11-2:ミオリネと3号の和解
3号の人ー地球寮ー
「ただいま」
「あ、ミオリネさん お帰りなさい」
「で、決闘のほうはどうなったわけ?」
出張からミオリネが帰ってきた。
3号とオリジナルの決闘はその出張中に行われていたため、ミオリネはまだ結果を知らなかった。
「あーえっと、それはですね…」
「何?私に聞かれちゃまずいことでもある?」
歯切れの悪いスレッタの態度を不審がるミオリネ。
「…決闘中、倒れちゃったんです。スレッタ先輩」
「で、決闘は中断。勝負はお預け状態」
代わりに他の地球寮メンバーが答える。
「なるほどー? せっかく決闘を許してあげたのに?」
「あ、いやでもですね…ちゃんと目的は果たせたと言いますか…」
必死に弁解しようとするスレッタとそれをジト目で見るミオリネ。決闘の決着が付かなかったことより、体調が優れないのに無理したことにキレているのだが、言わないので伝わっていない。
そのミオリネの視界の端に見覚えある影が映る。
「スレッタ…!」
「はい!」
「いや、アンタじゃなくてそっち!」
「うぇ?!」
そこには、隣の部屋からちょうど出てきた3号がいた。
「み、ミオリネさん…あ、あの、その」
ミオリネはツカツカと早足で3号に向かっていく。
その剣幕にオロオロする3号。
「アンタ…」
「は、はい」
ギュッ
「へ…?」
「私が どんだけ心配したと…」
「…すみません。ミオリネさん」
「謝って済むレベルじゃないの!」
「ひっ」
「次また同じようなことしたら、プラントの外までぶっ飛ばすから!
分かった!?」
「は、はいッ」
「あと、罰として温室のお世話1ヶ月分私とこっちのスレッタの分までやる!」
「は、はいッ…はい?」
「株ガンの業務2割増!」
「え、ちょ…私決闘委員会とか、色々あるんですが…」
「は?」
「イエ、ガンバリマス」
...
「ミオリネさん怒ってましたけど、ずっとあなたのこと心配してたんですよ
決闘だって、絶対見届けるんだ~ってギリギリまで出張渋ってたんですから」
「そうなんですね…私、ホントに申し訳ないことを
みんなに迷惑かけて、情けないです」
「いいんです。ちゃんと戻ってきてくれましたから」
「…あの、スレッタさんの体調は大丈夫なんですか?」
「え?あはは大丈夫ですよ。病気の発作です。
学園に来てからは落ち着いてたんですが、ここのところ調子出なくて」
「…そう、ですか」
3号の中では、ひとつの不安があった。
エアリアルはガンダムの呪いを克服していて、搭乗者への負担がないとされている。
でも、実際はまだ発覚していないだけで最近のオリジナルの体調の変化はガンダムのせいなのではと思っていた。エアリアルを「お母さんから任された大事なものだから」と言う本人に伝えることはためらわれたが。
もうすぐエアリアルの改修作業も終わるはず。この子に素直に渡してしまっていいのだろうか。3号はひとり悩んだ。