16日目
鳥飼天竜人強い鎮静をかけたため、D.Dはまだ目覚めない。
剥製保管庫の更に奥、MC01746の心臓や眼球、肺のホルマリン漬けを安置している部屋にて謎の金庫を発見。
武装色の覇気を纏った拳で2,3発殴ってみる。が、傷一つ付かない。
武力での突破は不可能だと推測。
どうにかしてロックを解く方法を導き出そうと思う。
正午過ぎ、MC01746を回収するために檻の中へ侵入。
先日の騒ぎによりテーブルや椅子は破壊され、見るも無惨な事になっている。
MC01746は破損こそしていないが、かなり汚れてしまっている。
いつも綺麗に撫でつけられていた豊かな金髪は乱れ、身に着けた制服は乱暴に掴まれた為か皺が寄っている。
極めつけは正義コートで、正義の文字の中心が引き裂かれてボロボロだ。
父上がこの惨状を見れば失神してしまうだろう。
とにかくD.DにMC01746を与えたのは間違いだった。
一刻も早く回収する必要がある。
私が倒れたMC01746を抱え起こそうとすると、眠っていたはずのD.Dがぴくりと動いた。
即座に臨戦態勢をとる。
しかし、薬で意識が朦朧としているせいだろうか。D.Dの目に私は映っていない。
D.DはMC01746のズボンの裾を掴んだ。
まるで持って行かないでくれとでも言うように。
一体どういう事だ?弟の事が、もしくは弟を剥製にされたことが嫌だったのでは無いのか?
無理にでも引き剥がせば良かったのかもしれない。しかし、懇願するように地べたに這いつくばるD.Dを見ているととてもそんな事は出来なかった。
結局MC01746を回収できないまま、本日の観察は終了とする。