11-4:地球にて
3号の人ー地球ー
「がーんだむ~♪ がーんだむ~♪ きぼうのひっかり~♪」
「ソフィ、何見てるの」
「あーノレア、これだよこれ」
ソフィが画面をノレアに見せる。
“株式会社ガンダム”?
アスティカシアの生徒と思しき赤毛の少女がぎこちないダンスを踊っている。
「ねー、このガンダム見覚えない? ホラ、“黒い悪魔”の」
「“黒い悪魔”…ああ」
ソフィの出したワードでノレアも思い出す。
黒い悪魔…4年前、一部の地域で騒がれてた真っ黒なモビルスーツ。暴動鎮圧と称してアーシアンに攻撃を加えるスペーシアン治安維持部隊を単身で襲撃しことごとく壊滅させた怪物。
あまりにも現実離れしたその活躍に、都市伝説扱いする者も少なくない。
「あのガンダムどこ行ったのかなーて思ったら、まさか宇宙の学校に行ってるなんて
しかもすっごい平和ボケしてそーなんかきゃぴきゃぴした色してるし
まーこれはこれでいいけどさ」
確かに、画面で間の抜けた踊りをするそのガンダムは鮮やかなパステルカラーで、悪魔と呼ぶには優しい色だ。しかし、姿形はよく似ている。
それに、パイロットは噂程度で見たことはないが、魔女のような赤い髪の少女だったと聞いたことがある。
ある時から突然現れ、そしてまた突然いなくなった、不可解な少女とモビルスーツ。
「名前は…スレッタ・マーキュリー、ガンダムは…エアリアル、ね」
「一回会ってみたいよねー!」
ーーーーー
ガンダム・?????
4年前、地球で目撃されていた…とされるエアリアルに酷似しているモビルスーツ。
エアリアルを真っ黒にしたような外観であり、装備も似通っているが、エスカッシャンの数がエアリアルよりも少ないなど微妙な差異が見られる。
名称、製作者、パイロット、あらゆるデータが現状不明。