>114 逆行…そして"またな"
タイムリープものが見たいです
ウタがリープして置いていかれないように歌うも良し、ライブ直前(キノコは食った)にリープして一味に助けを求めるも良し
ルフィがリープして、
海賊王になって死んだと思ったら、フーシャ村で目を覚ますも良し、2年の修行の始まりの日にリープしてレイリーに説明してエレジアに向かうも良し、ライブの2週間くらい前にリープして全速力でエレジアに向かうも良し
全部で5個くらい分岐するけど大丈夫ですかね
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____私の歌 世界中に届いたかな……
みんなの心に残ったかな……
……ルフィ あんたは新時代を____
「……ウタ……ウタ!!」
「……んっ…シャンクス…?」
あれ…私は生き残ったの
「良かった 目が覚めたか! 急に倒れたから心配したぞ」
「うん ごめんね心配かけ…て……」
えっ その姿……それにここは……フーシャ村!?
「……ええぇぇぇ!!!!」
私も戻ってる!?これって過去に戻ったってこと!?
世界の歌姫は本当の意味で"赤髪の娘"…そして赤髪海賊団の音楽家に戻った
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(どうしよう……)
おそらく明日には私の運命が変わる
今日のみんなの様子はよく覚えている
……エレジアで置いていかれる前の楽しい日だったから
つまり……明日私たちはエレジアへと…
どうすればいいのだろうか
明日行かなければエレジアに住んでいた人も死なずに済むし、私も置いていかれない
だけどそれでは数年後に砂浜で電伝虫を拾えない
私の歌を楽しみにしていた人たちに歌を届けられない
____みんなを幸せにするには…私はどうすればいいの
「まーたウタが夢の中!!」
「…………なによ いいでしょ別に」
「そんなんしててもつまんねェだろ 勝負しようぜ!!」
「しょうがない……いいわ!今日の種目は____」
「「チキンレース!!!!」」
二人はマキノの酒場の前に机と椅子を用意して机の上にチキンが三つ乗った皿とジュースを置いた
開始の準備をする二人の後方では犬がレースの敗者に噛み付く時を舌を出して今か今かと待ち望んでいた
危ないからと酒場から飛び出したマキノの静止を振り切り二人はレースを開始しようとした
「そうだ 今回は罰ゲーム付きだからな」
「勝てないくせによく言うわね 望むところ!!」
……あれっ この時の勝負ではそんなこと決めてなかったはず
「「よーい 3 2 1 !!!!」」
赤髪海賊団の面々に見守られながら真剣勝負が始まる
二つのチキンを一気に頬張ったことでルフィは大きなリードを得た
しかし彼女には逆転の策がある
「ジュースあげる!」
そう、少女は少年に対していつもこの手を使って勝っていたのだ
「…………」
____えっ なんで受け取らないの…
少年は確かに反応し手と口を止め彼女の方を向いたが素直にジュースが入ったコップを受け取らなかった
「……ありがと…」
珍しく苦しい顔を見せて少年はジュースを受け取った
その顔を見ても少女は気を抜くことはなくチキンを貪って椅子から飛び降りゴールした
敗者のルフィは犬に後ろから突撃されたことで飲んでいたジュースを吐き出し宙に飛ばされてしまう
「……うぅ…」
痛いからか悲しいからか、地面に伏せたルフィは涙を流していた
「どうしたのよルフィ 何泣いてんのよ」
「……うぅ……」
少年はいつも以上にこの勝負に勝ちたかったようだ
おそらくそれは罰ゲームに関係があるのだろう
少女は少年に問いかける
「ルフィ そんなに私に罰ゲームを受けさせたかったの? 私に何を命令させたかったの?」
「……明日 船に乗らないで一緒にここで勝負してほしかった」
「もしかしてルフィ……あんた」
「おいおいルフィ 勝負ならおれたちが戻った時にまたできるじゃ____」
「ごめんシャンクス 少しルフィと二人きりにして」
何かを察した少女は彼らを酒場に戻して店の裏に移動し少年と二人きりになった
「……あんた"も" 戻ったってこと?」
「そうだけどお前は"いつ"のウタだ?」
「あんたに184勝1敗したウタよ」
「____そうか なら尚更分かるだろ!お前が明日向かう先は!!」
「……ルフィ これは私の人生。だからあんたは口出ししないで 行くか行かないかは明日決めるから」
「____また明日。」
少女は立ち尽くす少年を置いて酒場に入った
____分かんないよ
私だってどうすればいいかなんて……
