>>21様より
「おい……ローレル?」
「あー!ブライアンちゃん♪よくここがわかったね」
ニコニコと微笑むローレル。懐かしい笑顔、それはあの事件以降彼女が失ったモノ。
「……」
獣の本能ともいえる直感が警鐘を鳴らす。騙されるな、と。
「犯人はどこだ……?」
ここにはもう一人いるはずだ。ローレルから『日常』を奪い去った筈の犯人が。
「ブライアンちゃんも止めに来たんだ?」
目の前のローレルは相変わらず笑顔のままだ。
対してブライアンは息が荒い。
「残念だったねー。少しだけ遅かったよ」
そういうとローレルは。そばにあったドラム缶を。
(ああ……)
本当はここに来た時から分かっていた。
ーーーー自分の好物にどこか似たこの不快な匂い
「本当はもっともっと苦しませたかったんだけどね。でも邪魔されるわけにはいかないもんね」
ーーーー最愛のトレーナーを奪われたはずの彼女がこんなにも満ち足りた笑みを浮かべている
「よいっ、しょ!」
手で押し倒した。ドラム缶は低い音を響かせて内容物を撒き散らす。
「ねぇブライアンちゃん、ほら見て、真っ黒」
コゲ肉を連想させる様な悪臭。ボロボロの人骨。それを眺めて楽しそうに嗤うローレル。
ローレルは完全に壊れてしまっているのだと。本当はここに来た時からブライアンは分かっていた。