『111回目の珍勝負!?』
「ポッキーゲームゥ? 何だそれ?」
「このポッキーでする勝負の事よ! 1本のポッキーを両端から食べ進めていっぱい食べた方の勝ちなんだから!」
私はこの前の航海でシャンクスたちに買って貰ったポッキーをルフィに見せびらかしながら勝負を持ちかける。食いしん坊のルフィの事だから、この勝負も絶対に乗ってくるはず!
「おぉ~、この棒ポッキーっていうのかァ。チョコが付いてて、うんまそぉだなァ!」
「ふふん、私の為に高価な物を買ってくれたんだから味も美味しいのよ!」
「そんな美味いのかー楽しみだァー!」
「あんたにはチョコの方を先に食べさせてあげる」
「えーー、ありがとう‼」
ふふん、ルフィ。喜んでいるところ悪いけどこのポッキーはもう細工済み。あんたの食べる方にはあらかじめ切れ目を入れてるの。悪いけど海賊に卑怯も何もないんだよ。今日も何時もみたいに笑顔で『出た 負け惜しみィ』って言ってやるんだ。
「「やるぞ! よ~い! 3・2・1‼」」
勝負の合図と共にポッキーを2人一緒に口に咥えて、そのまま食べ進める。パクパクと勢いよく食べるルフィだけどあんたの負けは決まってる。私がポッキーを咥えたまま首を下げて角度をつけた。ほら、切れ目の入ったポッキーがルフィの口元ですぐ折れちゃった。これでこのまま食べ進めれば私の勝……えっ!?
「まだだ~~ッ‼ あむッ‼」
「なっ……!?」
嘘ッ……!? ルフィが口を突き出して私が咥えているポッキーに……。ちょっと待って! このままいったら——
「もぐもぐもぐっ‼」
「ルフィ、まっ……んむっ……んんっ!?」
ルフィの顔が目の前にあって、唇には柔らかい感触が押し付けられる。急な衝撃に驚いて固まってしまった私に更に驚愕する事態が訪れる。
「じゅるぅ、ちゅぷぅ、れろぉ、んむぅ、んぅ、ちゅぱっ、ちゅぅ——」
何かが私の唇を割って入ったかと思うと、私の口内を弄ってきた。歯をなぞり、頬の内側をこすって、舌を絡め取られると、かみ砕いたポッキーを根こそぎ奪ってくる。
「んちゅぅ、んっむ、んん~、ぢゅるっ、ちゅるぅ、ちゅ~っ、ちゅぱっ……る、ふぃ……」
「ごっくん……ぷはぁ、美味かったァー。おれの勝ちだぞウタァ‼」
「なっ……あっ……」
——キスされた。
——ルフィに。
——貪るように唇を重ねられた。しかも舌まで入れられてッ……。でも、それは案外嫌じゃなかっ、違うッ……。
恥ずかしさで顔を真っ赤にした私の頭は、あまりの展開でこんがらがってオーバーヒートしちゃって——
「る……ルフィのバカーーーーーーーーーッ‼‼」
フーシャ村に私の叫びが轟いたのは言うまでもない事だった——
END