>>123様より

>>123様より


釣りというのは奥が深い。

『何を狙い』『どうやって釣るのか』

その二つの選択でひたすら獲物がかかるのを待ち続ける事もあればこちらから迎えに行き喰らい付かせる事もある。


『スカイ』

今も彼の声を思い出す。気分屋でサボり魔の自分を迎えに来てくれた彼。気弱になった時『俺が君を信じる』と背中を押してくれた彼。……そんな彼を殺したムシケラ共。


釣り糸を垂らしただじっと待ち続ける。『釣れたらいいな』という普段と違い、獲物がかかるまで待つのは非常に苦しかった。でも失敗する訳には行かない。これはいうならば駆除なのだから。


一匹、二匹、三匹。遂にバカな獲物がかかり始めた時には喝采を堪えるのが大変だった。本当に釣り上げたいヌシはまだいる。ようやくだ。取り巻きを失ったヌシの動きは簡単にわかる。私自身を餌に迎えに行ってやったらあっさりと喰らいついた。


「気分はいかがですか〜?」

手足をへし折り、重しに縛り付ける。満ち潮により上がる水位を前に鼻で必死に息をする様はとても滑稽だった。

「ああ、もう私の声も聞こえないんですね♪あははははは!」

そんな無駄な足掻きもいよいよ終わる。最後に激しく暴れたかと思ったら気泡一つでなくなった。

終わった。私は独り成し遂げた。


「あはははっ、ははははは!!」

喉が痛みを発し、肺が悲鳴を上げても嗤いが止まらない。あまりにも面白くて苦しくてしょうがない。だからーーー

「あははははははははははは!」

目から涙が溢れるのはそれが原因なだけだ。

『すごいぞスカイ!よく頑張ったな!』

私は独り、完璧な釣果を前に嗤い続けた。

Report Page