2人の馴れ初めと愛娘

2人の馴れ初めと愛娘

通りすがりのSS大好きおじさん


「そう言えばさ、お母さんとカイドウの出会いってどんなものだったの?」

ヤマトはふとした疑問を口にする、ヤマトに髪を弄られていたジャックも気になるのか態度には出ないが耳を傾けて聞いている。

「カイドウの奴に聞いても『お前が知る事じゃねえ』の一点張りでさ、何も教えてくれないんだ」

「フフ、そうねぇ、あの人自分の過去の事は一切教えてくれないのよねぇ…私も全てを知ってるわけじゃないですし…わかりました、では私とあの人の出会いを、教えましょうか、少し、長くなりますね?」

──回想

そうですねぇ…私とあの人のの出会いは、決して世間で見るなら決して良くないものだったと思います、当時私はとある海賊船に乗せられていたのですが、後から聞けばあれ捕まってたんですよねぇ…この髪と角は外海ではとても珍しいらしく、見せ物小屋に入れられるんだとかなんとか、まぁその時にカイドウさんが乗った船と激突し当人達曰く“戦利品”として私は百獣海賊団に引き取られました──。

「──ん?おい、お前生きてる方か?蟻みてえに小せえが──あぁ、その髪色と角が原因か、角有りの人間は珍しいらしいからな、商品として乗せられてたのか」

大男、改めカイドウは今しがた滅ぼした海賊団の積荷を回収していた、船長自ら回収するものではないのだが、未だ百獣海賊団は人数が少ない、故に船長の自分も働かなければならない(最も長かった見習い時代の慣習が抜けてないだけとも言えるが…)そこで見つけたのは財宝ではなく(自分から見て)かなり小柄の女、白く、先に行くにつれ虹色の髪の毛、そして自分と形は違うが額から生えた角、成程確かに見せ物小屋に商品として出すのは納得が行く、最も己達が回収する為意味はなさないのだが…

「取り敢えずお前はうちの船に乗ってもらう、ここで死にたきゃ勝手に飛び降りろ、いいk──「貴方はとても大きいですねぇ」は?」

「あ、不快でしたら申し訳ありません、でも私、貴方のように大きなお方を見るのは初めてだったので…あっ!貴方角が生えてますね!ほら!私にも生えてるんですよ!お揃いですね!あ、でも貴方の方が強そうで立派な角です!それに──「取り敢えず黙れ」はい」シュン

こうして女は“戦利品”として百獣海賊団に積み込まれた。その道すがらも女はカイドウに話しかけていた。

「貴方とてもお強いのですねぇ、その立派な金棒、とても重そうなのに軽快に振り回していらっしゃいました、凄いです!」

尚も話しかける女に堪らずカイドウは言ってしまった

──お前は、俺が怖くねえのか──、

すると女は不思議そうに首を傾ける、何を当然な事を言うのかと言わんばかりだ

「何故?私が貴方のどこを恐れるのでしょう、ああ!その外見のことでしょうか?強くて漢らしく、素晴らしいと思う事はありましてもそれを恐怖に結びつける事はしませんよ、私は外見だけで判断する事はないのです。私は人を判断する時はちゃんと内面を見て判断いたしますので」

「…ならなんであの船に乗ってたんだ、あいつらの内面は良いものだったか?」

「うぅ…それを言われると弱りますね…まぁ、乗ってたと言うか乗せられたというか…うぅん…「騙されたか拐われたんだろ、よくある事だ」違います!私は騙されてません!えぇ、決して騙されてませんとも…決してこの船に乗れば美味しいご飯や綺麗なものがあると言う誘い文句に乗ったわけでは…「騙されてんじゃねえか!」ちーがーいーまーすー!私は騙されてなんかいません!「騙された奴はみんなそう言うんだよ!」そ、そんな…!貴方!よく世界をお知りなのですね!凄いです!」キラー

