15日目
鳥飼天竜人父上が朝から下界への出張に旅立つ。
事前に作成しておいたスペアキーで剥製保管部屋へと侵入。
各監視カメラは既に無効済み。落ち着いて運び出すことが出来る。
傷付けない様に慎重に台車に乗せ、運搬する。誰ともすれ違う事無く飼育スペースに到着。檻の中へと入る。
D.Dは朝食のクロワッサンを頬張っていた。
以下、トーンダイアルを添付する。
〈トーンダイアルの内容〉
「今日は素敵なプレゼントがあるんだえ。見たいかえ?」
「またうるせぇのが…。どうせ悪趣味なものでも寄越しやがるんだろ天竜人サマ」
「そんな事は無いんだえ。きっとD.Dがとびきり大好きで大事なものだえ。きっと嬉しいえ!」
「……?まァ良い。さっさと見せてみろ」
「いくえ?じゃじゃーーーん!」
(覆っていた布を剥がす音)
「…………!?」
「どうだえ、驚いたかえ?このMC01746が弟だって事、わちきはちゃんと知ってるんだえ。おお、並んでみるとますます似てるえ。」
「…は?」
「特に顔を見て欲しいんだえ。美しいえ。マリージョア中を探してもこんなに美しい剥製は無いえ。流石はD.Dの弟だえ〜。どうだえ?気に入ったならあげ」
「黙れ」
(何かが叩きつけられ割れる音)
「……えっえっなんでご機嫌斜めだえ?弟に会えて嬉しく無いのかえ?それとも剥製の出来が気に入らなかっ」
「黙って質問に答えろ。お前はそれをどこで手に入れた?何故剥製にした!?何故おれに実の弟の死体を見せ付ける!」
「死体じゃないえ、剥製だえ!これを作ったのは父上だえ、わちきではないえ。父上はMC01746が大の…お気に入りで…」
「ハアッ……お前の目的は何だ?」
「前にも話したえ。わちきはD.Dを幸せにしたいんだえ。一体何がそんなに気に入らなかったんだえ!?わちきが悪いなら謝るえ!ごめんだえ!」
「黙れ忌々しい!まだおれの………を邪……………………!ふざけ…………。………………!!天…人…………!」
「暴れ………ちょ…待つ……え、…………あ………!!」
(乱闘騒ぎの様な騒音で殆ど聞き取れない)
酷い興奮状態が続いた為、麻酔銃を5発撃ち込み眠らせる。
海楼石の鎖での拘束を更に強固なものにする。そうするしか方法が無かったのだ。
理解が出来ない。
私はただD.Dを喜ばせてやりたかったのだ。その結果がこの騒ぎだ。
ただ一つ分かることは、私は何か大きな間違いを犯してしまったのだろう。
順調に見えた飼育に暗雲が立ち込めた瞬間だった。