>>110 海賊なら奪え!!
ウタウタの能力を危険視した政府やら海軍がウタを捕らえに来てルフィが最初抵抗するんだけどウタはルフィ達に迷惑をかけないように自ら海軍について行ってしまう
ルフィはウタの覚悟もわかっているからかメリー号の時のような虚勢を張ってこれでいいんだといつものように振る舞おうとするけど一味に発破をかけられて一転ウタを助けに行くことを決意する
最終的にウタの幽閉あるいは封印の手前で間に合うみたいなのを…
雑設定
エレジアで電伝虫を拾うことがなかったウタ
但しトットムジカの映像は見つけた
シャンクスにもう一度会いたいから自殺はしない
REDのライブが起きた日と同じ時間にエレジアで出会いシャンクスに会わせるために船に乗せる
一味に加入してから時期は浅い
________________
「____それは本当か?」
「はい ウタウタの実の能力に酷似していました」
「そうか…なら麦わらの一味に新しく入ったあの女…戦闘能力が低いとはいえ危険だな 直ちに最優先の捕縛対象として全隊に伝えろ」
海軍は"彼女"を捕らえるために全力を尽くすようだ…
その標的の名は____
「ウタ!!今日も街に行くぞ!!」
「行く行く!!!!」
麦わらの一味はここ数日間、街が栄える小さな島に停泊していた
「じゃあ今日もこのメモに書いてあるもの買ってきてね はいこれお小遣い」
「まかせてよナミちゃん!!ルフィが変なもの買わないように私がしっかり見ておくから!!」
「違うぞ!!おれがウタが買い物を間違わないように見守るんだ!!」
「はいはい…どっちでもいいから騒ぎだけは起こさないでよね」
途中メモに書いていない肉や服にルフィとウタは目を輝かせたが、脱線することなく買い物を続けることが出来ていた
「…えーっと次は____」
「ん…なんか眠くなってきた」
「しっかりしてよ!おつかいが終わるまでもう少しなんだから!!」
「____いたぞ!!!!」
街のはずれで海賊であるルフィとウタは海兵の軍隊に包囲されてしまった
「げっ!!ルフィどうしよう!!」
「ひとまず道を開けるために蹴散らすぞ!!離れるなよ!!」
買い物袋で手が塞がっているルフィは足で応戦しようとしたが、海兵達の武器がいつもと違う
全員がバズーカの様なものを構えていたのだ
そこから放たれるは対象を捕えるための網…それは二人の海賊を捕えるために放たれ続けた
「くそっ!!荷物を持ったままじゃあ避けるので精一杯だ!!」
「__私が邪魔になってる…」
「こうなったら…ルフィ!!!!」
紅白髪の彼女はルフィが手に持っていた買い物袋を口で奪い取り彼の両手を空けた
「助かったよ!!よーしウタそこから離れるなよ!!」
宙高く飛んだルフィはゴムの腕を伸ばして海兵達に拳の雨を降らした
彼が空中にいる間 刹那の間に彼女に迫るものが一人
「____これはすべてあなたを捕えるための作戦です」
(__え?)
「海では海軍の軍艦が麦わらの仲間達を船ごと攻撃しています。あなたがこちらに来れば全ての攻撃は終わる…どうしますか」
「こんのッ!!!!」
接近に気づいたルフィは拳を彼女に耳打ちした実力者に向けて放った
残念ながらその男には攻撃がかわされてしまいウタの足元の地面が壊れた
……彼女の心も体も揺らいでしまった
「ウタわりぃ!!怪我はなかったか?」
「____大丈夫…」
衝撃で買い物袋を口から落としてしまった彼女は口を開いた
「なら良かった!!」
「大丈夫だからね…ルフィ……」
【⠀この風は〜♪____ 】
「なん…で……?」
________________
「なんで!!なんでこんなことを!?」
世界の背景は昔懐かしいフーシャ村の風景になりその世界にはルフィとウタしかいなかった
つまり…ルフィは彼女の能力で眠ってしまったのだ
「____私が本当にやりたかったのは歌姫なの…それでね 捕まってもそれができるって海軍に言われたから…そうすることにしたんだ」
「嘘つけ!!…お前がシャンクスに会いたいって言ったあの時の顔は____」
「____ルフィ…これは私の意思」
「さようなら"麦わらのルフィ"」
「____ウタ…」
ルフィの精神とともに夢の世界が崩れてゆく
________________
「____ウタ!!!!」
目を覚ますと海兵達の姿はなかった
……ウタの姿も
買い物袋もルフィの体も…無事
本当に彼女の意思で自分から捕まったのだろう
「……おれは…」
________________
「ウタが本当にやりたかったのは歌姫で獄中でもそれが出来るって言われたから捕まりに行ったみたいだ…だから」
「____だからよ!ウタがそうしたいんだったら、おれたちは身を引こうと思うんだよ!!」
