1523-01-12

1523-01-12


おはようございます、今日は1月の15…え?まだ12日なんですか?はは…あの事件以降から時間や物の大きさの感覚が狂っちゃったな。


あの事件に関わった人たちはおかしくなりました。ぼくもその1人です。いえ、別に祟りとかそういうのじゃないんです。


やっぱりオウゾクが原因なんだと思います。あの植物はあの島くらいにしか確認されていない植物なんです。

普通麻薬物質の耐性なんて持ってないでしょ。みんなそこで一種のね、薬物中毒になったのは間違いありませんよ。


空気中の成分を調べてみたら麻薬物質がいっぱい入っていたんです。だからあの島に入った時点で薬物を摂取してるのと同じようなものです。ルフィさんたちは記録では3日間滞在していたから…ね。


ああ、ところで電伝虫にオウゾクを摂取したらどうなるかって言うのをね、海軍のそういう専門のところで実験したみたいなんですよ。可哀想ですけどね、そしたらどうなったと思います?なんと短時間だとはいえ、過去の映像も残すことが出来たんですよ!いわゆる録画再生ができたんです。これはかなりの大発見でしたよ。





じゃあ例の映像は本当だったって言いたいんですか。信じませんよ、ぼくは。

だからやめろって言ったのに。















以下は世界経済新聞の取材によるコビー大佐の証言である。

「はじめにぼくはそういう祟りとか呪いとか、そういうのはあまり信じていない方だとは言っておきます」

記者「船内で何を見たんですか?」

「ルフィさん以外の一味の死体です」

記者「他には何かありましたか?」

「いえ、とくになにも」

記者「調査関係者の多数が奇妙な映像を見たと言われてますが」

「いえ、あれはオウゾクという植物による幻覚の一種です」

記者「オウゾクの症状は幻覚なんですか?」

「主に幻覚、幻聴ですね。あとは時間や物の大きさの感覚が狂ったりとか。僕も調査した際に船内の空気中に含まれていたオウゾクの物質にやられました」

記者「やられた?」

「はい、麦わらの一味は事件の前にジャンガ島に入ったことはご存知ですよね、あの島には村のあちこちにオウゾクが生えているんです。オウゾクっていうのは普通の違法薬物と違ってこっちが能動的に摂取しなくても植物自体が麻薬物質を空気中に放出するんです」

記者「はあ」

「タチの悪いことに生物であれば『感染』するので、あとはサニー号自体に麻薬物質の成分が付着していたので、ぼくたちはそこから中毒症状になってしまったんじゃないかなって」

記者「感染?」

「そうですよ。ほら、ミイラ取りがミイラになるって言葉あるでしょ。四皇が怪死ってそっちでも凄いスクープなのは違いないけどね、海軍でも調査した人間が中毒症状でおかしくなっているんですよ」

記者「世間ではルフィの祟りとか呪いとかって声もありますけどね、だってその映像って」

「やめてください」

記者「ですがコビー大佐、ジャンガ島は巫術の発展した島で一味はそういうのに無闇に触」

「そんなのが発展しようがしてまいが関係ありませんよ!ぼくたちは真面目に調査しました!ジャンガ島の歴史だって調べました!だけどあればただの事故なんですよ!船での死体を解剖したりしました、結果として全員中毒死でした!運が悪かっただけなんです!」

(10秒ほど無音が続いた後、コビー大佐の咳払いが聞こえる)

「…失礼しました」

記者「…いえ、こちらも申し訳ありませんでした」

「あなた方はまだジャンガ島での調査を進めているのですか」

記者「はい」

「今すぐやめることを勧めます」

記者「何故ですか?」

「…余りそういうのには深入りするべきではないかと思っているからです。ぼくはそういうオカルトというか、超自然的なものは信じてはいません。ですが、世の中にはまだ解明されていないものだってごまんとあるじゃないですか、ほら悪魔の実とか。そういうのって逆に調べれば身の危険に繋がると思うんです」

記者「ですが…我々も読み手が求めている以上」

「麦わらの一味は島の植物による麻薬物質で中毒死、それでいいでしょ」

記者「じゃあなんでモンキー・D・ルフィの遺体が見つかってないんです?」

「錯乱して海に飛び込んだと思います。いくら四皇といえど、おかしくなってれば死んでもおかしくないんですからね」

記者「あのですね、我々独自に調べたんですけど2年前にインペルダウンから脱獄した際にルフィはマゼランのドクドクの実の攻撃を受けても生還したんですってね。そんな人間がいくら毒性の強いオウゾクと言えど簡単に死ぬものなんですかね」

「じゃあ海で溺れて死んだんじゃないですか、海王類に食べられたら我々でも遺体捜索は不可能ですよ」

記者 「何故コビー大佐は頑なにルフィが死んだと」

「だってそういう報告なんですよ、麦わらの一味は死んだというのが海軍全体の判断なんだって、ぼくだけの独断じゃないです」

記者「私自身ジャンガ島に入りました。ちゃんと防護マスクをつけたうえでね。あのですね、現地人は毒耐性がついてる訳じゃない、慢性的な中毒症状に陥ってるんですよ。ただそれが日常に支障が出ていないだくらいに症状が治まっているのであって。巫術が発展したのってそれもあるんですよ。ジャンガ島の人間はオウゾクを駆除なんてしない、日常生活の一部だから。海楼石の拘束具なんて物騒なものが売ってあったのもその儀式の名残なんですよ」

「それが何か関係あるんですか」

記者「例の映像の儀式、生贄の魂を極限にまで肉体から離して空っぽの状態にして

「ちょっと待って」」

記者「その肉体に島のあらゆる穢れを詰めて燃やすことで天に返すって」

「やめてください」

記者「一味はやらかしちゃったんですよね。ほら、燃やさなかったらいつまで経っても」

「止めてください」

記者「映像内のルフィはミイラになってて時間を考えればどう考えても衰弱死なんですよ」

(何者かが椅子から立ちあがる音)

記者「仮に海から落ちる元気なんてあるんですかね」

(歩く音)

記者「だからルフィの遺体が未だに見つからないのは」

(直後、椅子から崩れ落ちる音がする。駆け寄るコビー大佐と駆けつける多数の海軍関係者の声で録音は中止)













だからやめろって言ったのに。

もう取り消せないよ。

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