17日目

17日目

鳥飼天竜人

D.Dはまるで幼子のようにMC01746を抱いて眠っている。

魘されているのか時折うめき声を上げながら苦しそうに身をよじらせる。

どんな夢を見ているのだろうか。完全無欠の美しい存在のように思えたD.Dにも、思わず顔を歪めてしまう程苦しい思い出があるのだろうか。

かつて母上にされたように、優しく背中をさすってみる。特に反応は無し。

鎮静を更に強くして深く眠らせるべきか、薬量を減らすべきなのか分からない。

意識レベルが上がるとまた錯乱する可能性もある為、安易に拘束を緩くすることも出来ない。

念の為就寝スペースの周辺にクッションを敷き詰め、身体をぶつける事による怪我を防ぐ。

栄養は点滴で補う事にした。とても食餌を与えられる状態では無いのだから仕方が無い。

私は本当にD.Dを幸せに出来るのだろうか。私に飼い主の資格はあるのだろうか。

考えていても仕方が無い。

今は自分にできる精一杯の対処をしていくだけだ。



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