2年後へ向けて その3

2年後へ向けて その3

8歳差ルウタたまらんマン

白ひげの埋葬を終え、レッド・フォース号は海に出ていた


「…………」


ルフィは、海上をぼんやりと眺めていた


「ルフィのやつ、最近はずっとああだな」


「頭では理解してても、2人が無事か心配なんだろう」


「………ルフィ」


皆がルフィを心配する中、ヤソップが血相を変えて飛び込んできた


「お頭ァ!! とんでもねぇことになってんぞォ!!」


「ヤソップ? どうした」


「と、とにかくこれを見てくれよ!!」


ヤソップは手に持っていた新聞紙を広げた


「……! おいルフィ!! こっちに来い!!」


「なんだよ… 大したことでもないんだろ…」


「大したことだよ! ウタとエースだ!!」


「!!!」ビュン!


剃を使って即座に新聞を見る


「うおっ!」


「こ… これって…!?」


新聞の一面はこうだった…


『生きていた“火拳のエース”と“麦わらのウタ” マリンフォードで新時代への16点鐘』


戦争後消息不明であった “火拳” ポートガス・D・エース と “麦わら” ウタ 


2人が再び海軍本部マリンフォードへ現れた。


元「王下七武海」 “海侠”のジンベエ


ロジャー海賊団 元副船長 “冥王”シルバーズ・レイリー


この2人を引き連れ、復興途中であったマリンフォードに乗り込んだ。


警備が手薄になっていた状況を見てか、突如4人が現れ軍艦を奪いその船でマリンフォードを1周、この海における“水葬の礼”をまず行った。


その後、エースとウタは大胆にも2人で広場へと踏み込み、エースが広場にある“オックス・ベル”を「16点鐘」した


さらに、広場に残る戦争の大きな傷跡の中にウタが花束を投げ込み、2人で黙祷を捧げた


白ひげへの、この戦争で命を落とした全ての者への追悼であろうか


新聞には、黙祷を捧げる2人の写真が一面に載っていた…


「ウタのやつ… 何やってんだ…?」


「エースもウタも…! 生きてたんだな…! 良かった…! ほんとに良かった…!」ウルウル…


「海侠に… 冥王…? あいつすげぇことしてんな…」


「…? なぁルフィ、あいつ左腕にタトゥーなんか入れてたのか?」


写真に映るウタの左腕には、「3D2Y」と書かれていた… 3Dにバツ印が引かれているが…


「3D… 2Y…?」


「なにか意味があるのか…? レイリーさんが付いてるんだし、無意味な行動ではないと思うが…?」


「……!」


『みんな!! 3日後にサニー号で!!』


「そうか… そういうことだなウタ…!」


「…? わかったのかルフィ?」


「へへっ… これはウタからおれたちへの… メッセージだ!」


「メッセージ…?」


―――


「ごめんねエース… 白ひげさんへの追悼をこんな事に巻き込んじゃって…」


「いいってことさ お前の役に立てたなら、オヤジも許してくれるさ どんな形にせよ、オヤジには追悼を捧げなきゃなんなかった お前と一緒に出来て良かったよ…」


「エース… ありがとう… あとは、皆にちゃんと届くかだね…」


「記事を見れば伝わるハズだ… キミらしくない行動こそが鍵 1人… 鈍そうなのがいたな… まぁ何とか伝わるだろう…」


「キミ達ならちゃんと伝わる… そんな気がする…」


―――


「さて… キミの修行だが… 覇気の基本はできているようだな…」


「うん! 昔ルフィに教わったからね! まだそんなに使いこなせてないけど…」


「はっはっは! なら、基礎から徹底的にやり直しだな!」


「…… なぁ、レイリー…… さん」


「ん? どうしたエース君」


エースが土下座をして頼み込む


「ウタと一緒に… おれも鍛えてくれ!」


「エース!?」


「おれは… ティーチのやつに負けた… オヤジも死んじまって… 家族も傷付けられた… もう2度と家族をあんな目に合わせねぇためにも…! おれはもっと強くなりてぇ!」


「エース君…」


「頼む…! 兄貴もウタも守ってやれるくらいに…! 強くなりてぇんだ…!」


「………」


『おれは死なねぇぜ……? 相棒……』


「ロジャーの意志は… まだここにもあるか…」ボソッ


「え…?」


「エース君、男がそう安々と頭を下げるんじゃない」


「レイリーさん…?」


「わかった…! キミ達2人まとめて面倒を見てやろう…!」


「…! いいのか…!?」


「1人2人も変わらんさ! それに…」


「「?」」


「新しい時代に賭けてみるのも… 悪くないかもしれん…!」


――――


“凪の海” 無人島 ルスカイナ


「さて 鍛えるとなれば私は甘くないぞ エース、ウタ!!」


「「望むところだ!!」」


「あっ、ちょっと待ってて!」


「「?」」


「―――海賊“麦わらのウタ”は……… ちょっと休業だね……」


「ここだけは安全だって レイリーさん言ってたね… そうだ これも」


麦わら帽子とビブルカードを置いていき、ウタは歩き出す


(待っててね、シャンクス、ルフィ、みんな! 誰にも負けないくらいに… みんなをちゃんと守れるくらいに… 強くなってみせるから!)


―――

「………」


『くぐり抜けてきた死線の数が違う!!』


「…よし! なぁシャンクス! 白ひげ海賊団のみんなはまだ島にいるかなぁ!」


「え? あぁ… まだいると思うが…」


「スネイク! あの島って今どこら辺の方角にあるんだ!?」


「はァ? まぁ大体… 北西の方か…?」


「あっちだな…! シャンクス!!みんな!!世話になった!! またどこかで会おう!! “月歩”!!」


「あっ! おいルフィ!!」


「あいつ… 行っちまいやがった…」


「どうするつもりだルフィ…?」


―――

“新世界”のとある島…


「マルコ隊長! 空から誰か来ます!」


「!? 海軍の追手か!?」


「いや… あれは…!」


―――


「おーい! マルコー!!」


―――


「よっと!」


「ルフィ!? なんで戻ってきてるんだよい!?」


「へへっ… 久しぶりだな!」


「そんなに日も経ってねぇよい! なんだってんだ…」


「………みんな、黒ひげのとこに行くんだろ?」


「!! どうしてそれを…!」


「見聞色でこっそり聞いちまってな…!  白ひげのおっさんへの恩もあるし…!」


「だからってお前…!」


「おれも連れてってくれ…!

 “落とし前戦争”に…!」


(強敵と戦って… もっと死線をくぐり抜ければ… 今より強くなれんだろ…!)


(待ってろウタ…! おれはまだまだ強くなる…!)


2 年 後 に ! ! !


シ ャ ボ ン デ ィ 諸 島 で ! ! !


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