓腑を突き破って気道を塞がれ窒息することもない。

 それどころか、マコトが自由にしていい。

(自分で状況を作ったとは言え、いざ好きにしていいとなるとあまりやりたい事が思い浮かばないものだな……)

「マコトさん?」

 心配そうなユーマと目が合った。拘束してからずっと情けないアホ面を晒している。そこでマコトは、レイプを仕向けた主要因に「ユーマに勝ちたい」という野望があったことを思い出した。

 ずっと翻弄され続けているのは気に食わない。

 ボクだけが気持ちいいのは嫌だ。ユーマにも気持ち良くなって欲しい。

(そうじゃないと、ボクがずっと負け越して施されてるみたいだろ)

 一度亀頭に吸い付いてから口を離して「なんでもない」とマコトは呟いた。

 ビクついた足と、心なしか硬くなったペニスを見て、これが正解だとマコトは気づく。確かめるように再び亀頭に吸い付くと、殺し損ねた息の音がした。

 今度は広げた舌で鈴口を覆うようにしてみる。全ては覆えないものだから、そのまま鈴口をなぞった。

「……うっ」

 単に唾液が口の中に溜まったのか、それともユーマの呻き声に当てられたのかわからないまま、マコトは喉を鳴らした。その嚥下音が耳に入ったのか、ユーマもシーツを強く掴んでいる。

 ふたりして興奮している。その事実が、マコトをより積極的にさせた。意図的にスイッチを切り替え、カーディガンのポケットの中で少しだけ手を握りこむ。そうやってマコトは武者震いを抑え込んだ。

(ボクが、気持ちよかった触られ方……)

 一瞬怪訝そうだったユーマの顔には目をくれず、マコトは眼前のペニスを見据える。

 ほぼ同一の肉体を持っているのだ。マコトの状況を加味しても、快感のツボ自体は恐らく同じ筈である。そんなロジックであると認識した上で、マコトは愛撫を続行した。

 本当は、気持ち良かった事を返してあげたいだけなのだが。

 カリ首を歯を立てないように柔らかく唇で挟む。くぽくぽと身に受けた凌辱に反して拙い前後運動。探るように添えられた手が、包皮を巻き込み竿で遊びはじめた。

(先端擦られるの、気持ちいいし。舐めたり吸ったりすればいいのか?)

 前後運動の最中に、口腔に閉じ込めた亀頭を舌で摩る。いつも指で挟まれて舌を愛撫されているのが過って、マコトは得意げになった。今捕まえているのはマコトだからだ。

 いい反応を返した鈴口を舌でつつくようにすると、逃げるようにユーマの腰が引けた。口腔をくすぐってペニスが抜ける。

「にげないで」

 追いかけついでにマコトが覗いたユーマは、世界探偵機構の制服を握り締めていた。

 もう立場を辞しただろうに着用し続けているのは、彼に科せられたアイコンというか、イメージを鑑みてわかりやすさ重視で纏っていると以前聞いたことがある。それを思い出してなんとなく気に食わなくなったマコトは、もう少し視線をずらす。よりユーマの顔が伺える位置に。

 辿り着いた視線の先では、ユーマがキツく目を閉じていた。顔が真っ赤なものだから、嫌悪や拒絶からくる仕草ではなさそうだ。

 ふと綻んだ瞼から、ユーマの目が現れる。

 両者の目が合う——ユーマからの視線は射抜くようだった。いつもの穏やかさを置き去りにした獣性を宿す眼光は、少し気圧されたマコトを認めて緩やかになる。

「ごめん、ちょっと……思わず」

 気をつけるねと付け足したユーマに、マコトは生返事した。少しびっくりしてしまったのだ。

 背中を擦りながら元の位置へ戻るユーマに伴ってマコトも退がる。変に力が入ったからだろうか、少し胎が疼いた。

「ん……」

「マコトさん?」

「……別に。なにか、して欲しい触り方とかある?」

「えっと……そうだな……」

 ひと呼吸置いて「マコトさんにして欲しいというか、ボクがしたい事なんだけど」とユーマは切り出した。

「マコトさんに触れたいなぁ、なんて」

「……」

「ダメかな?」

 片目を閉じて愛嬌をアピールしてくるユーマに、マコトはむっつり黙り込んで、股座から移動した。ユーマの胴の傍辺りに座り込む。ユーマの手も届くだろう。

「拘束は解かないからな」

 そう言って、やや斜めに乗り出しながらさっさと口淫を再開するマコトに、ユーマは微笑ましさを感じた。素直じゃない。ありがとうと声を掛けても、聞こえないふりをしている。