「…もうそれでいい」

結局俺が先に折れた。我が強い女には昔の関係上弱いのだ、“アレ”とは何か違うとは思うのだが。長引くと延々と繰り返しそうなので早足で船に向かった。途中で優秀な右腕と左腕から何事と問いただされたが詳しく言うのは面倒だったので“拾った”とだけ返しておいた。そういや“ジャック”の席が空いてから結構経つな…新しい奴を埋め込んどかねえと…だが他の奴らは2人に比べると弱すぎる、とても“ジャック”の席を任せられねぇ…船員も補充しねえとな…。

「行っちまった、カイドウさんが直々に人間を拾うなんざ過去にあったか?」

「テメェの頭は飾りか?過去を振り返ってもそんな事は旗揚げ以降一度もなかった」

「一言多いわボケ!取り敢えずここに置いて行ったっつうことは、世話は任せるって事なんだろうが…」

「カイドウさんが直々に拾ってきたんだ、丁重に扱わねえといけねえ、取り敢えずこの女を船室に」

「あなた方もとても大きいのですね!」「「は?」」

「それにあの緒方、カイドウさん?と言うお名前なのですか!とても素晴らしいお名前です、羨ましいですね!「おい、お前一体何を」あなた方のお名前も教えてくださると大変嬉しいのですが!「待て待て待て!なんでそうなる!なんで出会って1日2日どころか数分のお前に俺達のことを教えねぇといけねえんだ!お前今の身の状況わかってんのか⁉︎」存じております!「そうか、頭の良い女は嫌いじゃねえ」みなさまのお世話係ですよね⁉︎「違うわ⁉︎やっぱ理解してねえだろお前!おいキング!テメェ俺だけに負担かけさせんじゃねえよ!」キングさん!其方の黒く炎を出してる方はキングさんと仰るのですね!「おい!クイーンの馬鹿野郎!何故喋りやがった!お陰でこの女に俺のことがバレたじゃねえか!」其方の方はクイーンさんと仰られるのですか!大変可愛らしいお名前です!それにそのお体、とてもプニプニしてて柔らかそうです!触ってみて良いですか⁉︎「ムハハ俺様のこの魅惑なボディーに気づくとは、だが残念俺のこの体は丸く見えるが筋肉なのだ!歌って踊れるタイプなのさ!…って違う!危うくこの女のペースに乗せられるとこだったぜ…おいキング、気をつけろこの女、小せえが中々出来るタイプだぜ…この俺をテメェのペースに乗せるとは!」「気をつけた方がいいのはテメェの頭だマヌケ野郎」キングさんのそのお背中から生えてるのは翼でしょうか⁉︎触ってみてもよろしいですか⁉︎いえ、触らせて頂きます!とてもフサフサしてそうで…「おい待て触るな!怖いもの知らずにも程があるだろうが!」「ムハハ‼︎お前も、すっかりその女のペースだな!冷静に対応すれば女の1人や2人の対応くらいどうってことも…」わー、とてもプニプニしてて柔らかいです!これも全て筋肉なのですね!「何勝手に触っとんじゃアホンダラ!まだ許可出してねえよ!」あっすみません、もう触りました」

「「自由か‼︎」」

「はい!これからよろしくお願い致します!キングさん!クイーンさん!」ニコー

──と、ここまでが私とカイドウさん、キングさんとクイーンさんの初対面となります。おや、どうしました2人とも?え?情報が多すぎて渋滞を起こしてるから少し待ってほしい?そうですねぇ、少し休憩致しましょうか」

〜〜〜数分後〜〜〜

「落ち着きましたか?では続きを話しますね」

──回想

私がこの船乗った当初は皆様から警戒されてました、特にキングさんとクイーンの警戒は深く、気を許してくれませんでした。まぁこれはカイドウさん含め皆様方がそうだったのですけどね。ただ私も相当根気が強いので折れずに皆様方に接して行ったのです──。

