>118 夢の続きで共に生きよう
前スレ118
最後の会話の部分でルフィがウタワールドのなにかを持ったまま別れちゃったことで、夢の中でつながる
返してって頼むウタと絶対に返さないルフィ
ウタの現実の体は死んでおらず、植物状態
なにか(思いつかない)がきっかけでウタの状態を知ったルフィがどこかの島でシャンクス達と合流
白雪姫みたくウタにキスで目を覚ます
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「……」
人々を眠りから覚ます歌。"世界のつづき"を歌い終えた彼女は非現実的な宮殿のベンチに座り、やり切ったという顔をして嬉しそうに上を見ていた
そんな彼女をルフィはただ見つめることしか出来ない
「……ルフィ。私のライブは終わった。だから次はあんたの番……あんたは夢を叶えて……」
黙り、立ち尽くしていた彼だったが彼女の話の途中で突然動き出し、彼女が大事そうに持っていた画用紙を奪い取った
ルフィは聞きたくなかったのだ
永遠の別れとも取れる彼女の言葉を
「…返してよ。それが無いと私は旅立てない」
ベンチから立ち上がり自信に背を向け屈んでいるルフィに優しく話すが、彼は両手で画用紙を抱えて離そうとしない
「……ルフィ」
後悔だけが残るまま、夢の世界は泡のように消えた
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それから数日後。
仲間との航海の日々に戻ったルフィだったがその様子はどこか悲しそうだった
またその他にも異変がひとつ…
「……フィ……ィ」
「ルフィ!!」
「なっ!!?ウタ!?」
夢の中で彼女を見るようになったのだ
それも夢の中だというのに靄がかかっておらずくっきりと
「返してよ!私の大切な物を返してよ!!」
「ダメだ!!それを返したら居なくなるんだろ!!」
「そうだけど……」
「なら絶対返さない!!!!絶対!絶対!!ゼッターイに!!!!」
画用紙は未だ彼が抱えている。それを彼女は奪おうとするがルフィは絶対に離さずに故郷に似た草原で逃げ回り続けた
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その夢の内容が楽しいからか、ルフィの調子はいつの間にか元に戻り起きても寝ても楽しい時間を過ごしていた
____だがその一方で辛い時を過ごす者もいた
「……ウタ」
光が指すレッドフォース号の甲板で蓋がされていない箱の中で眠る人物に向かって今日も赤髪の男は語りかけている
何を話そうがどんなに揺さぶろうが、その人物は目を覚ますどころか、まぶた一つ動かさない
それでも赤髪の父親は娘に何度も何度も話しかけていた
「……そうだ!ルフィのやつ懸賞金が上がったんだ!!あの歳で30億は大したもんだ!さすがはおれたちの友達だな!!」
「……ムッ」
「……ウタ!?」
ルフィの名を呼んだ時、紅白髪の娘の顔が動き"ムッ"とした表情に変わったのだ
なぜ笑うのではなく拗ねたような顔に変わったかなんて考えずに、赤髪は問題を解決するために"独自のルート"の連絡手段を使って海軍に悟られずに麦わらの一味と会うことを計画した
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「ルフィ!!いい加減に返してよ!!」
「や〜だね〜!!」
ルフィは今日も楽しそうに夢の中で自分を追いかけるウタと追いかけっこをしていた
「もう…返……し…」
「?おいウタ?声が遠くなって……」
「ルフィ!!!!」
「うわぁ!!?」
目覚めを誘う大声に驚いた彼はハンモックから転げ落ちてしまう
「やっと目が覚めたか!」
「ん、チョッパー?何かあったのか?」
「ロビンの手伝いでカモメが運んだこの手紙を届けに来たんだ。宛名が大物だから早く届けてやりたくて」
手紙の封筒には見覚えのあるマークが着いていた
「これシャンクスの船の海賊旗だ!!」
手紙の送り主に驚いたからか、ルフィは中の手紙のことも考えずに勢いよく手紙の封を切った