「ンひぁっ」

 忍び笑いをしてしまったからだろう。亀頭のくびれたあたりを舌で一巡されて、ユーマは小さく嬌声をあげた。殺し切れず出た声に、少し己を恥じる。声帯は同じなのだから、ある意味聞き慣れてはいる筈なのだが、自分の喉から出ていると思うとどうにも居心地が悪い。

 その様子を振り返ってばっちり見聞きしていたマコトはにやりとしている。

「キミもそういう声出せるんだ」

「からかわ、ないでよ」

 くすくす笑いながらも、マコトはしっかり手コキは行なっている。

「もっと聞かせてくれてもいいのに。結構可愛かったぞ」

 「あなたに言われてもな」なんて言ったら一転して機嫌が悪くなりそうなので、ユーマは口を噤んだ。

(あなたはそう言うけど、あなたの声だって可愛いんだよって、ボクだけが知ってればいいし)

 悪戯っぽい笑みで口淫を続行するマコトに「善処するよ」とユーマは返した。

 今、マコトはどうにも得意げであるらしい。実際ユーマのペニスは硬度を増していて、半勃ち程度になっている。気持ちいいには気持ちいいが、それ以上にマコトが頑張って自分を気持ちよくしようとしているのが、ユーマには堪らなかった。

(スキンつけてよとは言ったけど……正直、ダイレクトに刺激が来るのはやっぱり……)

 湿った暖かい口内は、どうしても膣や直腸を想起させる。性行類似行為とはよく言ったものだ。

 しかも。

「んぁ……む、ちゅ」

 水音と、呼吸音。それに漏れ出す好いているひとの声。状況が、体感が、どうしたって性感をぐらぐらと煮立てる。

 そんな期待ともどかしさにイラつく睾丸を、マコトは陰嚢越しにソフトタッチで撫で上げている。ユーマが口付けできない口で、恋でもしてるように愛おしそうに竿にキスを送っているのを見せつけられ、終いには裏筋に吸い付くのだ。マコトはひょっとしたら、人を翻弄する淫魔の類なのかもしれない。

(その行動が、もしあなたを取り巻いた陰惨な状況からの知恵じゃなくて、ボクへの好感からなるものだったら)

 そんなに嬉しい事はない。仮にそれが、自分からそう見えただけの幻だったとしても。

 実際のところマコトの技巧は、経験に反して下手な部類だ。マコトの愛撫が何を由来にして行われているかの答えは、一歩引いた目線からなら簡単に推し量ることが可能であろう。状況を客観視できない程ユーマに経験がないというよりは——単に逆上せているのだ。

 そんな状況はさておき、愛おしい気持ちでいっぱいのユーマは、竿を舐め摩っているマコトの腰に腕を回した。びくりと、露骨にマコトが跳ねる。

「のしかかっていいから、もっとそばに来て」

「ほう?」

 自身を引き寄せる腕に従って、マコトはユーマの腹部に半身を預けた。見知った体温と重みがユーマに伝わる。その最中もフェラチオを続けるのだからいじらしい。

「うん。そんな感じ。ありがとう、マコトさん」

 ユーマは引き寄せた腕を引っ込めるついでに、礼を言うようにとんとんとマコト腰をやさしく叩いた。労うようなもので、そこに他意はなかったのだが。

「ン゛ぶ」

 口淫の停止。見知った痙攣だった。どうにも、マコトはこの微弱な刺激で震えるほど、この行為に感じているらしい。当然だがフェラチオはされる側は性感をくすぐられるが、する方は直接的に感じるわけではない。発展系であるイラマチオ等も基本物理的に負担を強いるもので、性感を得るには熟達が必要だろう。

 そうなると、今マコトが震えたのは。

(この状況に、興奮してくれてるってことだよな)

 先程目があった時の微かな怯えと、意地っ張り。それ以上の恍惚が滲んだマコトをユーマは思い起こす。その時には既に、ユーマの手は動いていた。

 幼児を寝かしつけるような軽い叩きでもびっくりしてしまうのだ。ユーマは努めて優しく、マコトの背中を摩った。

「あの、ね。さっきからずっと、きもちいいよ」

 夢見心地でありがとうねと続ければ、上気した横顔が綻ぶ。

「おちんちんの先っぽ、優しくちゅうって、してくれるの……好きだな」

 跳ねる腰を押さえ込んで、甘やかな告白をマコトは叶えた。すっかり充血した亀頭を口に含んで吸い付く。唾液に希釈された苦味と塩味を感じて、マコトはもうカウパー液が分泌された事を察する。それに奇妙にも旨味を感じるのは、マコトがホムンクルスだからなのか。精神状態が成す魔法なのか。

 銀糸を引いてペニスから離れた唇が、音を伴わず形だけユーマに見せつけられる。

 他には?