「お前には取り敢えず船の雑用をやってもらう、掃除や食事、洗濯なんかをやってもらう、文句があったり逃げ出そうとするなら殺すんで、覚悟はしておけ」

「はい!誠心誠意励ませていただきます!逃げたり文句は言いません!とてもやりがいがありそう!」

「…そうか、お前のそのやる気に免じて野郎共のソッチの世話はしなくていい、「ソッチとは?」…てめえが知る必要はねえことだ」

「…?えぇわかりました、では早速掃除の方から始めさせてもらいます!」タタタ

「…仕事の割り振り間違えたか?」

【百獣海賊団の船─甲板】

「と言うことですので、掃除と洗濯を請け負いました!よろしくお願いします!細かいところの指示をお願いしますね!キングさん!クイーンさん!」

「「ふざけんな!なんで俺がそんなことを!」」

「私はこの船をのことをよく知りません、そこで御二方ならこの船の事をご存知でしょう、触っていいものと良くないもの、それらの区別すら私にはつきません、よろしいのですか‼︎私が下手に触ったせいでこの船が大惨事になっても‼︎」

最もだ、確かにこの船には素人が触っちゃ良くねえものが結構ある、業腹だが認めるしかあるまい。

「分かった、船の案内をするがウチは兵器やら薬品やらが結構ある、その辺はクイーンに聞け」

「はい!よろしくお願いしますね!」

「うおぉい!何勝手に引き受けてんだ!テメェ!俺はまだ─(いいか聞け、あの女の言う事は最もだいい加減野郎どもの半端で雑な掃除にはうんざりしてたところだ、洗濯もろくに出さねえんで衛生面にも問題がある、ちゃんと整理整頓させた方がいい)むう、一理ある、あの馬鹿どもの代わりにやるってんならそれに越した事はねえが…“それに文句や逃げ出すんなら殺していいとカイドウさんが言ってる、その時はその時だ)成程、そう言う事なら…“次いでにこいつに性処理の類はさせるなとのことだ、やる気はあるらしいからな、それで免じたらしい)アー、分かった、OK いよぉ〜し!この俺達がこの船を案内してやろう!」

「はい!よろしくお願いしますね!」

「先ずは食堂だ、ここで飯を取る、馬鹿どもは皿洗いなんざしねえから溜まる一方だ、水は、そこのクイーンが海水を汲んで真水にすら濾過装置を備えたからまぁ気にせず使っていい。飯は基本3食だが…まぁいつでも出せるようにはしておけ。次は武器保管室だ、ここに銃やら剣やら、大砲やらを置いてるんだが、その辺の整備はお前はやらなくていい野郎どもの仕事だ、お前のここでの仕事は汚れの拭き取りぐらいだな、間違っても武器類には触るな、不作動なんざされちゃウチがこまる、その隣は兵器室だが…俺の管轄でもあるんで立ち入り禁止だ。ここは──「ムハハ!ここは医務室兼俺の研究所だ!ここの整備は必要ないぜぇ!何せここでは昼夜問わず新しい物の開発がされてるからなぁ、清潔にしておかねえとやべえのさ!そして当然のことながらここは俺の部屋なのでお前は立ち入り禁止だ!触ったり嗅いだりするだけでぶっ倒れちまう薬品が山程あるのさ!命惜しけりゃここには近づかないことをお勧めするゼェ!」だそうだ、分かったな。「クイーンさんは研究者でもあられるのですね!やはり人は見た目によらない物…素晴らしいです!」「おうおう!もっと褒めろ!俺は歌って踊れるタイプだが兵器開発面でも天才なのさ!そこの燃えるしか能のねぇキングのカスとは違うのさ!ムハハハハ!」クイーンの馬鹿の戯言はほっとけ、次は甲板だここが一番広いからな、甲板では拭き掃除をしてもらう、散らかってる大小関わらず“ゴミ”は纏めて俺に出せ、全て燃やす。あとは船室の掃除くらいだ、分かったか」

「はい!バッチリです!腕がなりますね!」

そうして彼女はこの船での雑用を見事にこなし始めた、意外にも性事に付き合わせるような輩はいなかった、それはカイドウや最高幹部2人に恐れずに物を言う彼女を恐れた為である。そして月日は流れた

「皆様!お待たせ致しました!お夕飯の時間ですよぉ!」ウオオオオ‼︎マッテマシタ!!ハラヘッター!!

