12月生まれってことは
俺は今まで愛し合うということを知らなかった。
俺に惜しげもなく財布を渡し愛してる愛してると何度も呟く女たちからは愛されていたかもしれないでも俺の方はなんとも思ってなかった。
でもこいつだけは違う。どうせまた顔目当てだろうとわざと猫撫で声に笑顔を作って話しかけてもきょとんとした顔を浮かべるわ依頼で金が入ったから
「たまにはなんか買ってやろうか」
と言ってやった時も
「いらないよ 甚爾くんさえいてくれれば私は十分!」
と朗らかな声と顔で笑った。ほんとに男運悪いわ欲はないわの可哀想な女だな、と思う。
まあそこに惚れたんだけどな。
「はぁっ⋯⋯っ、んん♡とー、じくん⋯」
キスだけでもうとろけやがった。膝を入れて女の弱い部分をいじってやるとビクビクと体を震わせる。
「〜〜〜〜っ♡♡!??」
「可愛い顔しやがって。余計煽ってるってわからねぇのか?」
「うう⋯⋯いじわっ♡る゛っ、早くい、れてって⋯」
今日は珍しくギブるのが早かったなと下に指を這わせるともう布団まで濡らすほど愛液でびっしょびしょになっていた。
指の先端に力を入れながら奥を掻き分けるように触ってやる。もう正直挿れてもよさそうだがまだだ。今晩はもっと可愛く強請れるまで焦らしてやるつもりだからな。
「うう〜っ、と、ーじくん、っっなんで、挿れな゛っひあぁっっ♡♡♡」
「もっと可愛く強請れたら挿れてやるよ」
「さっきのじゃダメなの⋯?」
「もっと激しい時使う言葉あるだろ あれだよあれ」
俺がそう言うと耳まで赤くさせていやだぁ⋯と言いながら手で顔を覆い隠した。
というかあの時の記憶あったのかよ
初めは一本だった指はいつの間にか2本目の第二関節まで飲み込むほどになっていた。もう俺のを挿れてほしくて仕方がないんだろう。
ナカからは2本の指を動かすたびくちゅ♡くちゅ♡と音を立てる。ど田舎ではないにしろ埼玉のアパートなんざ夜は真っ暗で外に出るやつもいない
俺の感覚を持ってしてでもこいつと、俺が出した音と部屋のボロい蛍光灯の光しか知覚しない俺たちだけの空間。
「いいのか?このままだと布団濡れちまうぜ?」
愛液が溢れすぎて会陰を伝い布団にまで染み込んできた。濡れた布団で寝たくないもんな、俺もお前も。
「そろそろ観念したらどうだ?」
「わかったよ⋯甚爾くんの、お⋯ちんちん、ください⋯」
「言えたじゃねぇか。ご褒美だ」
正直俺の方も我慢の限界だった。痛いほどに膨らんだそれに避妊具をつけようとするとあいつの手が伸びた。
「避妊、しなくていいんじゃない?」
急に何を言い出すんだ⋯快感でおかしくなったのか?
「いや大事なことだろ。病気の心配はないにせよお前が妊娠したら⋯」
「甚爾くんとの赤ちゃん妊娠しちゃダメなの?」
今までずっと見ないふりをしてきた問題が急に降りかかったようだった。俺は正直なところガキはいてもいなくてもいい。あいつが欲しいってんなら協力するしクソ実家が手出ししてこようなら今度こそぶっ壊してやる。だが、だがもしもあいつが俺に飽きちまったら?ガキ連れてってくれんならいいが俺は到底父親に向いているような人格ではない。それは重々承知している。
いいのか、俺が幸せになっても?俺が父親になっても?
自分でもよほど顔に出ていたのかあいつは俺の顔を寄せ口付けをした。
「いいんだよ甚爾くんは甚爾くんのままで。赤ちゃん欲しいってのは私の意見だし甚爾くんが欲しくなかったら私だって産まないよ。勝手に決めてごめんなさい。避妊したかったらして」
ほんとにこいつはどこまで⋯
「おむつ替えの仕方俺にも教えろよ」
パッケージが半開きになったゴムをその辺に投げ捨てもう一度あいつをしっかり抱きしめナニをあいつの入り口に数回擦り付けた。
「挿れるぞ」
「うん、⋯⋯あ゛っっぁ♡♡〜〜〜!」
よほど快感が強かったのか挿れただけであいつは嬌声をあげた。図体のデカさを自覚してるからあいつを傷つけないようにゆっくり腰を推し進めて先ほどの指のように奥へ奥へと向かっていく。
「あ、と半分くらい、だからがんばれよ」
俺も快感で声が途切れ途切れになってしまう。下を見ると俺のでどろっどろに溶けたあいつがいた。男のプライドが許さないから見られたくないが俺も相当快感に蕩けた顔をしているんだろうな。口角が自然とあがっちまうんだ。
結合部からはぱんっ♡ぱんっ♡と音が響く。
「ふふ⋯⋯すっごい音♡⋯⋯ 甚爾くん⋯愛してる⋯♡」
「俺も愛してるよ。ずっと一緒にいてくれ」
残り半分を一気に中に挿れた。暖かい。
本当に極楽に来ちまったんじゃないかと錯覚する。⋯⋯俺もそろそろか。
「出すぞ⋯♡
「うん⋯私も、だから⋯同時に⋯」
びゅるるるる〜〜〜〜っ♡♡
「あ゛っっ♡♡♡あああ゛〜〜〜〜!!」
「うぐっ♡⋯⋯ぐおっ♡」
吐精が終わり萎え始めたそれを引き抜きあいつの頭をそっと撫ででやるとあいつはふにゃりと笑った。
ふと窓が少しだけ開いていることに気づく。閉めようと近くによると俺は目の前に広がる景色に思わず息を呑んだ。
「ちょ、どうしたの甚爾くん?早くお洋服着ないと風邪ひいちゃうよ?」
「見ろ。桜だ。」
ちょうど満開で夜風に吹かれて一斉に舞い散る桜吹雪。
「わぁ⋯!ほんとだ!綺麗!」
「今度花見にでも行くか。弁当は唐揚げにしてくれよ」
「ふふ。りょーかいです!」
ああ。綺麗だな。まあお前の美しさには敵わないがな。
「甚爾くんおはよう!今日はお花見の日です!そしてもう一個素敵なお知らせがあります!」
「ん⋯⋯なんだよ」
「なんと⋯⋯私たちの間に赤ちゃんができました!」
寝ぼけていた頭が一気に目覚め液体で視界が霞む。
「そうか⋯ありがとな」
「これからもよろしくね甚爾くん!」