先程までとは一変 ルフィは仲間達の迎撃の成果で無傷のサニー号の船内で話し合った
「……ルフィあんた…」
「で ナミ!次の島はどこだ?」
「ルフィお前はそれでいいのか?」
「何言ってんだゾロ…ウタがそうしたいならおれたちは身を引くしかないんだよ!」
「おいルフィ!!ウタちゃんは本当にそんなこと望んでたのか?どうせ海軍のヤツらに変なこと吹き込まれて…」
「そんなことはねェよ ウタは自分の意思って言ってたぞ」
「ならルフィ あなたの意思は?」
「ルフィさん」「ルフィ」
「ぐっ…うぅ……」
涙をこらえて奥歯をかみ締めてでも必死に抑えていた言葉が
「助けたいに決まってんだろ!!!!」
溢れ出して止まらない
「なら最初から言えよ」
「まだ間に合う 一緒に行くわよ!!」
「____ふぅ…」
大きく息を吸い込んで……
「行くぞ野郎ども!!!!」
「ウタを…仲間を助けるために!!!!」
________________
____ルフィと別れてからどれほどの日時がたっただろうか
大人しく捕まったからか…もしくは私が死なないためか 海軍は海楼石の手錠を外してはくれないが三食のご飯は欠かさずに船内の一室に監禁されている私に運んでくれる
ルフィ達は今頃何してるんだろう
他のみんなにもお別れ言いたかったな
「間もなくインペルダウン__貴様を幽閉するための牢獄施設に到着する」
「____そうですか」
「歌を配信するための電伝虫はいつ渡してもらえるんですか?」
「まさか本気であんな話信じていたのか?トットムジカを呼び出せる危険な能力者にそんなもの渡すと思っていたのか?貴様はもう二度と歌うことなど出来ないぞ」
「__え?」
嘘…もう二度と歌えないの
それよりもなんであの日の事を……
「歌えなくなる前に最後にこの誰もいない部屋の中で歌ってるんだな…また会うのはインペルダウンに引渡す時だ」
「……待って……」
「待ってよ!!!!」
「……やだぁ…」
____これはきっと罰だね
ルフィ達を信じられずに一人で楽な方に逃げた私への罰……
________________
「あの女すっかり食べなくなったな」
「騙されてたことにようやく気づいたんだからな そりゃそうなるさ」
「____ようやくインペルダウンに着いたな」
「ちゅ…中将!!これはサボっていた訳ではなくて…」
海兵はテーブルに散らばったトランプを片付けた
「好きにやってろ ここまで来れば海賊に襲われることは____何!?」
突然揺れる船内
海流によって揺れた訳では無い
この地震のような揺れ方は____
「敵襲だ!!警戒態勢を取れ!!」
________________
「…た〜だひとつのゆめ……」
声が掠れてもその女は歌い続けた
ここで歌わなければもう二度と歌えない
ならば歌おう たとえ喉が裂けてでも
たとえ船内が激しく揺れようとも
部屋が崩れようが関係ない
二度と歌えなくなることに比べれば些細なことだ
「やっと見つけたぞ!!」
まるで今の虚しい私の歌声を否定するかのように、掠れた私の歌声は大好きな人の声で塗りつぶされた
「____ルフィ…?」
「さぁ掴まれよ!!もう二度と離さ…」
「なんで来たの!!私なんて放っておいてあんたはあんたの冒険を…」
「これがおれの冒険だ!!!!」
「____掴まれ…ウタ」
海軍に捕まる理由は多々ある
エレジアの無実の人達を焼き払い、シャンクスの船とルフィの船に海賊として乗っていた
けれど…だからといって、差し伸ばされた手を振り払う理由は無い
「__ルフィ…もう一度私を奪ってよ」
「何度でも奪うさ!!いつかシャンクスからもな!!」
燃え上がる船内を彼に抱き抱えられて走り抜けて
私の新しい帰るべき場所…サニー号に帰還した
「みんな!!おれたちの船に戻れ!!」
「…やったんだな!!」
「あれは…ウタ!!!!」
「うおおおおぉぉ!!!!」
どんな海流があろうが、どんな壁が立ちはだかろうが関係ない
彼らは仲間のためならそれを乗り越えて"正義の門"など容易く破壊していたのだ
「フランキー!!"風来バースト"だ!!!!」
「コーラエネルギー全開…行くぞ」
「行っけえぇぇぇ!!!!」
「"風来バースト"!!!!」
麦わらの一味は誰一人欠けることなく戦地から脱出した
「みんなごめんなさい!!!!」
「もういいのよ そんなこと言わないで」
「ウタさんが無事で何よりです 無事ということで…パンツ見せて……」
「見せるか!!!!……ウタは仲間なんだから助けるのは当然よ」
「ナミちゃん…みんなぁ……」
ぐう〜
「あ…安心したらお腹空いた」
「あははははは!!!!」
再び賑やかになった一味は11人で食卓を囲んだのだった
____そういえばルフィがシャンクスからも奪うって言ってたけど、あれはどういうことなんだろう?
END