「…馴染みすぎてねえかあいつ、逃げ出す事は愚か文句の一つ言わねえとは…」

「ムハハ!中々根性ある女だな!俺は好きだぜ!ああ言う奴は!仕事はこなすし飯もうめぇ、さらには愛嬌たっぷりときた、野郎共が陥落するのは時間の問題だったわけだな」

「あ!キングさん!クイーンさんも!そこで見てないでこちらにどうぞ!ご飯は出来立てが美味しいんですよ!2人用に多く盛り付けておきましたから!ほら!召し上がってください!」イイナーフタリトモ、オレモビジョニジブンセンヨウニモリツケテホシイゼ

2人は食事を受け取り食堂を後にする、どうやら私室で食すらしい、そこに…バン‼︎

「おい、腹が減った、飯にしろ」

この船の船長、カイドウが入ってきたのだ、周りの連中は途端に静かになる、カイドウの逆鱗に触れたくないが為だ、だがそんなことを気にしない人間が1人。

「あ!カイドウさん!すぐにお持ちいたしますね!今回も自信作なんです!楽しみにしておいてくださいね!」

「俺は酒に合えばなんでもいいが、「もう!またそうやって、ちゃんとご飯も食べないとダメですよ!お酒ばかりじゃダメなんです!良いですか、栄養バランスというのはですね─」分かったから早く寄え腹が減ってんだこっちは「む、わかりました、ではお部屋にお待ち致しますので準備の方お願いしますね」早くしろ、お前ごと担いでいくぞ」ヒョイ

「わぁ!溢れる所だったじゃないですか!全く…あ!皆様方!ご飯のおかわりはご自由にどうぞ!食べ終わった方は御自由にご退室くださいませ!後片付けは私がしておきますので!それでは!」バタン‼︎

「どう思う?、やっぱ総督とあの人って…」

「馬鹿!それは野暮ってもんだぜ!こう言うのは口に出さず心の中で留めとくのが良いんじゃねえか!」

「全くだ、カイドウ様の相手をした後じゃお疲れだろう、俺たち各自で片付けとこうぜ」

「おうおう今日も飯がうめえぜ‼︎」ギャハハハ

【百獣海賊団─カイドウの部屋】

「お口を開けなさいませ、食べさせますので。お酒が必要なら私が注ぎますから、どうぞお寛ぎに…「テメェは…」はい?「いや、お前はよく働いてやがるなと、そう思った、だがまともな感性を持ってたらここに身を置こうとは思わねえ、それに箱入りと思いきやすぐに仕事は見事に小出しやがるし、飯もあいつらに人気だ、なんなんだ、お前は、名前もまだしらねぇしな」あぁその事ですか、昔得た役柄でございますよ、似たような事はずっとやってきたので、もう慣れたのです…名前は…そう言えば名乗ってませんでしたっけ、でも名乗れるような名前はありません。私は親に名前で呼んでもらったことなんてありませんから…「…!そうか、思えばお前の過去を聞いちゃいねえな、酒の肴にはなるか、詳しく聞かせろ」えぇ…私の身の上話なんて面白くはありませんよ?「それでも良い、聞かせろ、」物好きですねぇ…それでは一つ──。

私はとある村で生まれまして、とても厳しい教育の元育ちました。芸事や身の上の世話、そして雑事等々…両親は私を愛していたと思います…表面上は、でも両親は私の中身を見ていなかった。私の表面、人としての価値でしか見ていなかったのです。私の村では“女は男に全てを捧げるべし”と言う風習があったので、男が求めた事を全てこなさなくてはいけませんでした。掃除をしろと言われたら掃除をし、飯を作れと言われたらすぐさまお食事を作らねばなりません。そして色事をしろと言われたら大人しく、無抵抗でいなければなりませんでした。そう言った教育が成されて行くうちに私は私でいなくなって行く感覚に陥りまして…でも両親は私を愛してましたからなんとか踏みとどまったのです。けれどある日…私は一つある失敗をしてしまいました。その時から両親は私に当たりが強くなりまして。失敗をするような不出来品は娘じゃないとまで言われました。その瞬間に私は悟りました、両親は私を愛していなかったと、愛していたのは全てをそつなくこなす“物”としての価値なのだと、そうなったらもう、どうでも良くなりまして…何も知らないように演じれば外に出られるかと思いまして、生憎演芸の類は両親からかなり厳しく仕込まれてましたから、そうしてあなた方が沈めた船に乗りました、まさか船で出て1日2日で船を乗り換えるとは思わなかったですが。