 ぐんっと硬くなった陰茎に髪を巻き込んで頬擦りして、マコトは答えを待ち望んだ。

「竿を、指の先でフェザータッチされるの多分きもちいい……マコトさんもすきだよね、これ。できる?」

 緩やかに腰を摩りながら「裏筋舐めながらやってくれるかな」とユーマはおねだりした。

 息をはずませながら、知っている愛撫を還元する為にマコトが動き出す。確かによくされている気がする指遣いを脳裏に浮かべて、指を竿に添える。指の腹が優しく触れるか触れないかぐらいの加減で竿を往来し、ユーマの息も弾む。

「じょうず、じょうずだね……」

 睦言と共にマコトの腰で行われる愛撫と言うには穏やかな手のひらの行き来。その筈なのに、どうにも腰から伝わる柔らかな労いに、マコトの頭はふわふわと酩酊してしまう。

(おちんちんすき……)

 もしこの世に、自分の情報を詳らかにする第三者目線に向けてのプロフィールがあるならば、マコトが嫌悪するものの項に「オリジナルの自分」と書き込まれる筈だ。ならば、好んでいるのはユーマではなく。

(これは、おちんちんがすきなだけだから……)

 かえって淫乱に見える言い訳を、頭に浮かべてマコトは自分を騙す。

 熱に浮かされた労いや、腰をよしよしする手に震えてしまうのは、ユーマが好ましいからではない。自分で別に要因を用意したのと、単に自分で好きにできる局部に興奮しているだけなんだ。そんな風に、自分に言い訳できてしまえるのだから、マコトの尽くし方はある意味で当然であり、順当な結果だった。

 ごり。

 そんな幻聴が聴こえそうな虐め方をマコトは自分に強いることにした。悦楽に微睡んでいたユーマが一気に正気に戻る。

「何やってるの!」

 ユーマから完全に背を向けて、彼の上半身を押し潰せるような位置にポジションを変える。これでもう動けない。ユーマに邪魔されない。同時にユーマから助けられる事もない。

 全部自業自得や、自身の趣味であると言い訳できる。

 マコトが何をやっているかと言えば、所謂ディープスロートというものだ。イラマチオとよく似たプレイであり、最大の相違点は挿入側ではなくされる方が能動的に行うプレイであるという点だ。自ら喉の奥へペニスを招き入れる口淫。それがディープスロートである。

 双方に言えることではあるが、必然的に著しく呼吸を妨げ負担を強いられる。当然アブノーマルプレイだ。

 ごん、ごんと、鐘でも突いているかのように、マコトはもう随分前から大嫌いな/大好きなユーマで喉を虐待する。

「んげ……うぇ……ぐ、ぶぇ……」

 涎と先走りが混ざって泡立つ音で誤魔化されない悲鳴が、ユーマにはしっかり聴こえていた。

 抽挿で呼吸は途絶えがちで、苦痛で仕方ないのだろう。嘔吐感をどうにかしても、彼が味わっているのは青臭くて、塩味と苦味とエグ味のあるとても美味しいなどとは言えないものだ。

「マコトさん! 止まって……やめてっ、けほ」

 一方でユーマは、首が絞まるのも構わず、起き上がろうとしていた。両手で腰を掴んでも、マコトは一向に静止しない。そもそも犯罪者を拘束する為のものだ、ユーマがどんなに力を込めようと首輪が外れる気配はなかった。

 好いたひとが苦しんでいる。それに対して何もできない。大凡半年前の光景がリフレインする。今回彼を害しているのは怪物なのではなく、ユーマの肉体だ。それなのに。

(どうして気持ちいいんだよ……っ!)

