1日目(2)
学校に着いてアーユスと別れてから俺はオベロンとアルトリアに連行されて尋問が始まった...
「よお、立香...学園のアイドルと一つ屋根の下...どうだった?」
「どうだったって...何も無いよ...」
「えーうそだー絶対なにかあったー!」
「何も無いよ...そういう関係でもないのにそんなことしたら絶対追い出されるし...」
俺の説明にそれもそうだなとつまらなそうな顔で俺から離れていく
こいつら...
「でもよ、本当になんもなかったのか?」
「ないよ...ああでも...」
「でも...?」
「朝ごはん、インド料理で美味しかったよ」
「えっいいなあ!?
どんな料理だった!?」
アルトリアがオベロンを押し退けて聞いてきた
アルトリアは食べる事が好きだから食の話題だと顔色が変わる
軽くどんなものだったか説明してやると担任が入ってきて2人とも席について俺は解放された
─────
学校は基本退屈である
別に俺が拗ねてるわけでも厨二病なわけでもない
誰だって勉強は嫌いなはずだ
学校自体、友達に会えるので授業は退屈だが嫌いという訳では無い
ただ、そんな中...今日は1つ楽しみの授業がある
今日の体育は合同授業でアーユスに授業中に合法的に会える!
いやまぁ、会えると言っても基本は隣のクラスなんで喋る機会はほぼほぼない
実際何をしてるかというと...眺めてるだけである
無論、バレないように
健康的で綺麗な褐色肌、走って揺れる胸
学校内でも人気があるアーユスだ
普通に目が行ってしまう
それをオベロンにバレ、アルトリアに伝えられて2人にからかわれる
そしたらアーユスと目があった
やば、気付かれちゃった
なんて言い訳をするか考えていたら笑顔でアーユスは手を振ってきた
天使だ
なんて思っていると飛んできているボールに気付かず、俺はモロに顔面にあたった
衝撃で頭が響いている
クラスメイトが大丈夫かと俺の傍に駆け寄る
アーユスも駆け寄って来てくれてる
「立香、大丈夫!?
思いっきり顔に当たってたけど」
「大丈夫...頭がクラクラするけど...」
「脳震盪起こしてるかも...それに鼻血も出てる...保健室行こ、私が連れて行くから」
「い、いやそこまでしなくても...」
「いいから行くよ!
先生、行ってきますね!」
そのまま俺はアーユスに保健室に連れていかれた
─────
「失礼しまーす...あれ、先生がいない」
丁度出掛けてるのか、保健室は無人だった
「しょうがない...私がちょっとだけ処置するから...
さすがに先生に比べたらあれだけど、応急処置くらいはできるから」
なんて言いながらアーユスはテキパキと保健室を歩き、絆創膏なんかを集めてる
「はい、座って」
言われるがまま、俺は従う
「特に目立った外傷は鼻血だけか...
鼻も別に折れてる様子はなさそうだし
まったく...別に立香は運動神経悪いわけじゃないのになんでぶつかったの...
あっもしかして好きな人がいて見てた?」
図星で何も言えない
それを察したのかアーユスは笑う
「あはは...もしかして正解?
でも気を付けてね...ボール1つで何があるかわかんないんだから
......ホント...心配したんだから...」
俺とアーユスは友達でそれ以上でもそれ以下でもない
そう再確認しないと勘違いしそうだった
アーユスは俺の為に本気で心配してくれる
ただ、アーユスはそういう子だ
こんなふうに誰にでも本気で心配してくれる
俺だけが特別じゃない
誰にでも本心から優しいからみんなに好かれて、俺もアーユスに惚れている
「ほら、応急処置は終わったからベットで少し寝てな?
脳震盪起こしてるからしばらくは安静にしてないとダメだからね」
「わかった...」
アーユスの指示に従い、俺はベットに入る
「お昼休みになったらおこしてあげるから、ちゃんと寝るんだよ」
アーユスの優しさにまた勘違いしそうになりながら俺は眠りについた