──そして今に至りますね」

どこか壊れてるんじゃねえかとは思ったがまさかこれほどとはな…コイツ“も”親の愛を知らずに育ったクチか…

「演じてたと言ったが今はどうなんだ」

「今、ですか?今の私は間違いなく素の私ですよ、ここにいるのは、楽しいですし、生き甲斐でもあります、「そうか」はい、そうなのです。…お優しいのですね、貴方は「フン、ふざけたこと抜かすんなら早く酒と飯を寄越せ」えぇ、そう言うことにしておきます」

【百獣海賊団─カイドウの部屋の前】

「おいキング、「何も言うな、俺たちは船の見回りのため偶然ここに居た、何も聞いちゃいねえ、それでいい」フン、おめえの意見に賛成することになるとは思わなかったぜ。念のため馬鹿どもを寄せねえようにして正解だったな「珍しく気が利いたな、いつもそうなら助かるんだが」ほっとけ、いちいち小言がうるせえ野郎だ」

「お食事が済んだようなので片付けますね、お酒のおかわりはお持ちいたしますか?「あぁ、ついでにそれに合う肴も頼む」…?あぁ!わかりました、直ぐに、用意いたしますね!」

気づかれた…だろうな、あいつは変なところで勘がいいからな。まぁいい外にいた2人もこれで警戒を解いてくれるか?まぁいいか

──とまぁ一旦ここまでですね、2人とも大丈夫ですか?え?一旦整理するから少し待ってくれ?では飲み物を持ってきますね」

「軽い気持ちで過去の話を聞くんじゃなかった、こんなに重いなんて…」

「兄御達、昔からあんなふうだったのか…」

「お待たせしました。あら、2人ともどうしたの?やけに落ち込んで…え?何にもない?だから続けてくれ?えぇ…?わかりました。では少し時を飛ばして、ヤマト、貴方を身籠った辺りの話をしましょうか──。

これは私が船に乗って数年が経った頃だったかしらいきなりカイドウさんが問いただしてきたのです──。

【百獣海賊団─カイドウの部屋】

「おい、お前なんか変じゃねえか?なんでお前から“声”が“2つ”聞こえんだ?」

最初はその問いに疑問が浮かんだ、私から別の声がもう一つ?そしてすぐさま確信に至った、あの人と私の間に子を成したのだと、私は何という果報者だ、これは伝えなくてはならない。

「えぇとですね、貴方と私の間に子ができたのだと思います、今、私の中に貴方の子がいるのです」

「‼︎おい、そりゃ本当か⁉︎俺とお前の間に、ガキができんのか…そうか…」

「ふふ、貴方も人の子ですね、そんなに優しそうな顔を見たのは初めてです。早速皆様に伝えてきますね」

「俺のガキか…リンリンの餓鬼共も強かった…なら俺の子も強くなるな…ウォロロロロ楽しみじゃねえか、どんな奴に育つか」

【百獣海賊団─船内】

まずは最高幹部2人に報告をしなければ…「お、奥方じゃねえか!無事にカイドウさんと結ばれてよかったぜぇ、あっそうそう子供が欲しいなら俺に相談してくれよな!体外受精やらそう言うのはウチでは一番詳しいからよ!「あ、そのことなんですが」お?いきなり相談か?いいぜいいぜ、ドンドン寄越しな!俺の手に掛かれば直ぐに─「私、カイドウさんとの子を授かりました」そうそう、カイドウさんとの子を授けるなんて余裕だから…は?「えぇ、ですからあの人との子が今私の中にいます」え〜!?できたのぉ!?て言うか奥方いつの間にそんな段階まで!?「えぇ、ですので早めの相談をしておきたく。いつ頃出産致しましょうか…」ううむ、大凡10ヶ月程で生まれるには産まれるが、奥方!お腹が膨らんできたらまずは俺に相談してくれ!これでも医術は噛んでる!アンタの子は絶対無事に出産させる!」