 ユーマは確かに性感を感じていた。

 マコトの柔らかい口腔の中を、ペニスは決して歯を立てないように細心の注意が払われた状態で迎え入れられる。

 柔らかい、暖かいなんて感じるまでもない。本来もっとゆっくり行われるだろに、受け入れる方の負荷を無視した抽挿はすぐさまペニスを奥深くまで呑み込む。

 熱いのだ。熱くて堪らない。

 ここがどこかを体感から雄弁に語られ、意思に反してペニスが次のマコトの挙動を希求する。

 そこで何が行われるかと言えば、ぎゅっと締まる咽喉に、亀頭が抱擁を受けながら撫で回されるのだ。しかしそれも長くない。

 短い咽喉との逢瀬に懐かしむまでもなく、名残り惜しげにゆるゆるとペニスは入り口まで引き戻される。涎に塗され洗われながら来た道を戻り、そして一息つく暇を与えず再度喉の奥に叩きつけられる。そんな抽挿が何度も繰り返されているのだ。

 マコトを確実に苦しめているであろう往来は、なかなかどうしてユーマに悦楽のなんたるかを教え込む。それが如何にユーマにとって許し難くとも、道理に反して性感が魂魄に刻まれているかのようだった。

 そも、目の前で自傷行為に勤しむ少年は、在らん限りの被虐を受けてきた。その中に淫虐が含まれるのは最早語るまでもない。

 こいつは嬲っていい。自ら自身を辱めているのだ。今更お前が手を加えた所で大差はない。

 今すぐにでも無為な自殺の紛いごとなんてやめて、ただ腰を上に打ち突けるといい。そうすればきっと、もっとお前は善くなる。

 そんな嗜虐の囁きを聴いた気がした。


 だから、どうしたと言うのだ。


(だってボクは、あなたがこんな形で傷付くのを見ていられなくてこの関係を築いたんだ)

 正しくなくても、それで護れるものがあるかもしれない。そう思ったから、ユーマはこの形の関係を選んだ。それさえ確かなら、やるべきことはひとつだ。

 マコトを止める。

 とは言え呼びかけや抵抗は無意味だ。マコトも話を聞くような状態ではない。

(他に方法はないのか……?)

 抵抗を止め、ユーマは状況を振り返る。首にはアマテラス社製の拘束具。とても人間の力では破壊できそうにはなく、自分はベッドから起き上がることはできない。

 マコトにのし掛かられている為、一か八かで転がったりする事も難しい。更に下手に動けば、マコトの意図しない形で咽頭にペニスが打ち込まれることになり危険だ。暴発間際のペニスも、いつまで耐えられるかわからない。腕は自由に動かせるが、腰を掴んだ所でマコトは止まってくれない事は確認済みである。

(腰……)

 そう言えば、そもそも何故腰を軽く叩いたり撫でたりぐらいでマコトはあんなにビクついたのだろう。興奮したにしても、そんなにわかりやすく急速に興奮するだろうか。

(他に要因があるとか?)

 その時、ユーマの押さえつけられた上半身に、ごりっと硬いものが押し付けられた感触がした。

「……っ、ぁぶ」

 マコトが小さく喘いだ。何事もないかのように口淫を再開した。いや、これはマコトに押し倒されて以降、何度か見た筈だ。不自然にマコトが静止する瞬間を、ユーマは目にしている。

 そういえば、この何か押し付けられる感触もこれがはじめてではない。その時は、人工物のようだとユーマは思ったのだ。

「……!」

 ここまで気づけば早かった。

「? 、ぁ、ゆーま?」

 カーディガンのポケットを弄られて、好きなもので自傷を行っていたマコトの意識が戻ってくる。疑問を呈する為に、ペニスから口を離したのを、マコトは意識の端で勿体無く感じていた。何故なら、もう少しだったからだ。

(もうちょっとで、かてる)

 最悪で/愛おしく って、夢中で 勝とうと/尽くそう としていた。

 自分の喉を削ってキミが気持ち良くなるなら、“ボクで”キミが気持ち良くなるなら。それはきっと満たされるから。施しを受ける惨めを、決定打を与えられる事のなかった切なさを、忘れられるから。

 大丈夫、別に死ぬような事はしない。本当に死んでしまうような加虐の何たるかは知っているから。苦しいけど、ちゃんと加減はできる。できている。

 それで、ええと、どうしたんだっけ?

