>110 イッショに踊ろ
幼少期からルフィに対して恋心があって、エレジアに置いてかれてもその恋は冷めぬまま本編まで進み、ルフィとのハグで恋心と独占欲が増大してしまって
新時代計画とは別にルフィをどんな手を使ってでも自分のものにしてしまおうとしてるウタが見たいです。
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__幸せと温もりに包まれていた歌姫にとって懐かしき日々
その日々の中の楽しみの一つは彼の父親が一時の拠点としていた村に住む少年との勝負だった
あの日の種目も勝利回数も"今を生きる歌姫"は覚えている
あの日の勝負内容は……
「ルフィ!今日も私の勝ちだね!!」
「まだ決着はついてねェ!!それにズルしたからお前の負けだ!!」
「確かに私はチキンレースの最中にジュースをあげたけど、それを受け取って飲んだのはルフィでしょ…それに海賊の勝負に卑怯なんてものはないんだから」
「ぐぬぬ…!!」
敗者のルフィは未だにウタを勝者とは認められずにいつまでも歯ぎしりをして噛み付くような目で彼女を睨んでいた
「もう……はい これ食べて機嫌直しなさい」
いつまでも納得していないルフィをなだめるためにウタは食べずに隠し持っていたチキンの一つを差し出す
「やった ありがとう!!」
そうなると少年は機嫌を直して手を上げて喜び、差し出されたチキンを掴んで笑顔で口に入れてひと飲みした
……いつからだっただろうか
その様子を見ていると少女は少年に対して言葉にできない変な感情を抱くようになっていた
「……ふふっ」
こんな日がずっと続けばいいと思ってたのに……
次の航海の日 子兎は親元から離され、少年の元に戻るどころか巣に戻ることすら叶わぬこととなったのだ
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「……はぁっ!?…夢か……」
____懐かしかったあの日々
忘れられないあの日々
もう戻れないあの日々
せめてあなたにもう一度出逢えたなら、私は私を取り戻せるだろうか
「…変なことを考えるのはもうやめようそれよりも今日の"最初で最後"のライブに集中するんだ____みんなを幸せにするために…」
ベッドから起き上がると城の一階へと降りて、第二の育ての親であるゴードンが作った料理を食す
最近は彼と彼女が言葉を交わすことが"今まで以上"に無い
どちらも互いの存在に言えない事を抱えているため気軽に話すことが出来ないのだ
「……ご馳走様」
…食べ終わったし歯磨きしてライブ会場の準備をしよう
「____待ってくれウタ」
「……その………すまない 何でもない 引き止めて悪かった」
…もしかして今日のライブの事を……
でも知ってても止めないってことはゴードンも"新時代"への理想があったってことかな……あの"楽譜"も捨てていなかったし
以降私は一人で今日のライブの準備をした
霧がかかってもエレジアの港がわかるように火を灯し、ライブ会場のチケット受付の屋台を立ち上げる
入場した観客は入口の先で眠らせて、すぐに操って体が重ならないように草の上や広い場所に移動させよう
もしもファンの山ができて下敷きになる人が居たら大変だからね
____現実世界では私の思惑通りに動き、"歌の世界"でライブが始まる時間になった
よし全世界に向けて歌おう!!
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…まずは一曲終了…これで世界の三割は取り込めたかな
……ん?誰かステージに降りてきた
「……あーっ!!やっぱりそうだ」
「ウタ!!……お前ウタだろ!!」
…誰だ 麦わら帽子でよく顔が見えない
「おれだよ おれ!!!!」
前は麦わら帽子を被っていなかった
…でもこの顔……何よりこの胸の高鳴り
「もしかしてルフィ!!?」
「そうだぞ!! 久しぶりだな〜!!」
「ルフィ〜!!!!」
…こんなに大きくなって なんだろう 今まで以上に胸がドキドキする
ずっとこうしていたい…一緒に居たい
そうすれば 私は昔のように____
「おーっと!!ライブはそこまでだ!!」
ルフィの他に突然ライブ会場に上がり込む海賊たち
数はさらに増えもうひとつ別の勢力が飛び入り参加して会場は三つ巴のような状況になる
収まりがつかないから私が捉えようとしたがそれよりも先に手を出そうとしてきた海賊たちをルフィとその仲間達が倒してしまった
「ウタ もう大丈夫だからな!!」
「……ルフィ!! みんな! ありがとう」
ルフィに守られると…幸せを感じられる
この感じ…もっと味わいたい……
「うわっ!!?何これ!!」
私は密かに指を鳴らして音符の兵士を呼び出し、他でもない呼び出した私自身を襲わせた
当然ルフィに守られるためにも知らないフリをする
ルフィなら私の演技に気づかないだろうから
「こんのぉ!!!!」
良かった
ルフィは…”私だけの騎士”私に襲いかかる"私の兵隊”を次々と拳で沈めた
……ルフィ 私を守るために必死で戦ってくれてる
____兵士を出したと同時に磔にされた後ろの仲間のことにも気づかないで…
それぐらい私のことで気がいっぱいなのかな? 嬉しい!
今も私は踊るように体を動かして兵士の攻撃をかわし、ルフィは拳を伸ばして邪魔者を蹴散らす
楽しいなァ…もっと!!もっと!!
もっと!!!!
「……」
…どういう訳かルフィが拳を収めてしまった
それでも私の首元に残された兵士の刃が通ることは無い
____私は最恐なのだから
「…なんでやめたの?楽しかったのに」
「……ここはどこだ」
周りを見ればステージ以外のものが全く無い、単色の黒の世界に変わっていた
「……」
「おれの仲間はどこだ」
「……そんなに心配しなくてもいいよ みんなは私たちとは別の場所にいるだけだから」
「ならおれをそこに戻せ!!なんでこんなことするんだ!!」
……あれ?なんで怒るんだろう
戦いの最中に仲間が囚われているのに気づかないなら仲間より私の方が大事だと思ったのに
ずっと私といられるのならシアワセだと思うのに……
「……うるさい!!ルフィは私といられて幸せじゃないの!?嬉しくないの!?」
「嬉しいけどそれとこれは別だ!!なんでお前はこんなことをするんだ!!!!おれが知ってるお前は……!?」
……それより先は喋らせないよ
確かに今の私は昔とは違う
私だって昔の私に戻りたい…
でも…だからって!!今の私を否定するのは…許せない!!!!
「口が無ければ喋れないよね」
必死で”口があった場所”を…口の代わりに埋めた黒いモヤを触ってる
かわいい♡
「安心して ルフィが改心すれば戻してあげるから……キスとかしてみたいしね」
「……!!」
「その眼……ちょっと所じゃ改心しなさそうね でも必ず私だけのモノにしてあげるから だって____」
「時間も可能性も無限にあるんだから」
___雨降る冷たい現実で私の”肉体”は既にナイフによる出血で胸から血を流して倒れている
後はルフィが堕ちれば……
私の”新時代”は完成する
BAD END♥