「まぁ、心強い、ではその時にはお願いしますね?」バタン

背後から“おう!”と頼もしい返事を頂いたところで次はキングさんですね。この時間帯ですと整備室でしょうか、そちらに出向けばいらっしゃるでしょうか…

【百獣海賊団─整備室】

「む、奥方か、あまり驚かせないでくれ、アンタの気配は小さいんだ、集中してると読みづらい。「それは申し訳ありませんでした、それと一つキングさんにお伝えしたいことがございまして…」アンタが俺に…?クイーンの鈍間か馬鹿野郎共が何かやらかしたか「いえいえ!そんなことは!皆様ちゃんと励んでおります!その事ではなくてですね…えと、その…身篭りました…カイドウさんとの子です」‼︎それは本当か!おめでたい事だ「はい、ですので出産間際になりましたらどこかの島で船を停めて落ち着きたく…」それはそうだな、わかったその時が近づいたら教えてくれ、念の為野郎共には奥方に刺激が強いようなことはするなと念を指しておくが「ありがとうございます。キングさん、ですがこの報告は“母”になる私の使命です、皆様には私から報告いたします。お手数お掛けして申し訳ありません」いや、アンタがそう言うなら、それでいい」

【百獣海賊団─カイドウの部屋】

「そう言う事ですので、皆様に報告するべき一箇所に集まっていただきたいのです、力を貸して下さい、貴方」

「ウォロロロロ、水臭えな、言われずともそうするつもりだった、ウチのしばらくの問題になりそうだしな、早速集めて知らせるぞ」

【百獣海賊団─甲板】

「おう、お前達!いきなり集められて何事かと思う者も多いだろう!だが、今から話すのは暫くの間ウチに関わる最重要な問題だ!心して聞け!おい、こっからはお前が言え」

「勿論です。皆々様!此度はお集まりいただきありがとうございます!私とカイドウさんが結ばれてから早数ヶ月、色々なことがありました、そして今日、新たなことが判明したのでそのことを説明したく、お集め致しました!」アラタナコト?ナンダソリャ?ワイワイガヤガヤ

「この度!私とカイドウさんとの間に子が産まれます!「「⁉︎」」正確にはまだ身籠ったばかりですが早ければ10ヶ月後には生まれるとのことです!その間皆様にはご迷惑をおかけしますことをここにお詫び申し上げます!」

「そう言うことだ、お前ら、暫くの間は最大限に警戒しながら船を進めろ!」ウオオオオ!

そしてそこから9ヶ月と半月が過ぎ、お腹もかなり膨らんできたので島に立ち寄り万全を期しての出産体制でした。その時の皆様の頼もしさと言ったらもう。

「いいか野郎共!小舟一隻ここを通すな!もし通したら首が飛ぶと思え!」オォ!

「─外の奴らの気合いは十分、あとはいつ産まれるかだが…「ウゥ!お腹が…!なんて力強い子…!」…!おいクイーン!「わからいでかぁ!お前ら!出産準備だ!1秒たりとてぬかるんじゃねぇ!」カイドウさんは…出来る限り傍に…「そうしてえが俺が入ると治療室が狭えだろ、ならここで待つのが一番だ」…分かった、奥方には「あいつにはもう伝えてある、警戒を解くなよキング」分かってる、誰も近づけさせねぇ」

【とある島─緊急治療室】此処は今、一つの戦場と化していた。

「ウアアア!痛い‼︎凄く痛いです‼︎「やべえ!思った以上に奥方の体力の消耗が早い!なんとか耐えてくれ!もう少しで全部出るんだ!もうちょっとだけ耐えてくれ!」ウウゥ!」バン!「おい、何を騒いでやがる…「カ、カイドウさん…」お前は俺の妻なんだろう、だったら問題ねえはずだ、落ち着きやがれ」

