>>153
・奏章Ⅰ
「経口摂取にロスはねえんだよな」
糧食を飲み下して呟く声に返答はない。隣にいるのは命令がなければ動かないを徹底するライダーだ。考える猶予はいくらでもあった。
「そうなると……」
向き直り、顎を軽く手で持ち上げる。抵抗はない。
「口開けられるか?」
開けろと同義の確認に薄く口が開く。どれだけ、の指定がなければめいっぱい開く理由もない。滑り込んでくる舌。微量の唾液と相応のラニメントを流し込まれるまま飲み下していく。
数十秒して離した口を適当に袖で拭う。それからライダーにもハンカチを渡して拭くよう促した。
「AI同士なら同規格だが、相手がサーヴァントとなると微妙に……遠隔のパス越しだとロスがある、らしくてな。これなら問題なく受け渡せると判断した。どうだ?」
「活動に支障はありません」
「そうか。……? 予定量より微妙に増えてねえか?」
やや首を傾げた。疑問への返答はない――わからないものを答えても無駄だ。
「……オレの体液分か? なら手っ取り早く血液でも……修理部の仕事増やすのもな。支払いで減らしちゃ元も子もねえ……」
明後日の方向にそれていった思考はまだ続いている。また、それを止めるライダーでもなかった。