>>21 閲覧注意 ”声”
話したい相手に必ず繋がる不思議な電伝虫を拾う話 ただし壊れかけていて時間制限ありルフィ17歳 ウタ19歳(配信前)
「ヨホホホホ!!ヨホホホホ!!」
サニー号が停泊している横の海岸でブルックは海上を駆け抜ける芸を見せ、それを見てルフィは手を叩いて楽しそうに笑っていた
「あはは!!もっと見せてくれ!!」
「ヨホホ……ホホホーッ!?」
なんとブルックの足が海上の浮遊物にぶつかり転んでしまったのだ
幸い砂浜方面に向かって走っていたため地面に到着することができたため大事にはならなかった
「うわー!!ブルック大丈夫か!?」
「はい平気です」
目や口の穴から砂をこぼしながら彼は起き上がった
その普通の声色からハプニングに驚いていないであろうことがよく分かる
さすがは年長者だと言えるだろう
「そっか それで何につまづいたんだ?」
「これみたいですね…」
ブルックは足元にあった電伝虫のようなものを拾ってルフィの前に向けた
どうやら足に引っかかり、蹴ったことで一緒に砂浜に打ち上がったのだろう
「…これは…!!」
「なんだ?珍しいものなのか?」
「はい この電伝虫は話したい人と話せる特別な電伝虫なんです…ルフィさん使いますか?」
ルフィは黒い電伝虫を受け取って誰と話そうか考えていた
「____そうだ!!あいつに決めた!!」
何処か嬉しそうなルフィはその人物を思い浮かべて電伝虫のダイヤルを回した
プルプルプル……
「あいつ歌が好きだからブルックとすぐ仲良くなれると思うぞ!!」
「それは楽しみです!……が、おふたりだけで話したいこともあるでしょう…わたしはこれにて失礼します」
紳士なブルックは帽子を外して一礼をしてサニー号へと戻った
……ガチャ
「よォウタ!!久しぶりだな!!」
「………………ルフィ……?」
黒い電伝虫からは女性の声が流れた
突然の事で困惑しているからか…その声には生気が無かった
「そうだぞ!!久しぶりだなァ〜もうとっくに歌手に____」
「ルフィ!!私を迎えに来て!!ここから!!私!!シャンクスに!!」
「お…おい!!どういうことだよ!!落ち着いて最初から……」
「…フィ……お願……私を助けて…」
____ガチャ
黒い電伝虫は力尽きたのか通話を終了させてしまった
「……」
きっと今頃世界をまたにかける歌手になっているはずだ
赤髪の船長の言葉を信じていた彼はそう思い彼女に電話をかけた
だが返ってきたのは涙でぐちゃぐちゃの声で放たれたSOSだった
「……もう一度話してェ」
目も口も閉じた黒い電伝虫を両手ですくうように手に取って彼はフランキーの元へと向かった
「なァフランキー これ海岸で見つけたんだけど壊れてるみたいでよ!直せるか?」
仲間に要らぬ心配をかけさせたくないからかルフィはいつものような笑顔の仮面をして船大工の前に座っている
「ん〜…無理だな…こいつはもう役目を終えている」
「……そっか!いや〜こうなるんだったら壊れる前に早く誰かと話しとけば良かったな〜!」
ルフィは笑顔の仮面を被り続けて自室へと戻った
「…………ウタ…どこにいるんだよ…」
「……何があったんだよ……」
まだ眠ってもいないのに ハンモックに体を揺られている彼は悪夢を見ていた
END