「最初に謝っておこうと思うんだ」

 ごめんねの一言と共に、マコトが準備していた一手が暴発した。

「あ? え……?」

 何が起きたかわからないまま、マコトはたじろぐ。

 胎が震えたのだ。

「なん……あれ」

「積極的だなって、思ってはいたんだけど。正直今になって思えば、あなたが挑発的で助かったよ」

 訳も分からず視線を降ろしたマコトは、興奮の兆しを見せテントを張った自分の下半身と、小さな薄いリモコンを手にした自らと寸分違わない右手を認めた。毒々しいピンク色で、見覚えはある。これは、なんだったか。

 リモコンのダイヤル式のスイッチは、最大値の一歩手前で停止している。

 そこまで思い至って、これが何かをマコトが漸く正確に把握した時には、ユーマは操作を完遂していた。

「ーーーーーーッッッッ???!!!」

 声にならない叫びを無視して、マコトが“自分で挿入した性具”は、彼の許容を超えて名前に違わない振動を見せる。

 バイブレータだ。

(そういえば、いれてた。ユーマ、びっくりするかなって、おもって)

 その性具は、ユーマのシャワー中どころか、ユーマが来る以前からマコトが自ら挿入していたものだった。自身を慣らした上で、すぐにユーマが挿入できるように、直腸の柔らかさ保つ為に少しだけ動かした状態で。

(ちょっときもちよくなったけど、おちんちんしゃぶってたらどうでもよくなって)

 本当は頃合いを見て、抜いて。ユーマで埋めるつもりだった。それが今、ユーマに利用されていた。

(バレないとはおもってなかったけど、なんで、むりやりつかってるのかな)

 そもそも最初からわかっていただろう。わかった上で彼はマコトの好きにさせていた。マコトの意思を無視してユーマは無体を働かない。

 だというのに。

「うぁあ?! 、ひ」

 マコトはごつん、と幻聴を聴いた。マコトがペニスで確実に窒息しない事を確認したユーマが、少しだけ上体を持ち上げたのだ。

 跨るマコトのバランスを取る為に、彼の腰はしっかり掴まれている。それでも拘束により動きが制限され、更にマコトという重しもある。可動範囲なんて然程ない。

 それはなんて事ない動きの筈だった。

「っ……きゅ、あ……?」

 出来上がったマコトにはそう言い切れない。失禁のような吐精が、彼の下着を温く濡らしていく。

 理知の外から胎をとん、と叩かれ、マコトの思考は霧散する。この快楽をどうすればいいのか。

 臓腑を弄るような怪物であったなら、可能な限り暴れた方が良いだろう。そうやって快楽を逃がせばいい。もしくは縮こまって、嵐のような快楽にじっと耐え忍ぶのもいいかもしれない。

 もし、これを与える相手が、身を預けられるようなひとだったら?

 その時、腕が腰に巻き付いてマコトを抱擁した。

(ユーマ)

 急速に脱力していくマコトの肉体が、今享受出来る快楽を貪欲に味わった。安心して身を任せられるひとだから、こうして素直に快楽を貪ってもいい。

 ピクピクと痙攣しながら静止したマコトに、ユーマは努めて穏やかに声を掛けた。

「落ち着いて。いい? ゆっくり深呼吸するんだ」

 声を掛けながら、ユーマは性具のスイッチを切った。それもあってか、言葉を反芻するかのような時間を置いて、マコトは小さく法則性のある呼吸を開始する。

 次第に深く吸い込まれる空気の音を聞いて、ユーマは「ボクに倒れ込んでいいから、ちょっと横になろうか」と持ち掛けた。随分と稚い「うん」という返事と共に、ユーマは顔面に少しごわついた髪の束を受け止めた。

「うぶ」

 むずがるようにユーマが顔を動かすと、マコトが横に転がってきた。伴って思わず寝返りをうとうとして、ユーマの首が少し絞まる。多少苦しくはあるが、マコトの様子は伺えそうだ。

「……ユーマ?」

 嘔吐感を伴うような窒息間際の口淫と、先程急速に高めた性感で、マコトの瞳はぼんやりと涙に烟っている。状況を把握し切れず、しかし何か不味い事をしてしまったのではないかと理解はできる。そんな思考がそのまま出力されているようで、マコトの表情はぼんやりしつつも若干曇っていた。

 それがどうにも、ユーマには叱られた子供のように見えてしまった。言いたいことは色々あった筈なのだが。絞り出すような声ではあったがユーマが「少し休憩しようか」と笑い掛けられたのは、一重にマコトに対して向けられた愛と、安堵からなるものだった。

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続き

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