「‼︎えぇ…そうですね…!情けないところをお見せしました…!直ぐに済ませます…皆様、もう少しだけお付き合いくださいませ…!」

そして数時間の激闘の後にヤマト、貴方が産まれたのです、

「ハァ…ハァ「おぎゃあ!おぎゃあ!おぎゃあ!」‼︎産まれた…!私たちの子…!姿、姿を見せて下さい…「急いで取り上げて産湯に浸けろ!そして直ぐに奥方にみせるんだ!!奥方、こちらがあなた方のお子様です!」あぁ…なんて可愛い子…女の子かしらね…フフ、本当に可愛らしい子、愛しい我が子…ありがとう…!本当に…!産まれてきてくれてありがとう…‼︎「おい‼︎お前は大丈夫なんだろうな‼︎」えぇ、私は大丈夫です、無事に産まれましたよ、可愛らしい女の子です、ほら「‼︎そうか…‼︎娘ができたのか、こんな俺に…!」フフ、謙遜なさらないでください。ほら抱き上げてやって下さい、私と貴方との子を…「いや、俺が触れると壊しちまうかもしれねえ、」大丈夫ですよ、ほらこの子も貴方に抱き上げて欲しそうにしてます「…少しだけだぞ…お前が俺とコイツの子息か、まだ小せえがツノが生えてるな、ちゃんと血は繋がってるようだ、ちゃんと産まれたのか…よかったぜ…ちゃんと育ててやらねえとな…ほらよ、早めに返しておく、うっかり潰しちまいそうだ」もうよろしいのですか?えぇ、貴方の子です逞しく立派に育つでしょうね間違いなく「それを言うならお前の甘い所も似るんじゃねえのか、教育次第だが」そうだといいですねぇ、…!フフ貴方今すごく良い顔をしてますよ「あぁ?」凄く慈愛に満ちた顔です、そんなに嬉しかったのですね…ふふ、珍しいものを見れました「…馬鹿なこと言ってねえで今は休め、産んだばかりで体力がねえんだ、暫くは此処に停泊する、早めに戻せよ」はいはい、そうしますね、本当に不器用な人ね、嬉しいのなら素直に口にすればいいのに、「あー、うー」あらあらごめんなさい、起こしちゃったわね、直ぐに寝かしつけますからね〜」キャッキャッ

──出産から数日後。

「おぎゃあ‼︎おぎゃあ‼︎「おいクイーン!2人の御子息を泣かせるんじゃねえ!」「うるせえな!てめえも泣かせてたじゃねえか!黒ミイラ野郎!お〜よちよち、泣き止んでくれ〜!」「俺もあいつらも直ぐに泣かせちまう、やっぱりおめえじゃねえとあやすことは無理そうだな」「フフ、皆様はこう言うことには不慣れなのでしょう、普段凛々しく逞しい方々がああやってあたふたしてるところを見るのは新鮮な気持ちです」「…いい性格してるな、お前」「お互い様でしょう、ほら!御二方!それではダメなのです!赤ん坊はこうやってあやすのが一番なのです」キャッキャッ」

「すげえ、一瞬であやしやがった…「流石は奥方だ、クイーンの馬鹿とは違うな」だからオメェの泣かせてただろうが!炎ミイラ!」

「そういえばお二方、御子息のお名前は決まってるんです?」キケヨ‼︎

「「‼︎」」

「決まってなかったみたいっすね、こう言うの早めに決めたほうがいいっすよ」

「うぅむ、俺はこう言うのは苦手だからな、名付け親になんてなると思わねえし…」

「…私に一ついい名前があります“ヤマト”と言うのはどうでしょうか、女の子らしい名前ではないのは分かっています、ですがだからこそなのです、このような時代だからこそ、例え女の子であろうとも大きく立派に、そして優しく健やかに育ってほしいと言う思いから私はこの子を【ヤマト】と名付けました。…どうでしょうか?」

