20番目の人鳥

20番目の人鳥

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※グロ・リョナ描写、失禁、流血注意※

※基本的にペンギンが酷い目に逢います。※

※ifローが正史ハートに保護されて1ヶ月くらいのイメージで書きました※

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その日、ローが目を覚ますと見知った鳥籠の中だった。

白一色の部屋の中央に吊り下げられた無数の白い糸で編まれた鳥籠の中で、左手の海楼石の腕輪以外一糸まとわぬ裸のローは緩慢に起き上がった。体の傷の少なさに驚いていたその時、壁の一角が内開きの扉になり、ドフラミンゴがそこから入ってきた。

その肩には人1人ほどの大きさのラッピングされた何かを担いでいる。

「良いタイミングで起きたなァロー。お前にプレゼントを持ってきてやったぞ。」

プレゼント、その響きに無意識に鳥肌が立つ。ドフラミンゴはイトイトの糸でスルスルと『プレゼント』と呼ばれたものをローの手の届く高さに持ち上げ、天井から吊り下げた。

「ッ…!?」

嫌に可愛らしく白い毛皮とオレンジのリボンでラッピングされたその包みは、微かに動いているように見えた。ローは鳥籠の隙間から手を伸ばし、祈るような思いでやっと手が届いた包みの紐を解く。

しかし、その祈りは踏みにじられた。

「ペン……ギン……!?なんで……!?」

「ムグ……!ムグ!!!」

「あぁ、悪かったなァ。そのままじゃあ喋れねぇか。」

ドフラミンゴはニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながらペンギンの口に巻き付けた糸を解いた。

「ッキャプテン……ずみません…。おれだけしくじっちまった……。」

片方があさっての方向を向いた両足首を一纏めに、両腕を胴体に括り付けられたまま裸で逆さ吊りにされたペンギンが、ローの眼前に掲げられた。頭に血が上っているのか、はくはくと開かれる口から覗く舌の端には強く噛んだような小さな切り傷が残されていた。晒された首筋にも、微かな傷が見えた。

「本当は2つ用意出来たんだが、コイツが1つ壊しやがってなァ……。」

まさに玩具が壊れたことを残念がる子どものような顔で、ドフラミンゴはペンギンの側まで浮上した。

ローが言葉を失っていると、

「ロー、お前の大事な大事なクルーはなァ……残りあとコイツ1人だ。」

悪意の塊はニカリと口を開けてそう言い放った。

「う……そだ……。あいつらは……」

「ゾウに隠した、か?」

ローの顔から色が消えた。

(何故、何故バレている!?)

