19タ" ̄ビ〜×19五月賞(リバ前提)

19タ" ̄ビ〜×19五月賞(リバ前提)

※リバ前提、攻めが抱かれていた描写あり、閲覧注意



数ヶ月間この店を経営してみて分かったことだが、やはりあの激しい競走の世界で情を交わす―別に必ずや牡牝に限った話ではないが―ような2人というのは、どうしても顔を交わす機会が多い同じ適正を持つ者同士だとか、同じ厩舎に所属する者同士だとか、そういう条件に当てはまるのが大半だ。

そして今日も、そんなコンディションに見事当てはまる…当てはまっていた2人が来客したわけだが。


「おっ、えっと、こんばんは…?部屋空いてますか?」

これまた豪華な来客だな、と受付兼このホテルの経営者であるステイゴールドは心中でそうひとりごちた。

一歩先に足を踏み入れたのは5年前のダービーの勝者のロジャーバローズ、少し後ろにいるのはその年の皐月賞の勝者サートゥルナーリアだ。同じ厩舎の12番人気の方が逃げ切り勝ちなんて、とんでもない大仕事をダービーの舞台でやってのけてしまったのだから、新鮮に頭に焼き付いている。

やけに受付の親族が多く訪れることに定評のあるこのホテルだが、今回は全くの初対面だ。丁寧に対応せねば。


「はい、空いてますよ。どんなお部屋がご希望で?」

「うーん、特には…ないよね?サートゥル」

「ああ、まぁ……」


サートゥルナーリアは歯切れの悪くそう返した。なんとなく照れ臭そうで居心地も良さそうではない。多分ラブホテルを使うのも初めてなんだろうし、恐らく今夜下に回るのだろうな、と予想がついた。


「それじゃあ、少しお待ちを」


部屋の空き状況を確認している途中、カウンターの向こう側で小さな話し声が聞こえた。


「…ホテル使いたいって言ったのはそっちなのに、なんで僕より緊張してるんだ。第一サートゥルがあんなに盛ったせいでベッドが…」

「バカバカバカ、そんなことここで言うな!だって君が……いや、本当に悪かったって……だからラブホテル行ってまで好きにしていいって言ったんだろう……」

「……一昨日はあんなに好き勝手されたから、僕だって普段と同じくらいで終わらせる気はないよ。今更やっぱり無理なんて言っても許さないからな」

「好き放題させてくれたのは君の方だろ…!?…せ、せめて12時を回ったら休憩するっていうのはそのままで…」

「こんな雰囲気のいい場所で、サートゥルの方から止めてほしいって言えるくらいの理性が残るとは思えないけど。普段抱かれる時でさえあんななのに」

「ろじゃぁぁ……」


どう考えてもカウンターの前でする会話ではないのだが、まあ今更気にすることでは無いだろう。それにしても、恐らくこの関係になってからもしばらく経つだろうに、まだこんな会話をする程度には、色っぽい空気にはなり切れていないらしい。


「お待たせしました、どうぞごゆっくり」


暫く後には身体を交わすのだろう恋人同士とは思えない程に一見纏う雰囲気には違いがあったが、忍ぶように自然と結ばれた手を見るに、本人たちの関係はともかくとして、ただこの形のホテルに対して物慣れていないだけなのだろう。


(…バカ息子共のせいで俺の感覚が麻痺してたのかもしれねぇな)


どうせだし、今日明日の清掃にはファンロンのヤツでも借り出してやろう。



Report Page