「文句はねえ、お前が考えて付けたんならそれでいい、今日からこいつは【ヤマト】だぁ!ウォロロロロ‼︎」

──これが貴方が産まれて名前を付けるまでのお話です、あの時の皆様には感謝してもしきれません、それにあの時のあの人達の慌てようと言ったら…うふふ、今思い出しても面白かったですよ、えぇ、ですからヤマト、貴方は私だけではなく皆様からにも慕われ、愛されているのです。当然あの人からも…少し不器用で伝わりにくいのが玉に瑕なのだけど、そこがまたあの人の良いところでもあるのです」

「…そっか、お母さんはお母さんなりにカイドウを愛してるんだね、でも僕にはまだわからないや」

「そうでしょうとも、あの人のことを全てわかる人なんて殆ど居ません、私ですらそうなのです、あの人は自分のことを話したがりませんから…「なら…!」でもねヤマトそれだけで彼を理解しないことの理由にはなりません、分からないなら分からないなりに彼を理解しようとし、歩み寄る、これこそが大切であると、私は思います、あの人も人の子、つまり私たちと変わらないただ1人の“人間”なのです、その人生には喜びや楽しみもあれば苦悩や葛藤もありましょう、ですから寄り添ってあげれる人が必要なのです。「寄り添って、あげれる人…」そうです。本当はねヤマト、貴方があの人と喧嘩ばかりしててなぜ仲良くできないのかとずっと思ってたりしました、でもねヤマト、貴方が今日あの人の事を聞きに来てくれて本当に嬉しかった、心から、あぁ、この子もこの子なりにあの人の事を理解しようとしてるんだなと思いました、だから此処まで話したのです、1日2日で仲良くなれるとは思ってはいません、ですが少しずつ歩み寄ることは可能なはず、貴方にも、できますね?」

「…うん、直ぐに仲良くなる事はできないと思う、でももうちょっとだけカイドウに歩み寄ってみることにするよ、ありがとうお母さん」バン!

「此処に居やがったのか、ん、ヤマトとジャックも一緒か、ジャック!オメェに一つ仕事を任せる、詳細はキングから聞け、やり方はてめえに任せる」

「はっ!すぐに」

「おいヤマト!てめえもいつまでも此処で油打ってんじゃねえ!とっとと強くなりやがれ!」

「な、やっぱりお前のことは嫌いだ!クソ親父!今に見てろ!すぐにお前のその角をへし折ってやる!行くぞ!ジャック!」ダン!オイヤマトボッチャン‼︎オレハヒトリデアルケル!ヒキズラネェデクレ!

「全く…騒がしい奴らだ、何を話してたんだ、おめえ「さぁ、何のことでしょうか、世間話の延長線ですよ」…ならいいが「おいカイドウ!」…なんだ、まだなんか用か「お前の事は心底嫌いだけど‼︎お母さんを大事にしてる所と小さい時の“私”を大切に育ててくれた事は感謝してる、だから…その…ありがとう…それだけだ!もう用は済んだ!あ、それから…もう少しお母さんにも分かりやすく言葉伝えろよ!…【父さん】ボソッ「アァ⁉︎今何つった!おい!ヤマト!」何でもない!クソ親父め!」ピュー

「…あのクソガキ…誰に似たんだ…おめえはいつまで笑ってんだ!」

「…‼︎いえ…‼︎やはり親子だなと…‼︎思っただけです…ふふふ、そう言うところはお互い似たんですねぇ…」クスクス

【鬼ヶ島─廊下】

「…あれでよかったので?ヤマト坊ちゃん「いいんだ!カイドウの驚愕顔を見れただけで満足した!」…アンタがそれでいいなら俺は何も言いませんが…」

フフ、僕は強さの方針を決めた、お母さんを守るための強さが欲しい、その為にはもっともっと強くならないといけない、それこそカイドウ以上に!そうしたらどんな敵が来てもお母さんを守ってあげれる筈だ、必要かわからないけどカイドウも、業腹だけどお母さんはカイドウと一緒にいると凄く楽しそうだ…だから僕が強くなってお母さんの居場所を守るんだ!その為にもまずはキングやクイーンの2人を楽に倒せるくらいには強くならないと!やる事はいっぱいだな!

──2人の馴れ初めと愛娘──fin


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