169氏より クソ親戚に女装させられる兄弟のss-7【完】

169氏より クソ親戚に女装させられる兄弟のss-7【完】



 「アンタからだよ。キスした時の舌の動かし方も、男の誘い方も、全部アンタから」


 本音を男の自尊心をくすぐるような言葉でコーティングする。嫌悪のみ秘すれば、これは口先だけではない真実の響きと化す。だって本当のことだから。

 埃を被った考えだが、古い男は結局処女が好きで、その処女を己の手で娼婦にすることはもっと好きだ。どちらも同時に見せつけてやれば、得意げな顔をして上機嫌になる。

 抱き上げられた男の腕の中で揺られながらリビングを後にする。後ろ手に扉が閉められる直前、泣きそうな顔でこちらに手を伸ばす凛の姿が見えた。

 冴は男の肩に顎を乗せて甘えるフリをしながら、しぃと唇に人差し指を当てるジェスチャーを弟に残す。

 大丈夫。静かにしていれば魔の手も毒牙もそちらには行かせない。

 望まぬ魔性の花になってでも無垢な花は穢させない。摘ませない。


 遠いいつか、2人で手を取り両親の待つ本当の家に帰れるその日まで。

 お兄ちゃんは、自分の何を擲ってでも弟のことだけは守ると決めたのだから。


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