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運命の日
少女ウタは船に乗っていた
それをルフィは港の橋から見ていた
「……ルフィ 止めないの?」
「お前が乗るって選んだんだ なら止めないよ 何か良い策があるみたいだしな 」
「ありがとうルフィ 私を信じてくれて____また会おうね!!」
「おう!! "またな"!!!!」
少年はあの日言えなかった言葉を少女に伝えて船が海の果てへと消えるまで手を大きく振り続けた
少年にも幼い日に"悔い"はあったのだ
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数日後 船は村に帰ったが……
「……シャンクス ウタは……」
紅白髪の少女の姿は無かった
「心配するなルフィ!ウタはな歌手になる道を選んで船を降りた。それに別れる時にはお前が海賊になったらまた会おうって言ってたぞ!! まっ…お前が海賊になれるかは疑わしいがな!!」
「なるさ絶対!!シャンクスも超える海賊に!!」
少年は少女の選択が幸をそうしたことを喜び、再会の時を待ち望んだ
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数日前 エレジア
少女ウタは国王ゴードンの勧誘を承諾して一人、国に残ることを決意した
夜に城で開催したパーティが"何事も無く"終わると紅白髪の少女は家とも呼べる船とそれに乗る家族たちに手を振り別れを告げたのだった
「さぁ ここは肌が冷える。暖かい城に戻ろうか 明日からはあそこが君の家だ」
「ありがとうゴードンさん。そうだ 城の地下に案内して欲しいの」
「どうしても話さないといけない相手がいるの」
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ゴードンは少女の頼みを断りきれず城の地下を案内した
「……ここには対話できる者はいないよ それにあるのはまだ君には難しい書物だけ……」
「トットムジカ」
「なんでその名を!?」
出てきた名前に思わずゴードンは身構えてしまう
「心配しないで 私はあの寂しがり屋と話したいだけだから」
「寂しがり屋……?」
地下の書庫まで降りるとウタは鼻歌を歌った
すると天井の壁が光だし三枚の古びた楽譜が少女の手元に舞い降りる
それを抱えて胸に抱き寄せるとウタは楽譜に語り始めた
「……あんた 本心では皆に聴いて欲しいんでしょ 皆に歌って欲しいんでしょ だったら歌われる度に暴れるなんてことはやめてよね」
「それに歌っている間は人の心は繋がるものなの 心を取り込まなくてもひとつになれるの!!…だから馬鹿な考えは捨てて ……いい!?」
語り終えると楽譜は反応したかのように少しだけ光った
彼女の必死の訴えは効いたようだが完全には改心していないようだ 少女は抱えている楽譜から悪意を未だ感じていた
「時間はある……いつか絶対改心してみせるから」
「……君は一体何者なんだ…」
ゴードンは少女が抱く優しさに敬意とほんのわずかの恐怖を感じとったのだった
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____数年後
「ウタ 今日までよく頑張ったね 初めてのライブだ緊張しているだろう」
「大丈夫だよゴードン。ライブは初めてじゃないから!」
「相変わらず君はよく分からないことを言うね……」
「それじゃあ行ってくる!!」
「……あんたの初お披露目 みんなが待ってるよ……そんなに震えなくても大丈夫 みんな認めて気に入ってくれるって!!」
手に持った三枚の楽譜に優しく語りながら彼女はライブ会場へ進んだ
「みんな やっと会えたね! ウタだよ!!!!」
彼女のライブは数組の海賊団の介入があったが"全員無事"で大盛況を収めて、その幕を下ろすことが出来たのだった
ライブを終えた会場には紅白髪の彼女と麦わら帽子がもっと良く似合う男が並んで座っている
「そういえば私と一緒で小さい体に戻ったルフィは"いつ"のルフィだったの?」
「ああ そういえば言ってなかったな」
「……やっぱ言わねェことにした おれはおれだからな!!」
「は?何それ 素直に言いなさいよ!!」
「やだね!!」
「ならあの日使わなかった罰ゲームを使うよ!!いつの時間から来たのか正直に言いなさい!!」
「しょうがないな〜 おれは____!!」
____これが後の海賊王と世界一の歌姫の"二度目"の再会だった
END