幸い手紙本体には傷がつくことはなく、そこに書かれた内容全てを把握することが出来た
「……チョッパー。ナミは今どこにいる?」
「ジンベエと一緒に操舵輪のとこにいるぞ!!」
「そうか丁度いい!ちょっと行ってくる」
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誰も気に求めないであろう"新世界"に存在するにしては小さく気象も異変なし、誰も気に求めないであろう小さな島
その島に二人の四皇が集まっていた
「ルフィ よく来てくれたな!!」
「シャンクス〜!!」
久しぶりの再会と約束を果たせることに喜んだルフィはシャンクスに抱きついた
約束通りルフィがシャンクスの帽子を返そうと頭に手をかけた時、その帽子の持ち主が静止をかける
「そいつはまだ早い。もう少しお前が預かってろ……それに今日は他にお前にやって欲しいことがあるから呼んだんだ」
「分かってる ウタのことだろ。」
シャンクスに案内され、ルフィは花と共に箱に入れられた幼なじみと再会した
「ほらウタ。ルフィが来てくれたぞ」
「……ムッ…」
「……お前の名前を呼ぶとウタは反応してくれるんだ。なぜ怒るのかは分からないがな」
「だから おれならウタの目を覚ますことが出来るかもしれねェってことか?」
「そうだ 頼んだぞルフィ」
「ん〜____」
娘の命を託されたルフィは彼女の綺麗な唇を見ながら顎に手を当てて少し考えて
「んっ!」
眠る彼女の両頬を優しく両手で掴んで優しく唇を押し付けた
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「……ルフィ。……返してよ」
彼は眠った訳では無い。だが夢の中と同じように二人だけの草原のような世界でウタと話せていた
「いいけど、お前が起きるのが条件だ」
「…私はもうやり切った。休みたいの」
「ならシャンクスたちと一緒に休みを楽しめよ。そしてお前の夢だった最高のステージで世界一のライブをまた開いて、世界をまわったお前の新しい曲を披露してみせろよ!!まだ歌いたいんだろ!!」
「……できないよ。私は…もう」
「おれに勝ち続けたお前が!!夢から逃げんなよ!!」
「…私は……大勢を巻き込んで…」
「そんなことはどうでもいいだろ。本心を言えよ…お前はまだ歌いたいのか、もう歌いたくないのか」
「歌いたいよ!!」
「……またみんなの前で歌いたい」
「なら起きろ。お前が起きて困るやつなんてこの世界にはいないからよ!」
歌姫…いや、赤髪の娘はもう一度現実で生きることを決意した
「……そうだ これ返すよ」
ルフィは今までずっと抱えていた画用紙を生きる気力に満ちたウタに返した
「それにしてもなんでこれが無かったら旅立てなかったんだ?」
「……離れていてもずっと見ていたかったから。だってこれは……あんたが私にくれた……」
「私たちの"誓い"だから」
フーシャ村に酷似した草原の世界は……どこからか流れる風と共に消え去った
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「……ん…むっ!?」
「…ぷはぁ……おっ!起きたか!!」
彼女が起きたのを確認するとルフィは両手と唇をウタの顔から遠ざけた
「____ルフィ!!!!」
赤髪の娘の空を裂く平手打ちが、少し赤いルフィの頬に直撃する
「いでェ!!!!」
吹き飛ばされた彼は目も当てられず、他の面々はウタの目覚めに喜んだ
そして別れの時間が……
「ルフィ ありがとう。シャンクスたちと一緒に休んだらもう一度世界に向けて歌ってみせるよ!」
「そっか!!ならそれまでにお前が楽しく歌える最高のステージをおれが作ってやるよ!!」
「____えっ?ルフィ それって……」
「じゃあな〜!!」
言いたいことを言いきったのだろう。
ルフィは彼女の元から飛んで離れてしまい進み始めた自分の船に戻ってしまった
「創ってみせるさ。お前が楽しく歌える新時代を!!」
サニー号の船首に座ったルフィは一人静かに曇りなき青空を見て宣言する