22世代ダービー馬✖️オークス馬

22世代ダービー馬✖️オークス馬

自己満



「し、失礼しまーす…」

 明らかにラブホテルを利用したことがなさそうな入り方だ。たしか…ドウデュース、だったか。

「えっと、二名で」

 ちょいちょい、とパネルの方を指さすと、顔を真っ赤にしていそいそと動いた。まったく、青二才が微笑ましい。

「…え、えっと、じゃあ、ここで。……おーい、スターズちゃん。部屋取れたよ」

「ちゃん付けして呼ばないでって言ったでしょ!……あっ、」

 扉の奥からそっと出てきた女性。おお、相手は誰かと思えばオークス馬。確かこの前の有馬の一着二着。お似合いといえばお似合いだ。

「い、行くわよっ…」

「わ、わかったから引っ張るなっ。せっかくの可愛い顔にシワができちゃうよ」


「〜〜〜〜!!」


引っ張られて行った。ノンデリなのか天然であれなのか。いやしかし、彼女の満更でもなさそうな顔に思わずこちらまで頬が緩む。意外な組み合わせを誰かに話したいとも思ったが、流石に守秘義務がある。


ーーー

「ご、ご飯食べないでよ!全く、誘ったのは貴方でしょう…?」

ほのかにひかるピンクの部屋。ピンクは好きではないが、今よりそれは目の前でおにぎりを貪っている相手に愛想がつく。

「体力付けないと。…好きな奴とこういうところ来れたんだし」

ごくんと飲み込み、真剣な目をこちらに向けるドウ。好きな人、と言われて思わず顔が熱をもつ。

「そ、そういうところ!」

「?」

まったく、このナチュラルボーン人たらしが。平気で恥ずかしくなることを言う。

「…そういえばこんな場所、どうやって知ったの?…貴方まさか、誰かと…っ」

「ち、違う違う!…その、イクイから…」

イクイノックスの顔が思い浮かぶ。にこやかに手を振りながら、何処かへ行く。

「…たしかに、あの人地味にプレイボーイだものね」

「そうそう…俺は誓って、お前が初めてだから!」

ぐい、と身を乗り出しその夢が詰まった瞳をまっすぐ向けるドウ。私はやっぱり、この眼に弱いみたいだ。

「……下半身抑えてるの、説得力無いからね」

「…ごめん。ちょっとこっちは正直っぽい」

ドウが女の子好きなのは今に始まった事ではない。下ネタが混じった男子同士の会話なんて今に始まったことでもない。


…でも、その中で私を選んでくれたことも分かる。私の何処がいいのかは分からないけど。


「さ、時間制限があるのでしょう?…は、早くしましょう」

「いや、宿泊で部屋とった」

「そ、そう…なの?」


「スターズとこういうことして、一回じゃ済まなそうだし。…たくさん話したいこともある」

「……も、もういいわ…恥ずかしいからっ」

「好きだよ、スターズ。綺麗だと、ずっと思ってた。ようやく言える」


夢はまだ遠い。だが、捕まえた星を逃すドウデュースでは無かった。

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