「可哀想な雑魚共に何があったか……ペンギンだったか?コイツのに免じて特別に見せてやるよ。」

ドフラミンゴはローの眼前に何かを投げて寄こした。

「映像電伝虫……」

震える手で再生するローを、いつの間にか部屋中に張り巡らされていた糸に腰掛けたドフラミンゴは笑顔で眺めた。

「キャプテnグッ!!」

「おっと……お前は黙って仕込まれておけ。変な気を起こすなよ?お前の大好きなキャプテンの命は俺の手の中だ。わかるよな?」

そう言い放つとドフラミンゴはペンギンの首にかけた細い糸を緩めた。


映像には、数日前のゾウの惨状が映し出された。

クルーたちが次々と捕らえられ、1人ずつカメラの前で殺されていく。

「キャプテン、愛してまs!!」

「貴方の部下で居られて幸せでした!」

1人1人が遺言を残しきれないうちに、首を切り飛ばされていった。

「ぁ……ああぁああぁあ!!!」

ローの心身が悲鳴を上げた。どれだけ手を伸ばしても、映像の中の彼らには何も届かない。

「……」

ペンギンが青い顔でドフラミンゴを睨みつけるが、ドフラミンゴは意に介さない。

映像が切り替わり、城内の倉庫が映し出されていた。

白い壁だけが映されていた画面に、ドサリと音を立てて2人の男が投げ込まれ、遠くでドアが閉まる音がした。

窓から差し込む光が2人が入る檻に反射している。

「シャチ……生きてるか。」

「おう相棒、なんとかね。」

シャチが返事とともに持ち上げた腕は、ゾウでドフラミンゴの超過鞭糸をまともに受け止め、真っ黒に焼け爛れていた。

そして、ここに連れ込まれた時点で、2人の決意は固まっていた。

「なぁ、ペンギン、両手は動く?」

ペンギンが無言で頷く。

「……今のうちに、あいつが戻ってくる前に一緒に逝かない?」

「……乗った。俺達が生きてたら何に使われるか考えたくもない。」

シャチが身動ぎする音がやけに響く。

「言い出しといてごめん……俺両腕潰しちゃってて自力で死ねない……俺の事殺して?」

「…………俺もすぐに追いかけるからな。」

そう言いながらペンギンはシャチを寝かせ、折れた片足を庇いながらシャチに馬乗りになって、頸動脈の位置を探った。

「シャチ……ごめん。」

ペンギンの涙がシャチに向けて零れていく。

「俺こそ……ペンギン……ありがとう。」

泣きながら微笑むシャチのその言葉を合図に、ペンギンの手にぐっと力が籠った。

「ッ……お゛ゴッ……ゲゴッ……ギッ……」

「シャチ……シャチ……!」

ぱたぱたと動いていたシャチの足が次第に動かなくなり、やがて失禁し10分ほどかけて完全に全ての動きが止まった。

「シャチ……ごめん…直ぐそっちに逝くから……これ借りるな?」

ペンギンはシャチのサングラスを外すとレンズを割って、大きめの破片を頸動脈の方へ刺そうとした。

しかしその時、倉庫のドアが開き、光が差し込んだ。

映像電伝虫はそこで止まっている。



パチパチパチ……

静まり返った部屋にドフラミンゴの空々しい拍手が響いた。

「そういう訳なんだロー。コイツはテメェの仲間を手にかけ、後追いも出来なかった薄情者だ。」

ドフラミンゴは挑発するように言い放ち、ペンギンの四肢に等間隔でイトイトの糸を巻き付け始めた。

「ペンギン!!……ドフラミンゴテメェ何しやがる気だやめろ!!!」

ペンギンはローの手の届かない距離に吊り直された。ギリギリと両手足をまるで全身に等間隔で採血帯を巻かれたような状態に縛り上げられ、折れた足の向きも無理やり直されて空中に大の字で寝かせるように固定された。

「さぁて、プレゼントの″仕込み″もいい頃合いだ。お前解剖好きだったよなぁロー?」

楽しんでくれよ?と一言発すると同時に、ドフラミンゴは懐から白銀のナイフを取り出した。

「ッ……ロー見るな!目を瞑れ!!」

咄嗟にこの後の惨状を察したペンギンが叫んだ直後に、ペンギンの右足の裏に一筋切れ込みが走った。

「ヒッ!!!」

ペンギンの喉から一瞬だけ引き攣った声が漏れる。ドフラミンゴの持つナイフは足の裏の切込みから肉を剥ぎ取るように切り分けはじめた。

「へ……ぁ!?…やめろ……やめろやめろやめろやめろォォォ!!!」

ローは震え、喉が張り裂ける程に叫んだ。

半狂乱になりながら、力任せに海楼石の腕輪を鳥かごに叩きつけたが、上手く力も入らず外れる訳もなかった。

「……ッ……平気だ、いだッくないから……!なにもこわくない……大丈夫ッ……」

肢体を切り刻まれながら、ペンギンはそう言って微笑んで見せた。

その間にもナイフはゆっくりと動き、足の親指から小指までを1本ずつ取り外していった。

「やめろ……ぁあああ!!ペンギン!!!嫌だ!!!罰なら俺が受ける!!!だからもうやめてくれ!!!」

届かない手を伸ばしながらローが泣き叫ぶ声は、ドフラミンゴにこの上ない悦楽をもたらした。

「俺なら大丈夫だから…ぐッ!…だから目を閉じて、ロー、いい子だから……。っあッ゛」

ぱりぱりと骨が外れる音が響き、足先から徐々にペンギンが壊れていった。右のふくらはぎにナイフが入り、足の甲の骨が散らばる床に血が流れていく。

「……ドフラミンゴ…ドフィ……」

「なんだァロー?」

「お願い……お願いします……もう、やめてください……何でも、するから……ペンギンをころさないで……」

ローが土下座の姿勢で泣きながら懇願する姿は、ドフラミンゴに確かな満足と愉悦をもたらした。

「殊勝な心がけだが……そうかそんなにコイツが大切かァ……」

悪意の塊はニヤリと鎌首を擡げ、ペンギンの首に繋がる絹のように細い糸をローに差し出した。

「この糸を少し引けば簡単に首を落としてやれる。ロー、お前がコイツを楽にしてやれ。」

「ぁ……あ……」

ローの目が絶望に堕ちる刹那、

ぶち……ぶつっ……ゴリッ……!

「……あ゛?」

ドフラミンゴにすら予想出来なかった、嫌な音が響いた。

「ヴ……えほっ……」

ニヤリと笑ったペンギンの口から、齧り取られた舌が溢れて白い床に落ちた。

「ペン……ぅ…ああぁああ!?」

通常、舌を切った程度ではすぐに死ねないことはペンギンも承知の上であった。しかし、両脚と共に失った血の量と、上半身に血流が滞っていた事が合わさり失血が早まっていた。

苦い顔をするドフラミンゴをチラと視界に収め、ペンギンはローに向かって

『 あ   い   ぃ   え   ぁ   ぅ』

と口の動きだけで伝えようとすると、そのまま口から血を吐き事切れてしまった。

「ぁ……ぁあ……」

ローの視界がじわじわと暗くなっていく……。



「ッうわああああああぁ!!!!」

目を覚ますと、ローは船長室のベッドの中にいた。飛び起きてそのままベッドから転がり落ち、這うようにドアを開けるとそこには

「ッキャプテン!?どうしたんですか!?!?」

畳んだ洗濯物を船長室に持ってきていたペンギンが立っていた。

「ペンギン!?ペンギンっ……生きて……足……」

息も絶え絶えのローを見て、また悪夢を見たと察したペンギンは船長室に入り、ドアを閉めてローの両手を包むように握った。

「キャプテン、ゆっくり息してください。」

ローの顔を肩に埋めさせ、ゆっくりと深呼吸を促す。ポツリ、ポツリと夢の話をローから聞き出すうちに、ペンギンは思わず自分の舌がきちんとついているか確認してしまった。

「すまねぇ……取り乱した……。」

そう言って離れるローに洗濯したてのタオルを手渡した時、ペンギンはハッとして叫んだ。

「キャプテン、それ夢で見たってことはローさんが!!!」

おれ様子見てきます!と走り出そうとするペンギンを捕まえて、ローは自身諸共もう1人の自分の病室へシャンブルズで移動することになった。

この後自傷したもう1人のローを治療することになるのだが、それはまた別の話。


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