179氏より 両親が事故に遭ってしまった凛ちゃんの六歳の誕生日のss-2
家に帰ると、そこには誰もいなかった。
それでも、家のリビングは誕生日の飾りつけがされていたし、母さんと父さんの仕事で使う鞄が床に置かれていたから、二人は帰ってきてたみたいだった。
でも、いない。買い物行ったのかな。
帰ったらすぐごちそうを食べれると思っていたので、ちょっとだけ、ざんねんに思った。
しょんぼりするおれを、また兄ちゃんが優しく撫でてくれた。やっぱり兄ちゃんは世界一優しい。
「凛。母さんと父さん、買い物行ってるだけみたいだぞ。大人しく二人で待ってような」
「……うん」
おれと兄ちゃんは、母さんと父さんが帰ってくるのを、ずっと待ってた。
すっかり日が暮れて夜になっても、ずっと、待ってた。