2008年天秋一着✖️二着
ウ才ッカ✖️ダイワス力ーレッ卜「部屋一つ」
「ほいよ」
鍵を投げ渡した相手は、ダービー馬。……とはいえ、女だ。
初めての来店だ。相手がいたんだな、とぼんやりと考える。ここでこんな店をやっているとウマたちのあれこれ事情がよくわかってしまう。
「は、早く行くわよっ!」
「ま、待てって、スカーレット…」
ツンケンとした態度をとりながら客を引きずって向こうへ行った。あれはたしか…ダイワスカーレット、だったか。同じく女で有馬を撮ったやばいやつだ。
それにしてもいつも火花を散らしている二人がまさかこんな仲だったとは。
世の中は広いものだ。
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(…ったく)
いくら勝負に負けたからって、まさかこんな自分とは無縁の場所に来るとは思わなかった。
スカーレットに「ラブホへ行きましょう」と言われた時は、気でも狂ったのかと思った。しかし顔を赤らめた様子に流石に笑えなくなり、なすがままに着いてきた。
正直に言うと、嫌ではない。それどころか、ずっと慕っていたものの相手はどう考えても自分のことが嫌いだと思っていたので、実は好意的に思われていたことを嬉しく思っている。
「…あ、あがったわよ、ウオッカ」
「…おう。じゃ、じゃあ…ヤるか」
入る前に、小声で「あなたが私を抱くの」と言われた。その言葉の破壊力たるや。かわいくないやつ、と思っていたのにグラグラと理性が破壊されそうになった。
「逃げんなよ」
「逃げないわよ」
あの天皇賞秋のように、いつか絶対お前の身も心も捉えてみせる。